2019年1月1日 第1号

 連邦政府は12月16日、原油価格の下落で厳しい状況に陥っているアルバータ州の石油・天然ガス産業に16億ドルの支援を行うことを発表した。

 アマルジート・ソーヒ天然資源相とジェームズ・カー国際貿易多様化相が同日に同州エドモントン市を訪問。クリーン技術への投資や新市場の開拓などを計画している企業を対象としている。

 カー国際貿易多様化相は「連邦自由党政権はカナダの天然資源産業を保護し促進するために新しい形で次の重要な一歩を支援する」と述べ、アルバータ州の天然資源産業が従来型の経済ではなく未来の重要な産業へと変身するために必要な措置と語った。

 ソーヒ天然資源産業相は、この支援は革新技術への設備投資を模索している企業や新たな市場開拓を確信している企業で資本の支援が必要と認められる企業を支援するプログラムと語り、改めてアメリカ以外の市場開拓とパイプラインの建設がアルバータ州の天然資源産業には必要と語った。

 同州レイチェル・ノッテリー州首相は訪問していたカルガリー市で記者団の質問に答え、今回の連邦政府の発表を歓迎すると語ったが、あくまでも一つの支援策に過ぎない、根本的な問題解決とはならないと語った。

 一部のメディアによると、現在アルバータ州の石油産業は1日8千万ドルを毎日損失しているとの試算を紹介している。理由は市場がアメリカのみであること、アメリカの石油が供給過多となっていることを挙げている。

 アルバータ州政府はすでに石油生産量の削減を2019年1月から実施すること、石油輸送用列車の車両約7千台を購入することなどの対策を発表している。

 連邦自由党政権とアルバータ州は、トランスマウンテン・パイプライン拡張工事を巡って緊張した状態が続いている。2016年に連邦政府が承認した直後や2018年1月にブリティッシュ・コロンビア州政府が環境対策を理由にパイプライン承認の基準を強化すると発表した時には、連邦政府とアルバータ州政府が協調して、BC州政府との対立を鮮明にしていた。しかし2018年8月に裁判所がパイプライン拡張工事を環境対策の不備と先住民族との対話を理由に一時停止して以降は、連邦政府が消極的な姿勢を示していることからアルバータ州政府が連邦政府に圧力をかけている。

 

2019年1月1日 第1号

 先住民のアンガス・アンダーセンさんはニューファンド・ラブラドール州の北端に近い、現在はトーンガット・マウンテン国立公園の中で、1960年代に生まれた。学校に上がるまではここで暮らし、その後学校に通うため、そこから約4百キロメートル南に下った町ネーンに移った。ネーンは同州の中で通年で人が暮らす最北端の町で、人口は千人余り。

 そんなアンダーセンさんが現在暮らす、同州セントジョンズの自宅にインターネットはない。彼は毎日ショッピングモールやお気に入りのコーヒーショップ、ティムホートンズなどWi-Fiが使えるところへ出向き、ツイッターにログインする。

 そして彼がツイッターで発信するのは、彼の先住民言語イヌクティトゥット語の、一日一語講座だ。「今日の言葉は『タシウヤク(tassiujak)』、塩水の池のことだ」と書き込むアンダーセンさん。「塩水の池がどこにあるかを知っていれば、魚や小さな獲物がどこで獲れるかを知っていることになる」

 彼の父親、そして両方の祖父母は漁で生計を立てていた。そのことが自分にとって幸運だったと語るアンダーセンさん。どうやって狩りをしたり罠を仕掛けたりするか、またどうやって自然の中で生きていくかを学ぶことができたからだ。

 そんな彼だが、かつて学校に通っていた頃にはイヌクティトゥット語を忘れかけていた。もし彼の祖母が彼に対し、イヌクティトゥット語で話しかけなければ、一切口をきかないと言わなかったなら、彼は永遠にこの言葉を忘れ去っていたかもしれない。

 卒業後、カナダ南部で仕事に就いたアンダーセンさんは、約20年前にセントジョンズに落ち着いた。以来、第二の故郷ともいえるネーンには帰っていない。彼によるとネーンには飛行機でしか行けないが、料金が2千ドル近くするという。しかしなつかしい当時の記憶は鮮明に残っており、それが今日の彼の活動の原動力となっている。

 彼はツイッターで発信する以外にも、フェイスブックや個人レッスンでイヌクティトゥット語を教えている。さらにソープストーン彫刻、ラブラドール先住民の歴史講義なども行っている。「植民地以前から現在に至るまでの、約8千年の歴史を1時間の授業で教える」と、彼は笑って答えている。

 ソーシャルメディアを使って先住民の知識を伝えることについてアンダーセンさんは、その時代に合った方法で先住民たちがやるべきことをやっているつもりで、きっと祖父母たちも認めてくれるだろうと話している。

