2018年12月13日 第50号

 車に物理的に差し込むことも、リモコンのボタンを押すこともしないで、ただ車に近づくだけで車のロック解除ができる、スマートキー。最近は高級車を中心にこのスマートキーを装備する車が増えている。

 このスマートキーはそれ自身が、暗号化された信号を常に発する発信器として機能しており、信号とマッチする車がこの電波を受信すると、車のロック解除ができ、エンジンスタートまで行えるというもの。

 信号電波は半径1〜2メートルにしか届かないほど微弱だが、何者かがキーに近づけばこれを受信することが可能だ。そしてこの信号を、車のそばにいる仲間に転送すれば、車はスマートキーが近くにあるものと勘違いし、ロックを解除してしまう。こうした信号を盗む装置は『リレー・ボックス』と呼ばれているが、最近はこれを用いた車の窃盗が増えている。

 オンタリオ州オタワに住むゲール・ダウニーさんは、そんな窃盗の被害を最近受けた1人だ。ある日窓から外を見てみると、ドライブウェイに止めてあったはずの車2台が見当たらなかった。狐につままれたような気分で、夫にも確認してみたが、やはり2台ともー2016年型レクサスと、新車の2018年型レクサスーが消えていた。どちらも高級車の上、新車のレクサスは6月に盗まれたレクサスの代わりとして購入したばかりだった。ちなみに、どちらの車のスマートキーも、家の中に保管されていた。

 オタワ市警察は、この件に関するコメントを求めるメディアに返答していないが、レクサスからは、この種の犯罪は車業界で問題になっていると語っている。その上で自社製品のセキュリティー向上のため技術開発を行っていると付け加えている。

 一方ダウニーさんは、次は最新ではない、もっと旧式のシステムを持った車を買おうかと考えている。

 

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