2018年7月19日 第29号
ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンド市で企画されているバーベキューパーティーが、その内容が露骨な政治家支援だとして、ネット上で炎上している。
バーベキュー・パーティーを企画、ポスターを製作したのはリッチモンド農地オーナー連合(Richmond Farmland Owner's Association)。同市では現在、農地に建てられる巨大豪邸が問題になっている。農地の住宅に適用される、緩い床面積制限(1万764平方フィート以下)を逆手に取ったメガ豪邸に非難が高まる中、その上限を引き下げようという動きに反対しているのが、このオーナー連合。
その団体が初めて企画したバーベキュー・パーティーだが、そのネット上に投稿されたポスターには『(政治団体)リッチモンド・ファースト・シティの候補ピーター・リウ氏、サニー・ホー氏、アンディ・ホッブス氏、また現市議会議員デレク・ダン氏、ビル・マクナルティ氏、そしてリンダ・マクフェイル氏への資金集め』と明記され、参加者に対し、おいしい料理、ライブ演奏を楽しみながら、これら候補を支持しようと呼びかけている。5月にはマクナルティ、マクフェイル、およびダン議員が巨大豪邸の床面積の上限を引き下げる動議に反対したことから、いくつかのメディアが今回の資金集めパーティーを非難している。
来年の市議会議員選挙に向けて活動しているジョン・ロストンさんは、市議会議員が巨額の富をもたらすメガ豪邸を容認することは、ただそのオーナーに感謝を表しているだけだとツイッターで非難している。またハロルド・スティーブンス市議会議員も『彼らに落選を(VoteThemOut)』というハッシュタグで、「6人の市議会議員候補が納屋の扉を開け、農地住宅に関する憶測の渦を解き放った。彼らの事務所には、農地オーナー団体から資金が流入し続けている」と書き込んでいる。
2018年7月12日 第28号
連邦新民主党(NDP)のベテラン議員が相次いで、来年実施される総選挙へ立候補しないことを表明した。オンタリオ州ハミルトンのデイビッド・クリストファーソン議員とケベック州モントリオールのヘレン・ラバーディエール議員。
クリストファーソン議員は5日に自身のウェブサイトとツイッターで、立候補しないことを表明した。「30年以上政治家として、市議、州議会議員、連邦議員として、ハミルトンの人々に選んでもらった。しかし、今回は連邦議員として6期目を目指さないという結論を出した」とつづり、「2019年10月に現在の任期が終わったら、政治活動から離れるつもりでいる」と語った。
クリストファーソン議員は2004年に連邦議員として初当選。それまでに市議やオンタリオ州議会議員を務めた。2012年からはNDP副党首も務めるなど、党内で重要な役割を果たしてきた。今回の発表では明確な理由は公表していない。
クリストファーソン議員は先月閉会した国会会期中に、保守党が提出した動議に対して、党の方針に背いて賛成票を投じて、ジャグミート・シング党首から党の役員を解かれるという処分をされたという経緯がある。その後、処分は取り消されたが、処分を巡っては党内から公にシング党首を批判するなど、不満が噴出した。その数カ月後の不出馬表明となった。
それから4日後の9日には、ラバーディエール議員が立候補しないことを表明した。「私にとっては若い人たちのために選挙区を明け渡すことが重要と考えている」と理由を語った。「正直言って、来年で64歳になるし、この年になると、夫や、家族や、友人ともっと一緒に過ごしたいと思うようになるし、これまでできなかったこともやりたいし」と語っている。
ラバーディエール議員は、ケベック州でもモントリオールのローリエ- セントマリー選挙区で、2011年に当時のケベック連合党(BQ)ジル・デュセペ党首を破って当選した。1990年代からこの選挙区で当選してきた、まだ勢いのあったBQ党首を破っての当選は、誰も予想していなかった。本人ですら当時を振り返り、「当選するとは思っていなかった」とインタビューに答えている。
この年の総選挙では、いわゆる「オレンジ・ウェーブ」が全国を席巻した。特にケベック州では75議席中59議席をNDPが獲得。ラバーディエール議員は、その勢いが彼女の当選を後押ししたと語っている。しかし、2015年選挙でも再選。モントリオールでジャスティン・トルドー自由党候補者をおさえての当選だった。
