2018年7月12日 第28号
連邦新民主党(NDP)のベテラン議員が相次いで、来年実施される総選挙へ立候補しないことを表明した。オンタリオ州ハミルトンのデイビッド・クリストファーソン議員とケベック州モントリオールのヘレン・ラバーディエール議員。
クリストファーソン議員は5日に自身のウェブサイトとツイッターで、立候補しないことを表明した。「30年以上政治家として、市議、州議会議員、連邦議員として、ハミルトンの人々に選んでもらった。しかし、今回は連邦議員として6期目を目指さないという結論を出した」とつづり、「2019年10月に現在の任期が終わったら、政治活動から離れるつもりでいる」と語った。
クリストファーソン議員は2004年に連邦議員として初当選。それまでに市議やオンタリオ州議会議員を務めた。2012年からはNDP副党首も務めるなど、党内で重要な役割を果たしてきた。今回の発表では明確な理由は公表していない。
クリストファーソン議員は先月閉会した国会会期中に、保守党が提出した動議に対して、党の方針に背いて賛成票を投じて、ジャグミート・シング党首から党の役員を解かれるという処分をされたという経緯がある。その後、処分は取り消されたが、処分を巡っては党内から公にシング党首を批判するなど、不満が噴出した。その数カ月後の不出馬表明となった。
それから4日後の9日には、ラバーディエール議員が立候補しないことを表明した。「私にとっては若い人たちのために選挙区を明け渡すことが重要と考えている」と理由を語った。「正直言って、来年で64歳になるし、この年になると、夫や、家族や、友人ともっと一緒に過ごしたいと思うようになるし、これまでできなかったこともやりたいし」と語っている。
ラバーディエール議員は、ケベック州でもモントリオールのローリエ- セントマリー選挙区で、2011年に当時のケベック連合党(BQ)ジル・デュセペ党首を破って当選した。1990年代からこの選挙区で当選してきた、まだ勢いのあったBQ党首を破っての当選は、誰も予想していなかった。本人ですら当時を振り返り、「当選するとは思っていなかった」とインタビューに答えている。
この年の総選挙では、いわゆる「オレンジ・ウェーブ」が全国を席巻した。特にケベック州では75議席中59議席をNDPが獲得。ラバーディエール議員は、その勢いが彼女の当選を後押ししたと語っている。しかし、2015年選挙でも再選。モントリオールでジャスティン・トルドー自由党候補者をおさえての当選だった。
元外交官でもあるラバーディエール議員は、NDPでも外交関係を担当した。最近では、党首選でシング党首の最大の支援者として活躍。「自分の理想とする理念に近い」ことが理由という。
今回のラバーディエール議員の事実上の退職表明は、シング党首にとっては党内での最大の支援者を失うことになった。
NDPは他にも、先月辞職を表明したトーマス・マルケア元党首や、今年10月のブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバー市長戦に出馬を表明しているバーナビー市の選挙区ケニー・スチュワート議員らが、来年の立候補から外れることが決まっている。