2018年7月12日 第28号
カナダ統計局は6日、6月の就業者数が3万1800人だったと発表した。ただ、労働市場への参加が増加したため、失業率は前月の5・8パーセントから6パーセントに悪化した。
就業者数のうちフルタイムが9100人、パートタイムが2万2700人増となった。公的機関への就業が1万1800人増、民間は2千人減。自営 業が2万2千人増。
業種別では建設業、製造業、天然資源産業が好調で、合わせて4万6600人増。一方で宿泊・フードサービス、卸売り、貿易で1万4700人減少した。
地域別ではオンタリオ州が好調で3万4900人増、前月比で0・5パーセント増加、サスカチワン州は1・5パーセント増の8300人となった。
予想に反して6月の雇用統計が好調だったことから、今月11日には、カナダ銀行が金利を引き上げるのではないかと予想されている。現在は1・25パーセント。
ただ、カナダ経済には不安材料も多い。アメリカとの経済関係では、カナダからアメリカに輸出する鉄鋼・アルミニウムに6月1日から高関税が課されたことから、カナダ政府は対抗措置を7月1日から実施。そのため、アメリカから輸入される商品への関税が一部引き上げられたことから、国内の商品が値上げされることが予想されている。
さらに、北米自由貿易協定の交渉も暗礁に乗り上げたままで、今後の交渉次第では厳しい状況が続く。貿易では、アメリカと中国との貿易戦争がカナダにどのような影響を与えるかも不確定要素が多い。
カナダ統計局が同日に発表した貿易収支報告書では、5月のカナダの貿易収支は、27・7億ドルの赤字となり、4月の18・6億ドルから大幅に悪化した。輸入が1・7パーセント増、輸出は0・1パーセント減少した。輸入では、航空機、輸送用機器、エネルギー製品が増加。輸出では、自動車、自動車部品、金属鉱石が不調だった。
カナダの全輸出量の74・2パーセントを占めた5月の対アメリカ貿易では、輸出が0・2パーセント減少し、輸入は1・0パーセント増加。貿易黒字は32・9億ドルと前月の36・9億ドルから減少した。