2018年12月13日 第50号

 ケベック州政府は5日、マリファナの使用最低年齢を現在の18歳から21歳に引き上げる法案を議会に提出した。今年11月の選挙で大勝したCAQ新政権は選挙時に使用最低年齢引き上げを公約として掲げていた。今回の議会ではマリファナの喫煙場所を変更する法案も提出している。これまではタバコの喫煙場所での使用を可としていたが、これを非合法化、公園や通りなど公共の場での使用を禁止する。

 こうした措置についてCAQライオネル・カーマイト保健相は、子供の脳は一般に25歳まで発達を続けるといわれている、成長過程の脳を持つ若者の喫煙は避けることが望ましいと理由を語った。「個人的な見解を言えば」と断り、25歳まで喫煙は避けることが望ましいと思っていると語っている。カーマイト保健相は脳生理学者でもある。

 ただジャスティン・トルドー首相は以前からCAQの使用最低年齢引き上げには反対の立場を示していた。この日も「ケベック州の18歳以上の若者は今は合法にマリファナを購入できるけれども、数カ月すればヘルズ・エンジェルから購入しなければならなくなる」と若者の闇市場からのマリファナ購入を危惧する発言をしている。

 カナダでは今年10月17日から嗜好用マリファナの使用が合法化された。連邦政府は、使用最低年齢18歳以上、栽培は一世帯4鉢まで可、運転中の使用禁止など、大まかな規制は提示しているものの、詳細な法整備は州政府に一任している。

 今回のケベック州政府の法改正に懸念を示しているトルドー首相も、州政府の決定は尊重すると使用最低年齢引き下げなどの要求は行わないとしている。

 多くの州では使用最低年齢を、18歳か19歳に設定している。

 

2018年12月13日 第50号

 カナダ統計局が5日に発表した11月の労働状況報告書で、カナダの失業率が1976年に今の算定方式になって以降で過去最低水準になったことが分かった。

 11月の失業率は5.4パーセント。過去最低だった前月の5.6パーセントを下回った。 就業者数は94100人増。2012年3月以来の大幅な増加数となった。フルタイムが89900人、民間企業への就業者が78600人。ただ平均時給上昇率は1.46パーセントと2017年7月以来の低い伸び率に止まった。

 産業別ではサービス業が67200人と好調で、生産業が26900人、専門職・科学・技術産業が26000人、建設業が14800人だった。

 地域別では失業率が最も改善したのはアルバータ州で7.3パーセントから6.3パーセントへ、サスカチュワン州で6.2パーセントから5.5パーセントに改善した。失業率が最も低かったのはブリティッシュ・コロンビア州で4.4パーセントだった。

 主要都市別では最も低かったのはBC州ビクトリア、ケベック州ケベックシティで3.8パーセント、BC州バンクーバーは0.2ポイント改善して4.1パーセント、アルバータ州カルガリーは0.3ポイント改善の7.9パーセント、オンタリオ州トロントは0.1ポイント改善の6.2パーセント、ケベック州モントリオールは前月と変わらず5.9パーセントだった。

 カナダ銀行は5日、金利を発表。今回は引き上げず現行の1.75パーセントのまま据え置いた。スティーブン・ポロズ総裁は据え置いた理由を、企業の設備投資など雇用以外の経済指標が落ち込んだほか、石油価格の予想以上の急落をあげている。ポロズ総裁はカナダの好調な経済を理由に2017年7月からすでに5回金利を引き上げている。今後も緩やかに引き上げることを明言している。次回の発表は2019年1月9日を予定している。

 

2018年12月13日 第50号

 ブリティッシュ・コロンビア州政府は5日、新環境対策プランを発表した。新プラン「クリーンBC」は、BC州が掲げている2030年までに2007年比で40パーセントの温室効果ガス排出量削減を達成するためのもの。天然資源産業、住宅建設、運輸交通など産業界から個人の交通手段まで幅広く削減を目標としている。

 液化天然ガス産業を含む天然資源産業界で840万メガトンの削減を目指すほか、ガソリンからクリーンエネルギーへの移行や新築ビルに省エネ機能を義務づけること、家庭や企業からの有機廃物の削減などを盛り込んだ。またすでに発表している2040年までにBC州で販売される全車を電気自動車や水素自動車などのクリーンエネルギー車とすることや、そのためのインフラ整備や補助金制度の充実なども発表している。

