2017年4月27日 第17号

 ブリティッシュ・コロンビア州のバンクーバー水族館で昨年11月、ベルーガの親子が相次ぎ死亡した事故に関する調査の最終報告書が、先週発表された。

 それによると、何十人もの水族館内外の専門家らによる5カ月にわたる調査にもかかわらず、死亡の直接原因となった毒物の特定はできなかった。また報告書は、時間とともに血液中の毒物の特定が困難になるのは、よくあることだと指摘している。一方、毒物がベルーガの水槽に混入した経路は、エサか補給された水、さらには人為的な可能性も排除できないとしている。

 この報告を受け、水族館では同じような事故が起きないよう、次のような改善を行うとしている。

エサの検査方法の改善  
● 害を及ぼすと思われる、水槽まわりの植物の駆除  
● イルカやクジラ類の水槽の水浄化システムの更新とオーバーホール  
● 水槽および浄化システムの常時モニタリングと、水質のリアルタイム検査  
● 人為的な操作を防ぐ、セキュリティシステムの強化

 今回の事故は、自分の勤務歴25年のうちで最悪のものだったと、同水族館の主席獣医で、今回の調査の指揮をとったマーティン・ハウレナさん。この事故をきっかけに、水族館が水棲哺乳類を飼育することに対する激しい論争が巻き起こった。水族館を運営するバンクーバー公園委員会は3月に、水棲哺乳類の展示を終了させる決議を、全会一致で採択している。

 水族館側は、現在飼育しているいくつかの種類の水棲哺乳類は、水族館海洋哺乳類保護センタープログラムの一環として、長期ケアを受けている個体に限られていると説明している。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。