 彼が一日一語講座を始めたころ、そのフォロワー数は137人だったが、今では3千人を超えている。オタワのカレッジで教壇に立って2年になるラシェル・ビロンジェさんは、アンダーセンさんのツイッターを知った瞬間からフォロワーになり、さらに彼の一日一語講座を、彼女の教えている授業に組み込みたいと申し出た。

 アンダーセンさんは、自分と同じようなことを多くの先住民などがやり始めていることに触れ、まわりの人が先住民のことを学んでくれることの手助けができたらという思いだと、語っていた。

 

2019年1月1日 第1号

 オンタリオ州トロントに本社を置くカナダグースは、メード・イン・カナダにこだわる高級ダウンジャケットとして有名だが、イギリスのある高校ではこの冬、生徒にこのブランドの着用を禁止する通達を出した。

 このジャケットを買えるかどうかが家庭の裕福度の指標にされ、買えない貧困家庭の生徒がいじめを受けるケースが何件か発生したため。

 この高校は、イギリス・イングランド北西部の都市リバプール郊外にあるウッドチャーチ高校で、禁止されたのはカナダグースのほか、フランスのモンクレール、ピレネックスなど高級ジャケットを販売しているブランド。カナダグースのダウンジャケットの価格帯は、数百ドルから千ドル超となっているが、その高品質から世界的に人気が高い。

 同高校には11歳から16歳までの生徒1427人が在籍しているが、そのうちの約46パーセントは低所得者層の家庭の子供だと、取材したアメリカのメディアは伝えている。そういった家庭にとっては、一カ月の家賃に匹敵するようなジャケットを購入することは困難だが、他の生徒からのプレッシャーから親にそれをせがむ生徒がいることも、今回の禁止の理由だと学校側は説明している。通達の中で学校側は、「こうした高級ジャケットが、生徒間の不平等感を助長、低所得層の生徒と家庭をおとしめることになっている」と指摘している。

 マーケットリサーチ会社が行った調査によると、回答者の3分の2が同校の決定を支持しているという。なお同校は2年前にも同じ理由から、生徒が高級ブランドのバックパックを持ち歩くことをやめさせるために、学校指定のバックパックを義務付けている。さらに着ている服によるいじめを減らすため、制服を着用しなくてもよい私服登校の日数すら、削減している。

 いわゆる貧困を恥じる風潮への対応は、イギリス国内で様々な形で広がっている。2018年初めには、教室での高級筆箱の禁止を求める全国運動が、チャリティ団体によって開始された。

 

2019年1月1日 第1号

 ブリティッシュ・コロンビア州メトロバンクーバー地区の公共交通機関を運営するトランスリンクは12月13日、無料Wi-Fiの導入計画を公表した。

 それによると、同交通機関の利用客から寄せられる要望のうちでも、無料Wi-Fiに関するものが多いという。これを受けトランスリンクは、通信会社大手のショー・テレコミュニケーションズと共同で、交通機関内のWi-Fiネットワークの導入を進めることを決めた。またその設備投資によって、運賃や税金が値上げされることはないと、トランスリンクは明言している。

 またショー・コミュニケーションズも、公共交通機関でのWi-Fi提供により、利用客がシームレスに家族や友人、コミュニティとのつながりを維持できるようになるとコメントしている。なお、このWi-Fiを利用するために、ショー・コミュニケーションズに登録する必要はない。

 Wi-Fiシステムの設計は2019年から始まり、試験運用も2019年中に開始される予定。2020年にはスカイトレインとバスで運用が開始され、2025年にはトランスリンクが運用するすべての交通機関で利用可能となる予定。

 トランスリンクの利用客は、1日あたり約50万人となっている。

 

2019年1月1日 第1号

 酒気帯びや、薬物の影響下での運転等に対する罰則が強化された道交法が、12月18日より施行された。

 また検問する警察官には、これまでよりも強い権限が与えられる。今までは検問中であっても、ドライバーが酒気帯びであると十分疑える場合にしか呼気中のアルコール濃度検査を行えなかったが、今回の改正では停止させたドライバーに対し、無条件で検査を行うことができるようになった。さらに検査機器に関しても、法務長官の承認を得ているものであれば、どれでも自由に使用できるようになった。

 禁固刑は今までの最長5年が10年に延長されたほか、危険運転や酒気帯び・薬物運転のほか、ひき逃げや警察からの逃走を図ったドライバーを、検察が危険犯罪人に指定することも可能となった。

 そのほかには、重度ではない薬物の影響下での運転に対する罰則が設けられた。罰則は最高で1000ドルの罰金のほか、最高1年間の免許停止となる。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。