2020年2月13日 第7号

 ブリティッシュ・コロンビア州北部で建設が予定されている、天然ガスを輸送するパイプライン建設に反対する先住民族らが、自分たちの自治区内での工事着工を阻止するためにバリケードを張って車両などを通行止めにしていたため、連邦警察は、6日裁判所からの強制撤去命令を受けて工事着工準備を妨害したとして6人を逮捕した。10日までに28人が逮捕されている。

 建設が予定されているLNG(液化天然ガス)を運ぶパイプライン工事は、コスタル・ガスリンク社が手掛ける事業で、BC州北東部ドーソンクリーク近くから北西部沿岸のキティマットまでの670キロメートルを建設、事業費は約60億ドル。LNG事業は合弁会社LNGカナダが手掛ける。

 このLNG事業は、2018年10月2日にBC州新民主党(NDP)政権が承認した。コスタル・ガスリンク社はパイプラインが通る20の関連先住民族と合意していると発表している。

 しかし今回反対しているのは、ウェツウェテン先住民族の先祖代々からその地域の保護を継承している長たちで、承認した20ネーションの代表とは、その存在意義において一線を画すという。

 逮捕されたのは、ウェツウェテン先住民族たちや、その支援者。警察は工事再開に向けて、妨害があった現場で再びデモが実施されることがないように、その場所に留まっていることが分かっている。

 コスタル・ガスリンク社は11日に声明で、強制執行という形になったことは残念だが、これからもウェツウェテンの長たちとの話し合いの時間を持ち平和的な解決へ向け努力すると発表した。

 BC州ジョン・ホーガン州首相も11日に声明を発表、これまで政府として何度か話し合いを持ったが、残念ながら合意には至らなかったとしながらも、これからもウェツウェテンの長たちとの話し合いは継続していくと強調した。

 

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