2018年7月5日 第27号
オンタリオ州トロント市東部の遊園地で6月14日、何者かが銃を乱射、遊んでいた子供2人が負傷した事件に関して、同市警察は容疑者2人を全国に指名手配した。
事件が起こったのは同日午後5時ごろで、場所はマッコーワン・ロードとスティールズ・アベニューの交差点付近の遊園地。6月29日に警察が公表したところによると、拳銃を持った2人の男が車から降り、遊園地内で子供と一緒にいた男性に向かって10発以上を発砲した。この時遊園地には11人ほどの子供が遊んでいたが、その中の5歳と9歳の姉妹に流れ弾が当たった。
2人ともシック・チルドレン病院に搬送された。姉は足に、また妹は下腹部に銃弾を受けたという。何度かの手術を繰り返したのち、現在は自宅で療養しているという。
警察によると、居合わせたほかの子供たちはショッキングな光景を目の当たりにしてしまったことから、もう遊園地には行きたくないと語っており、彼らも被害者だと語っていた。事件から18時間後、警察はトロントの東にあるピカリング市で犯行に使われた車を発見、運転していたシェルドン・アイヤ容疑者(21歳)を、2件の殺人未遂などの容疑で逮捕した。さらに共犯者とみられるタリック・ロバートソン容疑者(24歳)とトゥクワン・ロバートソン容疑者(23歳)の顔写真を公開、全国に指名手配した。またロバートソン兄弟に便宜を図ると、従犯者として最高14年の禁固刑に処されると警告している。
さらに警察は、銃撃された男についても身元は判明しているとし、その行方を追っているという。
2018年6月28日 第26号
カナダ政府がマリファナ合法化を10月17日からとすることを20日、発表した。ジャスティン・トルドー首相が明言した。
翌日から国会が夏の休会となる前の最後の公式記者会見に臨んだトルドー首相は、マリファナの合法化が10月にずれ込んだことについて、各州政府から法整備などの時間がかかるため準備期間が必要との要望があったためと語った。
マリファナ合法化を公約としていた自由党は、政権交代後2018年7月1日のマリファナ合法化を目指すとしていた。しかし上院での審議が難航したことや、州政府から性急すぎる合法化に疑問視する声が上がったため、7月1日の目標達成は難しいとの見方が大半を占めていた。それでも9月初めには合法化できるとの見通しをしていたが、結局10月にずれ込んだ。
トルドー首相は合法化の理由をこれまで通り、闇市場への流れを断ち切り、犯罪者の資金源となることを食い止め、子供たちをマリファナから守るためと繰り返した。
2018年6月28日 第26号
オンタリオ州トロント市ジョン・トーリ市長は26日、これ以上の難民受け入れは連邦、州政府の支援がない限り不可能との見解を示した。
アメリカから国境を越えて来る難民が急増しているカナダでは、その受け入れ先の体制が間に合わないことから連邦政府に支援を求める声が各州政府からこれまでも上がっていた。
今回はカナダ最大都市トロントが悲鳴を上げた。トロント市は現在約3千人を受け入れている。このうち200人が子供という。しかし、滞在先として使用している大学の寮を8月初旬には大学生のために大学側に引き渡さなければならないことから、滞在している難民の滞在先確保が難しいなどの障害が出ていると語った。
トーリ市長は記者会見で、「トロント市が難民を拒否しようとしているわけではない」と語り、「このままではコミュニティセンターなどを難民のために使用する必要が出てくるが、そうなれば一般市民にも影響が出る」と述べた。難民問題を解決するためには一刻も早い連邦政府や州政府の支援が必要、トロント市だけでは財政的にも、人材的にも、限界にきていると訴えた。大学の寮以外にもモーテルやホテルなどを利用しているという。
トーリ市長はすでに連邦政府に連絡しているという。自由党政権はアメリカからの難民対策として、オンタリオ州に1100万ドルを支援すると発表している。カナダ全体では5千万ドルを予定している。
アメリカでトランプ政権が誕生して以降、カナダ・アメリカ国境を越えてカナダに違法に入国してきた難民が、すでに3万人にも上っているとされている。
ケベック州政府は今年4月には難民のための住居確保が難しいとして、アメリカからの難民に住居提供をしないと発表した。トロント市によればアメリカからケベック州に入国する難民は毎日約400人という。その一部をトロント市が受け入れている。トロント近郊都市とも連絡を取り、受け入れ先を探しているという。
トーリ市長は改めて連邦政府と州政府による対策と支援が早急に必要と訴えた。
2018年6月28日 第26号
毎年首都オタワでカナダデーを迎えるのが慣わしとなっているカナダの首相が、今年は首都以外の3都市でカナダデーを過ごすことが分かった。カナディアンプレスが25日伝えた。
1日で3都市を回るというトルドー首相が訪問するのは、オンタリオ州リーミントン、マニトバ州レジャイナ、ユーコン準州ドーソンシティ。カナディアンプレスによると、カナダ国民と、その家族との時間を過ごしたいというカナダ政府広報の発表だが、少なくとも訪問する2都市は今回トランプ政権が発表した高関税で影響を受ける都市だという。
カナダのナショナルホリデーですらアメリカの影響からは逃れられないということのようだ。
カナダ政府は7月1日からアメリカ政権の高関税への対抗措置を実施する。
2018年6月28日 第26号
連邦新民主党(NDP)ジャグミード・シング党首が21日にCBCのラジオ番組に出演し、18日に実施されたケベック州での補欠選挙で大敗したことについて語った。
結果については「残念だった」と述べ、これからケベック州での活動をより強めていかなくてはいけないことがはっきりと分かった戦いだったと語った。
補欠選挙があったチクティミ-レ・フョルド選挙区は、2011年の総選挙でNDPが獲得した選挙区。その時は得票率37・7パーセントだった。この時の総選挙では、ジャック・レイトン元党首のカリスマ的な選挙活動でオレンジウェイブといわれる現象が起き、NDPが野党第一党まで駆け上った。
2015年の総選挙の時は29・7パーセント。自由党に議席を奪われたが接戦だった。
しかし今月18日の選挙ではわずか8・6パーセント。党首が昨年交代したばかりとはいえ、ケベック州での厳しい戦いの現実を突きつけられた形となった。
ケベック州を制する党がオタワを制す。ケベック州での敗北は選挙の敗北を意味する。そのため各党が最も選挙活動に力を入れる州でもある。
ケベック州では近いうちにもう一つ補欠選挙が予定されている。先週辞職したトム・マルケア前NDP党首のモントリオールのアウトレモント選挙区。日程は決定していないが、今年中に実施される予定。この選挙区は2007年にマルケア前党首が自由党から奪った選挙区で、ケベック州でのNDPの象徴的選挙区とされてきた。しかし今回は暗雲が立ち込めている。
なぜここまでNDP支持がケベック州で落ち込んだのかは明確には分からないが、これからNDPがケベック州で成功するためには、より強力な選挙活動が必要となると専門家は語る。
そのためにはどこかの補欠選挙でシング党首自身が議員となることが、まず第1歩との指摘もある。
ただ、この点についてシング党首は最適な選挙区を模索中とだけ答えている。マルケア前党首の選挙区での出馬も考えられるが、本人は2019年総選挙に向けて議席なしでも戦えるとも語っている。