 BC州政府ジョン・ホーガン州首相は記者会見で「このクリーンBCで気候変動に真っ向から挑戦する」と語り、クリーンで再生可能エネルギーへと移行することで経済を成長させると共に、州民により住みやすい快適な生活を提供できると語った。

 同州政府ジョージ・ヘイマン環境相は昨年、今年と2年連続でBC州を襲った夏の史上最悪の山火事を例に挙げ、気候変動が私たちの生活を直接脅かす事態を招いていると語り、「州民は恐怖ではなく希望を望んでいる。今日の発表は州民に希望を与えるものだ」と語った。

 BC州NDP政権と協力関係にあるグリーン党アンドリュー・ウィーバー党首は、「これは環境対策プランではなくビジネスプラン。だからこそ今回のこの発表には意味がある。BC州はビジネスを歓迎する、しかし、そのビジネスはクリーンなものだ」とNDPのプランを歓迎した。

 ヘイマン環境相は今回の対策の費用については来年2月に発表する予算案で盛り込むと語っている。

 

2018年12月13日 第50号

 アルバータ州野党連合進歩保守党(UCP)のジェイソン・ケニー党首は6日、秋期議会終了の記者会見に臨み、来年同州で実施される州議会議員選挙の時期を前倒しするよう新民主党(NDP)政権レイチェル・ノッテリー州首相に要求した。

 「NDP政権はすでにアルバータ州民の支持を失っている」と語り、そんな政府に来年度の予算編成を任せるわけにはいかないと語った。

 現在支持率ではUCPがリードしている。このままの勢いで政権奪回を実現したいというのが狙いだ。

 アルバータ州では前回2015年の選挙でNDPが大勝するという約40年ぶりの政権交代を実現した。しかし2014年に起こった世界の原油価格急落の影響を受けて、主要産業である石油・ガス産業が大打撃を受け、失業率が記録的に上昇、州経済が大きく落ち込んだ。しかし2015年に誕生した連邦自由党政権との良好な関係構築に成功し、2016年には滞っていたトランスマウンテン・パイプライン拡張工事の承認を得るなど、経済復活の兆しが見え始めていた。そこに起こった今年のブリティッシュ・コロンビア州新政権とのパイプライン抗争で敗れた形となったNDP政権は、現在効果的な経済対策も打ち出せないまま支持率は下がる一方となっている。

 2019年3月から5月の間に州選挙を実施しなければならないため、選挙を前倒しした方が効率的との意見もある。

 ケニー党首は来年2月1日に選挙を公示すれば3月初旬には選挙を実施できると、来年の議会再開前の選挙をノッテリー州首相に呼びかけている。

 ノッテリー州首相は選挙実施時期については明言を避けている。

 

2018年12月13日 第50号

 ケベック州モントリオール市の地下鉄駅構内で8日、世界的なチェロ演奏家ヨーヨー・マさんがミニ・コンサートを開いた。

 同市のエンターテイメント企画会社レンバス・ワークスとの共同企画によるもので、『現代人の絆と断絶を探る』と題された20分ほどのコンサートでは、マさんのチェロ独演のほか、地元の詩人との共演が披露された。またこのコンサートは、文化が現代テクノロジーを人間的なものへ近づけていく上で、どのように寄与しているかを探る『行動の日』と彼が名付けたプロジェクトの一環でもあった。

 フランス生まれのマさんは、流ちょうなフランス語で「地下鉄駅内での音楽、教会から聞こえる鐘の音、人生のすべて、これらが私たちを結び付け、また、社会的立場を向上させる」と聴衆に語りかけていた。

 また「私にとってこの曲は、モントリオールそのものだ」と、モントリオール出身のシンガーソングライターで、2年前に亡くなったレナード・コーエンの『ハレルヤ』を演奏、聴衆に一緒に歌うよう促した。彼の演奏を聴きに、よくコンサート会場へ足を運んでいたというアマチュアのチェロ演奏家のアニク・フィロンさんは、多くの子供連れの家族が彼を取り囲んで演奏を聴くという、一般のコンサートでは見られない光景に心を打たれたと感想を語っていた。また音楽教師のジョジアーニ・ルファブルさんは、17世紀のバッハの曲を、地下鉄駅構内で聴くということで、彼が伝えようとしている『お互いのつながり』というメッセージがよく分かったと、取材に答えていた。

 この日マさんは、音楽が人間の頭脳に及ぼす影響について、人工知能研究者とのパネルディスカッションに参加したほか、テクノロジーとメディアが、カナダ先住民の声を世界の人々に届けるために、どのように寄与してきたかを追った映画の上映会にも出向いていた。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。