元外交官でもあるラバーディエール議員は、NDPでも外交関係を担当した。最近では、党首選でシング党首の最大の支援者として活躍。「自分の理想とする理念に近い」ことが理由という。
今回のラバーディエール議員の事実上の退職表明は、シング党首にとっては党内での最大の支援者を失うことになった。
NDPは他にも、先月辞職を表明したトーマス・マルケア元党首や、今年10月のブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバー市長戦に出馬を表明しているバーナビー市の選挙区ケニー・スチュワート議員らが、来年の立候補から外れることが決まっている。
2018年7月12日 第28号
中長距離バス会社グレイハウンド・カナダは9日、カナダ西部で運行している路線のほとんどを10月31日で廃止すると発表した。
影響を受けるのはブリティッシュ・コロンビア(BC)州、アルバータ州、サスカチワン州、マニトバ州、オンタリオ州北部。BC州では唯一、アメリカ・ワシントン州シアトルーバンクーバー間の運行のみ存続させる。この路線は、アメリカのグレイハウンドとボルトバスが運行している。オンタリオ、ケベック州の主要路線は影響を受けない。
グレイハウンド・カナダ副社長スチュワート・ケンドリック氏は「残念な決定だと思っている。地方の小さな町の人々が長距離運行バスを失うことを気の毒には思う」と声明を発表した。
グレイハウンド・カナダによれば、今回の運行廃止で約200万人の足に影響がでるという。
ただ、同社は2010年から41パーセント利用者が減少しているとも報告。その理由に、政府の補助金による国内・国際的企業の輸送サービスの運行、新しい低価格航空会社の台頭、法的制約、自家用車の増加などを挙げている。
ケンドリック氏は、グレイハウンド・カナダの抱える懸念については、これまでに連邦政府、関連州政府に通達してきたという。今後も連邦政府に働きかけるとしている。
今回のグレイハウンド・カナダの決定で最も影響を受けるのは、遠隔地に生活する自動車を持たない人々だと専門家は警鐘を鳴らす。特に、カナダ北部の先住民族を直撃すると語っている。
BC州政府クレア・トレべナ運輸相は、これから他の輸送サービス会社や民間企業、関係する市町村と話し合いたいと、対策を講じる姿勢を声明で発表した。
今回の運行路線廃止に伴い、同社のカナダ雇用者数の47パーセントにあたる、415人の雇用が失われる。
2018年7月12日 第28号
アメリカ・ワシントン州シアトルに本社を置く通信販売大手アマゾンが10日、オタワにフルフィルメントセンターを設置すると発表した。約600人の雇用が見込まれている。
ここでは大型の室内装飾品やスポーツ用品、ガーデニング機器などを包装、郵送する。
オタワでは9万2900平方メートルのセンターを建設予定で、オンタリオ州では5番目となる。
アマゾンはオンタリオ州ですでに、ブランプトン、ミササガ、ミルトンで約2千人を雇用している。
カナダでは、オンタリオ州のほかに、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州、アルバータ州にも同様のセンターがあり、BC州バンクーバー市にはテクノロジーセンターも置かれている。アマゾンのカナダ国内での雇用は6千人を超えている。
アマゾンカナダのグレン・ソマービル氏は「オンタリオ州にはアマゾンのビジネスにとって、引き続き素晴らしい場所を提供してもらっている。カナダの首都圏にフルフィルメントセンターを建設できることをうれしく思っている」と声明を発表した。
アマゾンは北米第2本社建設予定地を現在模索中で、最終候補地にはカナダでは唯一、オンタリオ州トロント市が選ばれている。
2018年7月12日 第28号
国内の自動車販売数が4カ月連続で減少していることが分かった。デスロジャーズ・オートモーティブ・コンサルタンツが4日に発表した6月の自動車販売数では、前年同月比で1・6パーセント減少した。
乗用車が6万1153台で8パーセント減、一方で軽トラックが13万9003台で1・4パーセント増加した。軽トラック部門が全自動車販売数の約69パーセントを占めた。
カナダの自動車産業は厳しい状況に立たされている。アメリカのドナルド・トランプ政権は、6月1日から実施した鉄鋼・アルミニウムへの高関税に加えて、自動車と自動車部品への高関税措置も検討していることを示唆している。もし実施されれば、製造業の自動車産業だけでなく、自動車販売にも大きな影響を及ぼすとみられている。