2017年11月9日 第45号
自由党政権は4選挙区での補欠選挙を今年12月11日に実施すると5日、発表した。4選挙区は、ニューファンドランド・ラブラドール州ボナビスタ-バーリン-トリニティ選挙区、オンタリオ州スカボロー-エイジンコート選挙区、サスカチワン州バットルフォーズ-ロイドミンスター選挙区、ブリティッシュ・コロンビア州サウス・サレー-ホワイトロック選挙区。
3州の選挙区は議員の辞職によるもので、オンタリオ州のみ自由党アーノルド・チャン議員の病死により空席となった。
2議席は前保守党議員、あとの2議席は前自由党議員が保有していた議席だが、注目はBC州サレー選挙区。ここは2015年選挙で初当選した保守党ダイアン・ワッツ前議員の選挙区。ワッツ氏は国会議員の前は、サレー市で長年市長を務めていた。連邦選挙に出馬するために市長を辞任したが、今回は現在行われているBC自由党党首選に立候補したため、国会議員を辞職した。
サレー地区はインド系移民が多く、今回連邦新民主党(NDP)にインド系カナダ人のジャグミー・シング党首が誕生し、NDPが議席を取れるか、また現在BC州では人気が下がっている自由党が巻き返せるか、次期総選挙を占う意味でも注目されている。
またオンタリオ州では、現在議席を持たないNDPシング党首が立候補するかどうかにも注目が集まっている。
2017年11月9日 第45号
アメリカのオンライン小売大手アマゾンは3日、バンクーバー市に1千人規模の第2事務所を開設すると発表した。同社は現在約1千人が働く事務所をすでにバンクーバー市に持っており、第2事務所が開設すれば、バンクーバーでの雇用は2倍となる。
今回は発表について、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州ジョン・ホーガン州首相は、テクノロジー産業の雇用大幅増を歓迎、住宅、公共交通機関、高等教育にさらに力を入れ、テクノロジー、エンジニア、科学などの分野に力を入れていきたいと語った。
バンクーバー市グレゴール・ロバートソン市長も歓迎し、バンクーバーがテクノロジー企業にとって最適な街であることを強調した。ホーガン州首相同様、住宅問題や公共交通機関のさらなる充実を実現する必要があるとも語った。
アマゾンはこの日、バンクーバーの他にも、カルガリーやトロントで雇用を拡大すると発表した。
現在ワシントン州シアトルに本社を置くアマゾン社は、北米に50億ドルをかけた第2本社を設立することを発表している。すでに招致申請は締め切られ、カナダ、アメリカから多くの都市が立候補している。
アマゾン社は今回のバンクーバー第2事務所の開設は、第2本社設立とは全く関係ないと強調している。カナダでは、バンクーバーの他に、カルガリー、トロント、オタワなどが立候補している。
2017年11月9日 第45号
ケベック州で5日に行われた市町議会選挙で、モントリオール市の第45代市長にバレリー・プランテ氏が当選。同市375年の歴史上初の女性市長が誕生した。
当選確定後プランテ市長は、「モントリオール市民第一の政治を、モントリオール市の再始動を実現したい、歩行者やシニアやサイクリストが安全に利用できる交通網を作りたい」と、詰めかけた支援者に向けて語った。
選挙結果はプランテ氏52パーセント、デニス・コデール前市長46パーセント。投票率は41・75パーセントで、44パーセントだった前回を下回った。
プランテ市長は2013年にモントリオール市議に初当選。2016年にはモントリオール市の左派政党プロジェクト・モントリオール党首に。選挙が始まった当初はコデール前市長が優勢と予測されていた。しかし選挙戦が始まるとプランテ氏が巻き返し。選挙期間中には、公共交通機関の充実とグリーン空間の設置、住宅問題の解消などを訴えた。
43歳、2児の母のプランテ市長、通勤は自転車か公共交通機関で、市民感覚を訴えての当選。今後は、連邦政府やケベック州政府と協力して公約実行を目指すとしている。
ジャスティン・トルドー首相は自身のツイッターで、プランテ市長を祝福。協力していけることを期待しているとメッセージを送った。
