2018年7月12日 第28号
中長距離バス会社グレイハウンド・カナダは9日、カナダ西部で運行している路線のほとんどを10月31日で廃止すると発表した。
影響を受けるのはブリティッシュ・コロンビア(BC)州、アルバータ州、サスカチワン州、マニトバ州、オンタリオ州北部。BC州では唯一、アメリカ・ワシントン州シアトルーバンクーバー間の運行のみ存続させる。この路線は、アメリカのグレイハウンドとボルトバスが運行している。オンタリオ、ケベック州の主要路線は影響を受けない。
グレイハウンド・カナダ副社長スチュワート・ケンドリック氏は「残念な決定だと思っている。地方の小さな町の人々が長距離運行バスを失うことを気の毒には思う」と声明を発表した。
グレイハウンド・カナダによれば、今回の運行廃止で約200万人の足に影響がでるという。
ただ、同社は2010年から41パーセント利用者が減少しているとも報告。その理由に、政府の補助金による国内・国際的企業の輸送サービスの運行、新しい低価格航空会社の台頭、法的制約、自家用車の増加などを挙げている。
ケンドリック氏は、グレイハウンド・カナダの抱える懸念については、これまでに連邦政府、関連州政府に通達してきたという。今後も連邦政府に働きかけるとしている。
今回のグレイハウンド・カナダの決定で最も影響を受けるのは、遠隔地に生活する自動車を持たない人々だと専門家は警鐘を鳴らす。特に、カナダ北部の先住民族を直撃すると語っている。
BC州政府クレア・トレべナ運輸相は、これから他の輸送サービス会社や民間企業、関係する市町村と話し合いたいと、対策を講じる姿勢を声明で発表した。
今回の運行路線廃止に伴い、同社のカナダ雇用者数の47パーセントにあたる、415人の雇用が失われる。