2017年4月13日 第15号

 アルバータ州カルガリー国際空港で昨年12月31日、泥酔のまま勤務スケジュールの飛行機を操縦しようとしたパイロットに、禁固刑が言い渡された。

 スロバキア国籍のパイロット、ミロスラフ・グロニッチ受刑者(37歳)は、この日の朝、カナダのチャーター航空会社サンウィングのカルガリー発メキシコ・カンクン行き(サスカチワン州レジャイナとマニトバ州ウィニペグ経由)の機長を務めるはずだった。

 しかし、泥酔状態でコックピットに現れた同受刑者は、制服のブレザーをハンガーにかけられず、会話もろれつが回らなかったという。副機長に機から降りるよう説得され、一旦はコックピットから出たものの、隙をみて再び操縦席に戻り、窓ガラスに顔を押し付けたまま寝込んでしまった。

 連絡を受け現場に赴いた警察官は、グロニッチ容疑者のワイシャツにつけられていたパイロット記章が上下逆さまだったことや、前夜滞在していたホテルの部屋にあった26オンス(おおよそ770ミリリットル)のウォッカの瓶が空になっていたことを確認している。

 道交法の制限値からも3倍という、きわめて高い血液中のアルコール濃度のもとで航空機の運行を行おうとした罪で訴追されていた同受刑者にアルバータ州裁判所は3日、8カ月の禁固刑を言い渡した。航空法では飛行前の8時間の飲酒禁止と、アルコールの影響下での操縦を禁止している。

 また、判決文の中で裁判官は、同容疑者が再びパイロットの職に就ける可能性は低いと指摘、今回の判決の目的は同様の事件の再発防止と、事業用パイロットへの警告だと述べている。

 その一方で、グロニッチ容疑者がアルコール依存症に対するリハビリに取り組もうとしていた姿勢や、今回の事件で世界中の視線にさらされたこと、また、実際にはコックピットの操縦系統には何も触れていなかったことは減刑に資するとも指摘、検察の求刑1年に対し、これまでの拘留期間なども考慮して、今回の判決となった。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。