一方敗れたコデール前市長は、市政から退くことを表明。選挙後のあいさつで、これまで自身が実現したことを誇りに思うと語った。
コデール前市長は移民相も務めたことがある元自由党国会議員。2013年の選挙でモントリオール市長に当選。好調な経済政策を背景に再選を目指したが、1期で市長を終えることになった。当初は優勢と伝えられたが、今年市制375周年の派手な記念イベントや、電気自動車レース・フォーミュラEの開催に多額の税金を使用したり、ピットブル(アメリカンピットブルテリア)の所有禁止を決定したりということが響いたと分析されている。
2017年11月9日 第45号
カナディアン・フットボール・リーグ(CFL)BCライオンズは4日、バンクーバー市BCプレースでトロント・アーゴノッツと対戦した。これが今季最終戦となった。
結果はわずか1タッチダウンという13‐40の大敗。今季は7勝11敗、勝ち点14で、西地区最下位の5位に終わった。ライオンズがプレーオフを逃すのは1996年以来。
今オフは来季に向けてのチーム作りが急務となるが、監督兼ゼネラルマネージャーのブオノ監督との契約が2月には切れる。ブオノ監督はこれまでのところ自身の進退について言及していない。ただライオンズのオーナー、デイビッド・ブレイリー氏が来季もチームオーナーを継続することは決定している。同氏はこの日の対戦相手アーゴノッツのオーナーでもあり、1チームの売却を希望していると伝えられている。
2017年11月9日 第45号
オフショア金融に関する大量の記録内容が5日、明らかになった。「パラダイス文書」と名付けられたタックスヘイブン(租税回避地)に関わる1340万件の記録には世界中の政治家、著名人、有名企業の名前が記載されていた。
今回流出された記録文書を南ドイツ新聞が入手、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)と参加する世界67カ国、約100報道機関、ジャーナリスト約380人と共有し、今回の発表となった。カナダでは、CBC/ラジオ・カナダとトロントスター紙が参加している。
CBCはこの日、内容を大々的に報道。カナダが関わっていた企業、信託、基金、個人などは合わせて約3300件と公表し、中には有名企業、元首相、政府関係者が含まれ、衝撃が走った。
企業では、ナショナル・ホッケー・リーグ(NHL)モントリオール・カナディアンズ、大手スーパーマーケットのロブロウや、個人ではブライアン・マルルーニ、ポール・マーティン、ジャン・クレティエンの元3首相の名前もあったとしている。
基本的にはオフショア対策は違法ではないという。そのため、今回の件について各企業や個人は「合法に適切に処理している」と説明している。
今回の文書で最も注目を集めているのはスティーブン・ブロンフマン氏。2015年総選挙でジャスティン・トルドー自由党の献金対策・収支監督を担当した。またトルドー家とも家族ぐるみの付き合いがあることでも知られている。CBCによれば、ブロンフマン氏と彼の投資会社クラリッジは、ケイマンアイランドにあるオフショアトラストの600万米ドルに関連してカギを握っているとされている。それはカナダが何百万ドルにのぼる税収を失っている可能性につながるとしている。
これについて6日からの国会では、野党からトルドー首相への批判が相次いだ。今夏、税制改革を打ち出し中小企業を対象とした「抜け道」の是正を訴えた自由党が、富裕層、しかもトルドー首相の友人が納税回避の可能性があることに批判が集中している。自由党は2015年総選挙で中間層への支援と富裕層への増税、租税回避の追及を訴えていた。トルドー首相は今回の批判に対し、自由党政権は租税回避については多くの予算を付けて対策を講じていると反論した。租税回避への抜け道を塞ぐ方法については、自由党はこれまでのところ対策を発表していない。新民主党(NDP)がこれについては法案を提出した。
今回の大量文書の大半が、バミューダ諸島に拠点を置くオフショア投資の顧客を多く持つ法律事務所「アップルビー」から流出した。同法律事務所が抱える顧客のトップはアメリカで、次いでイギリス、中国、カナダとなっている。