2019年1月1日 第1号
オンタリオ州トロントに本社を置くカナダグースは、メード・イン・カナダにこだわる高級ダウンジャケットとして有名だが、イギリスのある高校ではこの冬、生徒にこのブランドの着用を禁止する通達を出した。
このジャケットを買えるかどうかが家庭の裕福度の指標にされ、買えない貧困家庭の生徒がいじめを受けるケースが何件か発生したため。
この高校は、イギリス・イングランド北西部の都市リバプール郊外にあるウッドチャーチ高校で、禁止されたのはカナダグースのほか、フランスのモンクレール、ピレネックスなど高級ジャケットを販売しているブランド。カナダグースのダウンジャケットの価格帯は、数百ドルから千ドル超となっているが、その高品質から世界的に人気が高い。
同高校には11歳から16歳までの生徒1427人が在籍しているが、そのうちの約46パーセントは低所得者層の家庭の子供だと、取材したアメリカのメディアは伝えている。そういった家庭にとっては、一カ月の家賃に匹敵するようなジャケットを購入することは困難だが、他の生徒からのプレッシャーから親にそれをせがむ生徒がいることも、今回の禁止の理由だと学校側は説明している。通達の中で学校側は、「こうした高級ジャケットが、生徒間の不平等感を助長、低所得層の生徒と家庭をおとしめることになっている」と指摘している。
マーケットリサーチ会社が行った調査によると、回答者の3分の2が同校の決定を支持しているという。なお同校は2年前にも同じ理由から、生徒が高級ブランドのバックパックを持ち歩くことをやめさせるために、学校指定のバックパックを義務付けている。さらに着ている服によるいじめを減らすため、制服を着用しなくてもよい私服登校の日数すら、削減している。
いわゆる貧困を恥じる風潮への対応は、イギリス国内で様々な形で広がっている。2018年初めには、教室での高級筆箱の禁止を求める全国運動が、チャリティ団体によって開始された。