2018年6月21日 第25号

 ケベック州シクーティミ-レ・フィオード選挙区で18日に実施された連邦補欠選挙で、保守党候補リチャード・マーテル氏が当選した。2015年総選挙では自由党が獲得した選挙区だった。自由党はリナ・ボーヴィン氏を擁立したが、5千票以上の差をつけて大敗した。

 得票率は、マーテル氏が52・7パーセント、ボーヴィン氏が29・5パーセント。その他の党は、新民主党(NDP)が8・7パーセント、ケベック連合党は5・6パーセント、グリーン党は3・1パーセントとほとんど勝負にならなかった。

 今回の補欠選挙では、連邦保守党アンドリュー・シェア党首が同選挙区入りし、積極的な選挙活動を展開した。

 前回総選挙では、自由党、NDP、ケベック連合にも及ばず4番目に終わった保守党。その時は四つ巴の戦いに惨敗した。今回は、党首が変わったNDPと問題を抱えるケベック連合の票が、自由党ではなく保守党に回ったとみられている。

 自由党ジャスティン・トルドー首相にとっては2013年に党首に就任して以来、補欠選挙では初の黒星。今回の選挙は来年の総選挙に向けて、ケベック州で自由党が厳しい戦いを強いられる予兆となった。

 さらに厳しい戦いとなるのはNDP。トーマス・マルケア前党首からジャグミー・シング党首に代わった当初からケベック州で厳しい戦いになるのではと予想されていたが、今回の補欠選挙ではそれが現実となった。

 

 

2018年6月21日 第25号

 オンタリオ州ダグ・フォード次期州首相政権が早速動き出した。18日には州政府関連の雇用と裁量支出を凍結すると発表した。州財政を把握するまでの措置としている。ただし、警察、消防、医療関連については例外と発表した。

 フォード次期州首相は6月7日に実施された選挙で大勝。選挙期間中には、60億ドルの経費削減を公約として掲げていた。その一環として、独立した会計検査員による会計監査を実施することも公約にしている。

 裁量支出には、州外への旅費、コンサルタント会社の利用、不必要なイベントを控えるほか、広告、新聞雑誌購読の停止なども含まれている。

 公約実行はこれ以外にも、15日にはこれまでオンタリオ州が参加してきた気候変動対策の一環、キャップ&トレード制度から撤退すると発表した。カナダ政府が全国的に実施を予定している炭素税に代わる環境対策として認知されている制度で、カナダではオンタリオ州以外にケベック州が参加している。

 同制度からの撤退も進歩保守党の公約の一つ。フォード次期州首相は、この制度から撤退することで、「州民はハッピーだろう」と語り、「これでビジネスや家族の懐が少し温かくなる」と同制度撤退で州民に還元されることを強調した。

 保守党政権は今月29日に正式に就任する予定になっている。

 

 

2018年6月21日 第25号

 ブリティッシュ・コロンビア州メトロバンクーバーの公共交通機関を管轄するトランスリンク社が18日、新たな料金制度を提案した。

 現在導入されているゾーン制度から、距離によって料金が上がる距離制への意向を提案している。スカイトレインとシーバスを利用時が対象となる。

 現在は、メトロバンクーバーを3ゾーンに分け、ゾーンをまたぐと料金が上がる制度になっている。ゾーン内であれば乗った場所から何キロ離れていても料金は同一。しかし、乗った距離が短くてもゾーンをまたげば料金が上がる仕組みになっている。

 これを、乗った場所からの距離で料金が上がっていく仕組みに変更するという提案。乗車地から5キロメートル以内を基本料金内とし、それを越えると次の5キロメートルでは1キロメートルにつき15セントから20セント上がり、その次の5キロメートルでは10セントから15セント上がり、23キロメートルまで上がっていく。

 トランスリンクによれば、制度変更によってトランスリンク社の収支が変更することはほとんどないという。

 これまでの利用者でも約3分の2は料金がほとんど変わらないと試算している。料金が上がるのは現在1ゾーン内で5キロメートル以上の移動をしている利用者で、料金が下がるのは短距離でもゾーンをまたいでいた利用者。特に現在2ゾーンとなっているシーバスは移動距離が約3キロメートルのため、新制度が導入されれば基本料金で利用できることになるという。

 新制度は承認されれば2019年、もしくは2020年に導入される。

 現在バス利用のみに限り単一料金となっている現行制度は新制度が導入されても引き継がれる。また、6時半以降と週末のディスカウント料金制度も残される。

 

 

2018年6月21日 第25号

 カナダでのオピオイド(強力な鎮痛薬)による2017年の死亡者数が約4千人だったことが19日分かった。2016年の約3千人から大きく増加した。

 中でもフェンタニルによる死亡者数が72パーセントを占め、昨年の53パーセントから急増している。

 死亡者のほとんどが男性。特に30歳から39歳で他の死亡原因に比べて大幅に増加しているという報告結果となった。

 地域別ではブリティッシュ・コロンビア州が最も多い。死亡者数は1399人。2016年からの974人から大幅に増加。オンタリオ州でも前年の726人から増加して1125人となっている。

 

 

2018年6月21日 第25号

 中国からの留学生をターゲットにした、架空の誘拐詐欺(Virtual kidnapping)の被害が後を断たない。

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市警察によると、今回被害を受けた女性は、中国当局を名乗る人物から、同国内での資金浄化(マネーロンダリング)犯罪に関わった容疑を告げられた。さらに、捜査と裁判所の費用を支払わない限り、逮捕されると脅されたという。

 この女性は仮想通貨ビットコインの自動預け払い機で費用を払ったものの、さらに示談金の支払いと通常ではない写真の提供を要求された。

 そして、犯人はこの写真を利用して、女性が誘拐されたかのように装い中国国内にいる女性の家族から身代金を巻き上げた。

 市警察によると、同管轄下で架空誘拐詐欺の被害にあったのは、これで3人めだという。警察は留学生に対し、カナダ国内にいる中国人を、中国警察が逮捕することはできないことを理解するよう求めている。また、このような脅しにあった場合は、速やかにカナダ当局に申し出るよう呼びかけている。

 警察によると、犯人はカナダ国外から被害者に接触している模様。また、どのように被害者を選んでいるかについては不明だとしている。

 

 

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これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。