2017年7月20日 第29号
ブリティッシュ・コロンビア州で18日、新民主党(NDP) が正式に誕生した。この日、ジョン・ホーガン党首をはじめ閣僚が宣誓式に出席。BC州第36代ジョン・ホーガン州首相が誕生し、NDP政権が出発した。
BC州議会議員選挙が実施されたのは5月9日。それから2カ月半が経ってようやく新政権が動き出す。
選挙結果で最多議席数を獲得するも過半数に1議席及ばなかった自由党は、この日2001年から16年間続いた政権を譲り渡した。
ただNDP政権も決して盤石ではない。政権を担当はするものの、議席数は41議席と自由党よりも2議席少ない。政策によって協力することで合意したグリーン党3議席に頼る形となる。
ホーガン州首相は、「NDP政権は高い費用や手数料から家族を開放し、ヘルスケアや教育に力を入れ、雇用や経済を促進していく」との声明を発表。州民最優先の政治を目指すと抱負を述べた。
ホーガン政権は、キャロル・ジェームズ副州首相兼財務大臣をはじめ閣僚の半数が女性。性別均等を実現した。今回新設されたメンタルヘルス・中毒者対応大臣には、野党時代に保健関連を担当し、元病院職員労働組合会長を務めたジュディ・ダーシー議員が就任した。その他、エイドリアン・ディクス前党首は保健大臣に、ベテラン議員マイク・ファーンウォース議員は公安大臣に、野党時代には不動産問題で与党を追及、2013年選挙でクリスティ・クラーク前州首相の選挙区から出馬し当選したデイビッド・イービー議員は司法長官に就任した。
ホーガン州首相は、最優先課題として不法薬物による死亡者急増を食い止めることや、アメリカとの交渉が続いている製材貿易交渉をあげた。
さらに喫緊の問題として、事態の収束が見えない山火事は引き続き対策を講じていくと述べた。
グリーン党アンドリュー・ウィーバー党首は新政権誕生を祝福。党の垣根を越えてBC州民に尽くす非常に稀な機会に恵まれたと協力していくことを強調した。
ホーガン州首相は、この日の宣誓式と政権移行を理由に、同日からアルバータ州エドモントンで開催された全国州・準州首相会議を欠席した。
2017年7月20日 第29号
BBQ グリルの清掃にかかせないワイヤーブラシ。しかし使用時にワイヤーが抜け落ちグリルに付着、それが今度はグリル上の食べ物に付着して誤って飲み込む事故が毎年のように報告されている。この事態を受けてカナダ保健省は4月より、そのリスク・アセスメントを開始している。メディアが入手した情報によると、同省には2011 年からこのような事故が9件報告されている。
同省はこのアセスメントを夏の終わりまでに終了させる予定で、その結果によっては、リコールを含む必要な法的措置を取るとしている。
アルバータ州レッドディアのキム・シェレンバーグさんは2014 年、BBQ グリルで焼いたハンバーガーに付着していたワイヤーが喉に刺さり、喉と首に2回の手術を行わなければならなかった。どちらの時も手術後1週間を病院で過ごさなければならなかった。しかし2回の手術でも、ささったワイヤーを取り除くことはできなかった。手術前にはCT スキャンにワイヤーの影が映っていたが、その後確認できなくなり、消化器系内を移動し始めたものとみられた。それ以降もシェレンバーグさんが腸などに痛みを感じなかったことから、ワイヤーは体外に排出されたものと、最終的には判断された。
取材に応じた彼女は、BBQ 用ワイヤーブラシは使用禁止にすべきだと語っている。またシェレンバーグさんと同じような事故にあった子供の治療に当たったことのある小児耳鼻咽喉科医も、保護者はこうしたワイヤーの危険性について十分認識する必要があると指摘している。
喉に刺さったワイヤーは、内視鏡を使っても発見しにくいことがあるという。さらに子供の場合は、痛みを感じていることや、その場所についてうまく説明できないこともあり、ワイヤーの摘出をさらに難しくすることがあると、専門医は話している。
また小売店側も、保健省のアセスメントの動向を見守っている。顧客の安全が第一だと話すDIY 用品チェーン店大手のホームハードウェアは、当局の指示があればそれに従うとコメントしている。アメリカのミズーリ大学が昨年発表した調査結果によると、アメリカでは過去12 年間に約1700 人がこうした事故で救急外来を訪れたという。しかし、これは救急外来を通じて確認できた件数なので、一般の医療機関で治療した人もいることを考えれば、その数ははるかに多いだろうと、調査を指揮した医師は話している。
前出の小児耳鼻咽喉科医は、BBQ ワイヤーブラシの販売禁止が難しい場合でも、商品に目立つように危険性を知らせるラベルを貼るべきだと指摘している。
2017年7月20日 第29号
アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ国際空港で7日夜、同空港の滑走路に着陸するはずだったエアカナダ機が、誤って滑走路と並行して設けられた誘導路に向けて最終降下を続け、着陸寸前になって回避操作を行うというインシデントが起こった。
誘導路上には、滑走路からの離陸の順番を待つ旅客機が4機いて、ひとつ間違えば航空史上最悪の事故になりかねなかった。
