2020年2月13日 第7号
ブリティッシュ・コロンビア州政府は6日、州営の自動車保険会社ICBC改革に乗り出すことを発表した。今会期中に法案を提出する。
発表によると、これまでの被害者が加害者を訴えて法廷で最大限の治療費などを引き出す制度から、法廷への訴えを起こさずに負傷した被害者、加害者の両方に治療費を支払う制度に変更するという。これによって弁護士料が削減されるため、かなりの支出が抑えられると説明。制度導入初年度で15億ドルの経費削減を見込んでいると語った。
削減された経費分は保険料の引き下げや治療費に充てられる。州政府によると、保険料引き下げ率は1人当たり平均で約20パーセント、年間約400ドル保険料が安くなる計算と説明している。事故を起こした加害者の保険料は引き上げられる。さらに飲酒運転などによる刑事過失がある事故の場合、被害者が加害者を提訴することはもちろんできると説明している。
ICBCは過去2年間で25億ドルの損失を出していて、保険料も急上昇している。
今回の改革案は順調にいけば2021年5月から実施される。記者会見したBC州ジョン・ホーガン州首相は「州民の保険料はもっと低くて当然だし、事故のときはもっとケアが必要。州民にはもっと公平な対応を受ける権利がある」と述べ、新しい制度はそれを実現できると語った。
同様の制度は、サスカチワン州とマニトバ州で導入されている。デイビッド・イービー司法長官は「他州と比較するとBC州の保険制度は支払う保険料は理不尽に高いのに、受け取る時はみすぼらしいほど少ない」と語り、新制度の必要性を訴えた。
新制度導入については、弁護士協会からは州民の訴える権利を奪うものだとして反対の声が上がっている。野党自由党は、事故でケガをしても独占企業のICBCと一生闘わなくてはいけないと、新民主党の政策を批判する声明とアンドリュー・ウィルキンソン党首が発表した。
一方で、障がい者団体や医療関係機関からは、迅速に負傷者への対応ができると評価されている。