2020年2月13日 第7号

 新型コロナウイルスの感染が中国国内で拡大していることで、カナダの産業に影響を及ぼす可能性があるとの見方を、10日ビル・モルノー外相が示した。

 特に旅行業界、石油・ガス産業や、重要供給が中国と深くつながっているサプライチェーンにも影響が出ると考えられると、アルバータ州カルガリーで語った。

 モルノー外相は、新型コロナウイルスで中国が湖北省を封鎖した頃からすでに原油価格は15パーセント下落していると懸念を示している。

 ただ、カナダ経済全体としては大きな影響はないとの見解を示した。原油価格が下落する中、トロント株式市場には悪影響は現在のところ出ていない。

 今月2月22日、23日にはサウジアラビアで20カ国・地域(G20)財務大臣・中央銀行総裁会議が開催される。財相は新型ウイルスによる影響が議題になることは間違いないだろうと語った。

 

2020年2月13日 第7号

 ブリティッシュ・コロンビア州北部で建設が予定されている、天然ガスを輸送するパイプライン建設に反対する先住民族らが、自分たちの自治区内での工事着工を阻止するためにバリケードを張って車両などを通行止めにしていたため、連邦警察は、6日裁判所からの強制撤去命令を受けて工事着工準備を妨害したとして6人を逮捕した。10日までに28人が逮捕されている。

 建設が予定されているLNG(液化天然ガス)を運ぶパイプライン工事は、コスタル・ガスリンク社が手掛ける事業で、BC州北東部ドーソンクリーク近くから北西部沿岸のキティマットまでの670キロメートルを建設、事業費は約60億ドル。LNG事業は合弁会社LNGカナダが手掛ける。

 このLNG事業は、2018年10月2日にBC州新民主党(NDP)政権が承認した。コスタル・ガスリンク社はパイプラインが通る20の関連先住民族と合意していると発表している。

 しかし今回反対しているのは、ウェツウェテン先住民族の先祖代々からその地域の保護を継承している長たちで、承認した20ネーションの代表とは、その存在意義において一線を画すという。

 逮捕されたのは、ウェツウェテン先住民族たちや、その支援者。警察は工事再開に向けて、妨害があった現場で再びデモが実施されることがないように、その場所に留まっていることが分かっている。

 コスタル・ガスリンク社は11日に声明で、強制執行という形になったことは残念だが、これからもウェツウェテンの長たちとの話し合いの時間を持ち平和的な解決へ向け努力すると発表した。

 BC州ジョン・ホーガン州首相も11日に声明を発表、これまで政府として何度か話し合いを持ったが、残念ながら合意には至らなかったとしながらも、これからもウェツウェテンの長たちとの話し合いは継続していくと強調した。

 

2020年2月13日 第7号

 カナダ統計局は7日、今年1月の労働統計を発表、雇用者数は3万4500人増加したと報告した。これにより失業率も改善、昨年12月の5・6パーセントから5・5パーセントとなった。

 正社員の時給も前年同月比で4・4パーセント上昇した。

 経済専門家は今回の結果によってカナダ銀行が来月4日に発表する金利を、据え置く可能性が出てきたと分析している。カナダ銀行は先月、経済成長がこのまま低調な伸びにとどまる傾向が続いたら金利を引き下げる可能性があると発表していた。

 雇用増加のほとんどはフルタイムで3万5700人増、パートタイムは1200人減となった。業種別で好調だったのは製造業で2万500人増、建設業も1万5800人、農業1万1500人の増加となった。一方でサービス業は1万4500人減、特にヘルスケア、社会福祉が減少した。

 地域別ではケベック州で1万9100人増、マニトバ州で6500人増、ニューブランズウィック州で4600人増。アルバータ州は1万8900人減少した。

 失業率が最も低いのはブリティッシュ・コロンビア州で4・5パーセント。12月の4・8パーセントからさらに改善した。オンタリオ州は5・2パーセント、ケベック州は5・1パーセント。アルバータ州は7・3パーセントで12月の7・0パーセントから悪化した。

 国内の主要都市では、BC州バンクーバーで4・5パーセント、次いでオンタリオ州ハミルトン4・8パーセント、トロントは5・5パーセント、モントリオールは6・0パーセント、アルバータ州カルガリーは7・2パーセント、エドモントンは8・2パーセントだった。