この旅客機エアバス320型機は、トロント空港を午後9時25分に離陸、サンフランシスコ空港に向かっていたエアカナダ759便。乗客135人のほか5人の乗員が乗っていた。
あたかも誘導路に着陸するかのようなコースをとっていた同機は、管制塔から着陸許可が下りた後に、滑走路上に飛行機のライトが見えるが、本当に着陸が許可されたのかと無線で管制塔に確認しており、明らかに滑走路と誘導路を勘違いしていた。
誘導路に接近し続けた同機は、ぎりぎりになっても回避行動を取る様子が見られず、誘導路上にいた旅客機のパイロットが、このままでは自分の機体に衝突すると管制官に無線で報告している。その直後にはエアカナダ機は管制塔から着陸を中止するよう指示を受け、機首をあげて上昇に転じたものの、誘導路の一番手前にいたユナイテッド航空の旅客機からはわずか30メートルほど上を、かすめるようにして飛んで行ったという。
管制塔からの指示で再び滑走路の進入コースに戻ったエアカナダ機は、今度は問題なく許可された滑走路に着陸した。しかし同機に乗り合わせていたアメリカ・カリフォルニア州保険庁長官デーブ・ジョーンズ氏は、この間乗客には、空港の航空機の状況から着陸をやり直すとしかアナウンスされなかったとメディアに語っている。また同氏はエアカナダに対し、今後の調査結果を逐次乗客に報告するよう文書で要求している。
滑走路と誘導路は明確に識別させるために、特に夜間は異なった色や明るさの照明が用いられており、このふたつを勘違いすることはありえないと専門家は指摘している。
エアカナダは、このパイロットの飛行経験がどれくらいだったかというメディアからの質問に対して回答を拒否しているが、アメリカ国家運輸安全委員会は今週、エアカナダ機の機長と副操縦士、また管制官から事情聴取を行っている。また来月には当時の状況を捉えた監視カメラの映像も公開するとしている。
2017年7月20日 第29号
大型小売店チェーンのウォールマート・カナダは14日、先住民に対し配慮を欠いたデザインの子供用ジャンプスーツを回収すると発表した。
このジャンプスーツには「今でも両親と暮らしてる(I still live with my parents)」という言葉と、先住民のテント(ティーピー)と矢がデザインされている。しかし、これはカナダがかつて行ってきた、先住民寄宿学校など先住民の子供を強制的に親から引き離してきた同化政策を連想させるものだという苦情が、同店に寄せられるようになった。
これに対しウォールマート・カナダは謝罪するとともに、同商品の販売を中止したと発表した。
2017年7月20日 第29号
携帯電話のアプリを利用して車の乗り合いを可能にする、アメリカで始まった配車サービス、ユーバー。その業務形態が既存のタクシー業界を脅かすだけではなく、自治体によっては違法操業になるのではないかなど様々な指摘がなされているが、そんな論議を横目に勝手に事業をスタートした業者がある。
それは、ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンド市で3月に営業を始めた「U滴快車(Udi Kuaiche)」。ちなみに、中国語のみのサービスだ。同社のウェブサイトには、その企業目的が「中国人コミュニティのすべての人にライドシェアサービスを提供し、この業界の次のリーダーを目指す」ことだと表明している。
しかしライドシェアはBC州では違法行為とみなされている。業界最大手のユーバーは2012年に一時期営業を行ったことがあるが、すぐに州の旅客運送委員会から営業停止を命じられている。
これに対しU滴快車は、BC州には同社の営業を取り締まる法律は存在しなく、したがって法に抵触しているとは思わないと、メディアに公言している。そのうえで、もし当局がしかるべき条例を整備したならば、それには従うとしている。
これに対しリッチモンド市は、同社がBC州政府の許可のみならず、市の事業許可証も取得しないまま営業を開始したことを指摘、法が整備されていないことが即営業許可に結び付くわけではないと反論している。
メディア関係者が匿名で、中国語メッセージアプリ微信(WeChat)からこのサービスを利用してみたところ、10分以内に付近にいたドライバーが到着したという。サービスの利用に際し、ユーザー登録は必要ない。料金は一般のタクシーなら16ドルほどかかる距離が、9ドルで済んだ。支払いは現金、クレジットカード、または前出の中国語アプリから人民元での支払いもできる。
BC州タクシー協会は、当局の監督を受け車もドライバーも基準を満たしているタクシーに対し、低価格の乗り合いには危険が付きまとうと警告している。もし事故などに遭っても、タクシー乗車時のような補償が得られない危険性を指摘している。
この批判に対しU滴快車は、ドライバーの採用は厳格に行っており、彼らに対する訓練もなされていると反論。しかしメディアが匿名で利用したドライバーは、知人の紹介があれば簡単にドライバー登録でき、トレーニングを受けたことはないと話している。これに対し同社は、インタビューを行えばその人物の運転傾向やスキル、地元の道路事情の精通具合は判断できるし、ドライバー登録に当たり犯罪履歴のチェックは必須としていないとしている。
この件に関しBC州交通局は、この件を承知しており現在調査中であると、メディアに文書で回答している。