2020年2月13日 第7号

 中国湖北省武漢が発祥とされる新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない中、新聞社の差別的な見出しが批判を受けている。

 批判されたのは、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーにあるタブロイド紙プロビンス。2月5日発行の第1面に大きく印刷された「中国ウイルス」の見出しは、差別を助長するとSNSを中心に非難の声が多く上がった。赤と黒の文字で「BC州で2件目の中国ウイルス」の見出しは、中国系コミュニティだけではなく、BC州アン・カン議員やBC自由党アンドリュー・ウィルキンソン党首らも、新聞の1面写真を載せ自身のツイッターで問題視した。

 プロビンスとバンクーバー・サンの編集長ハロルド・ムンロー氏は、7日CBCラジオに出演。新型コロナウイルスを「中国ウイルス」としたのは、ウイルスの発祥地という地理的な表現をしただけで差別の意図はなかったと釈明。「見出しの単語がコミュニティに対する差別を助長すると感じるという多くの人の意見を聞いた。その意見は真摯に受け止め、謝罪する」と語った。さらに「見出しに差別を助長する意図はなく、ウイルスに新しい名前を付けるつもりもなかった」とも語った。

 しかし、8日にはバンクーバー市内のバス停の広告に大きく赤いスプレーで「中国ウイルス」の落書きも現れた。

 WHO(世界保健機構)は新型のウイルスが出現した時には、その名前によって否定的な影響がでないよう慎重に命名する必要性を報告している。これまで正式名称はなく「新型コロナウイルス」が一般的に使用されていたが、11日WHOは、呼称をCOVIDー19とすると発表した。

 カナダ国内では、新型ウイルスの世界的な感染拡大にともない中国系コミュニティへの差別的な言動が顕著になってきている。先週カナダ保健省環境衛生局長テレサ・タム氏は中国系、アジア系コミュニティへの差別が報告されていることを懸念していると語った。

 今回の見出しは紙面にのみで使用され、オンラインでは使用されていないことが分かっている。

 

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