 

2020年2月13日 第7号

 大物ベテラン議員が次々と保守党党首選への不参加を表明する中、政界を離れた元外務大臣が名乗りに興味を示した。

 全国ネット局グローバルの政治番組に出演したジョン・ベアード氏は、立候補するか真剣に考慮していると明らかにした。

 現在立候補を正式に表明し党首に最も近いと言われているのは、元防衛大臣ピーター・マッケイ氏と前回党首選で3番手だったピーター・オトゥール議員の2人。大本命だった元保健大臣ロナ・アンブローズ氏が立候補しないことを表明して以降、マッケイ氏とオトゥール氏の一騎打ちという様相を呈している。

 そこに割って入ろうというのが、興味を示す最後の大物元閣僚ベアード氏。スティーブン・ハーパー元政権で外務大臣や環境大臣などの主要閣僚を歴任、2015年総選挙に出馬せず政界を引退した。

 昨年は、2019年選挙で大敗した要因の調査をアンドリュー・シェア党首から依頼され、すでに報告書を渡したことを明らかにしている。シェア党首に変わる党首を選出する今回の党首選では、ピエール・ポリバー議員の党首選立候補を支えていたが、ポリバー氏は突然、立候補を取り止めた。

 ベアード氏の立候補を強く推しているのがアルバータ州ジェイソン・ケニー州首相。元連邦保守党閣僚だったケニー州首相は、ベアード氏について政治家としての経験も豊富で、英仏バイリンガル、保守党の信念を最も理解している人物と推薦している。

 ベアード氏はテレビインタビューで「党は現代的な保守党となる必要があり、保守党としての価値と信念をもう一度確認し「真の青(保守党カラー)」を出さなければ、自由党もどきの保守党では次の選挙に勝てないと思う」と党のあり方について語った。

 ただ立候補するにはすでに出遅れている可能性も懸念し、毎日周りの意見を聞いていると語っている。

 立候補予定者は3月25日までに党員3千人以上の署名と20万ドルを用意する必要がある。その第1段階として、2月27日までに党員千人分の署名と2万5千ドルの登録料を支払って正式に立候補者として登録しなければならない。

 新党首は今年6月27日に決定する。

 

2020年2月13日 第7号

 中国湖北省武漢が発祥とされる新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない中、新聞社の差別的な見出しが批判を受けている。

 批判されたのは、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーにあるタブロイド紙プロビンス。2月5日発行の第1面に大きく印刷された「中国ウイルス」の見出しは、差別を助長するとSNSを中心に非難の声が多く上がった。赤と黒の文字で「BC州で2件目の中国ウイルス」の見出しは、中国系コミュニティだけではなく、BC州アン・カン議員やBC自由党アンドリュー・ウィルキンソン党首らも、新聞の1面写真を載せ自身のツイッターで問題視した。

 プロビンスとバンクーバー・サンの編集長ハロルド・ムンロー氏は、7日CBCラジオに出演。新型コロナウイルスを「中国ウイルス」としたのは、ウイルスの発祥地という地理的な表現をしただけで差別の意図はなかったと釈明。「見出しの単語がコミュニティに対する差別を助長すると感じるという多くの人の意見を聞いた。その意見は真摯に受け止め、謝罪する」と語った。さらに「見出しに差別を助長する意図はなく、ウイルスに新しい名前を付けるつもりもなかった」とも語った。

 しかし、8日にはバンクーバー市内のバス停の広告に大きく赤いスプレーで「中国ウイルス」の落書きも現れた。

 WHO(世界保健機構)は新型のウイルスが出現した時には、その名前によって否定的な影響がでないよう慎重に命名する必要性を報告している。これまで正式名称はなく「新型コロナウイルス」が一般的に使用されていたが、11日WHOは、呼称をCOVIDー19とすると発表した。

 カナダ国内では、新型ウイルスの世界的な感染拡大にともない中国系コミュニティへの差別的な言動が顕著になってきている。先週カナダ保健省環境衛生局長テレサ・タム氏は中国系、アジア系コミュニティへの差別が報告されていることを懸念していると語った。

 今回の見出しは紙面にのみで使用され、オンラインでは使用されていないことが分かっている。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。