2018年7月12日 第28号

 ブリティッシュ・コロンビア州西海岸中部の町ベラクーラで9日、自宅に現れたグリズリーベアの様子を見に外に出た自然保護官が、母親グマに襲われた。 

 自然保護官のジョーダン・カーベリーさん(50歳)の自宅にクマが最初に現れたのは、前日夜のことだった。家に戻った際、車のヘッドライトに照らし出されたクマを見つけたが、威嚇して追い払った。

 そして翌朝5時ごろに目が覚めたカーベリーさんは、家の外で何かが動いているのに気づいた。根っからのクマや野生動物好きのカーベリーさんは、これまでも様々な動物の写真をインターネットに投稿してきている。この朝も早速携帯電話を取り出し、外に出てみた。

 そこで彼が見つけたのは、桜の木に登った何匹かのクマだった。それが子グマだと気づいたのは、その枝が折れ一匹が地面に落ちた時だった。その瞬間、彼の視界の隅に、彼に向かって突進してくる母親グマの姿が入ってきた。「母親グマの目はまっすぐ私を睨みつけていた」と、病院のベッドで当時の様子を説明するカーベリーさん。

 ドアまでの距離は10メートルほどしかなかったはずだが、間髪入れず家に向かって走り始めたカーベリーさんは、追いつかれた母親グマに頭を噛みつかれ、そのまま放り投げられ宙を舞った。クマは地面に落下したカーベリーさんの、今度は右臀部から大腿部に噛みつき、再び放り投げた。以前、保安官としてクマと対峙する時の講習を受けていたカーベリーさん、足をクマの方に向け、近づいてくるクマの顔にめがけ、力の限りキックを繰り出した。クマがひるむすきに立ち上がったカーベリーさんは、さらに拳でクマの顔を殴りかかった。しかし「母親グマの動きは、まるでチャンピオン級のプロボクサーだった」とカーベリーさん。彼がパンチを繰り出す度、すっと頭をそらしてかわす母親グマ。しかしこの時にできた間合いは、カーベリーさんが家の中に逃げ込むのに十分な時間を稼いでくれた。

 携帯電話は外で落としてしまったし、そもそも彼の自宅は圏外だった。頭皮の一部ははがれ落ち、胸に深い傷を負い、さらに臀部と大腿部にもクマに噛まれた深い傷、下腹部にも大きな傷を受けたカーベリーさんは、かなり出血していた。

 固定電話も引いていなかったカーベリーさんにとって、助けを求める唯一の方法は、自分で病院までたどり着くことだった。

 家を出て、車に向かう一瞬にも母親グマが襲いかかってきたものの、無事車に乗り込むことができた。10分ほどで病院に着いたカーベリーさんは、その日の午後にバンクーバー総合病院に搬送され、へそ部分の脱腸の治療のための手術も受け、療養中だ。

 カーベリーさんは取材に対し、けががこの程度で住んだのは不幸中の幸いだったと語っている。彼は今までにもっとひどい状態を何度も目の当たりにしてきた。「目をえぐられるか、頸動脈を掻き切られるか。または腹部が引き裂かれ内臓をずたずたにされることもある。自分はそんな目にあわずにすんだ」とカーベリーさん。

 今回の母親グマの襲撃は自然な防衛行動とみなされ、自然保護局では、このクマの駆除などは考えていないという。その代わりに、クマを引き寄せない対策としてカーベリーさんには、桜の木を切り倒すか電気防護柵を巡らせるよう命じている。またカーベリーさんも、クマを責める気は全くないと語っている。

 

 

 

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