2017年7月20日 第29号
ジャスティン・トルドー首相は13日、次期カナダ総督に元宇宙飛行士のジュリー・パイエッテ氏(53)を任命したと発表した。29代目となる。デイビッド・ジョンストン総督は今年9月に任期が満了する。
トルドー首相とともに記者会見に臨んだパイエッテ氏は、「私にとって、家族、友人、地球、そして地球外にいる同僚にとってもすごく光栄なこと」と笑顔で語った。再びカナダのために貢献できる機会を得られたことに感謝していると語り、全てのカナディアンのために尽くしたい、カナダの隅々まで行って、いろいろな人々に会えるのをすごく楽しみにしていると語った。
トルドー首相は「真のカナディアン気質を持ち、公人としての経験も豊かで、総督としての資質に疑問の余地がない」と称賛した。
パイエッテ氏の任命について野党保守党、新民主党党首も歓迎の声明を発表した。
総督はカナダ首相の助言によりイギリス女王が任命する。トルドー首相は今月ドイツで開催されたG20(20カ国・地域首脳会合)出席の前にイギリスを訪問しエリザベス女王に面会している。イギリス皇室はツイッターでパイエッテ氏の総督就任を歓迎する意向を示した。
パイエッテ氏は1992年にカナダ宇宙機関が選んだ4人の新宇宙飛行士の一人。1999年にはカナダ人として初めて国際宇宙ステーションに滞在。2009年に2回目を実現している。ケベック州モントリオール出身、英語、フランス語をはじめ6カ国語に堪能。2010年にカナダ勲章を受章。
今回の選択は科学を重要視し、女性の進出を推進するトルドー首相の思惑に当てはまる人選となったと評価されている。
2017年7月20日 第29号
カナダ銀行は12日、金利引き上げを発表した。7年ぶりの引き上げとなる。スティーブン・ポロズ総裁が就任してからは初めて。
中央銀行は金利を0・5パーセントから0・75パーセントへ、0・25ポイント引き上げた。前回の引き上げは2010年8月。その後、原油価格の急落などによるカナダ経済の不安定要素を考慮し2015年に0・25ポイントの引き下げを2回実施。以降、0・5パーセントに据え置かれた。
カナダ銀行は、前回4月の報告で予測したよりもカナダ経済が好調だったこと、好調の原因が個人消費だったことを引き上げの要因にあげた。
今回の金利引き上げは、すでに予想されていた。先月からカナダ銀行副総裁などがすでに講演やインタビューなどで引き上げの可能性を示唆。ポロズ総裁も否定しなかった。
ただカナダ銀行が金利引き上げの指標にしているインフレ率については目標としている2パーセントを達成しておらず、ポロズ総裁は同日の記者会見でこの点に触れ、将来的には目標インフレを達成できるとの見方を示した。
中央銀行の金利引き上げは、住宅ローンなどの金利引き上げにつながる。ただ今回の引き上げによってすぐに住宅ローン金利引き上げによる混乱を起こすことはないとみられている。
さらに、高騰するバンクーバーやトロントの住宅価格への影響も今のところは少ないと予測されている。
2017年7月20日 第29号
ジャスティン・トルドー首相は14日、アメリカのロードアイランド州で開催されたアメリカの全国州知事会議に出席し、カナダとアメリカの自由貿易協定の重要さを訴えた。
アメリカの35州は最大貿易相手国がカナダという事実を再確認。カナダにとっては最大貿易相手国アメリカとの自由貿易継続は最重要課題だが、アメリカにとっても重要と語った。
また同会議に出席していたマイク・ペンス副大統領とも会談。同日、ホワイトハウスは副大統領がアメリカとカナダの貿易関係が重要なことを改めて確認したとの声明を発表した。
さらに、北米自由貿易協定(NAFTA)については、建設的な交渉により現代の状況に合わせて最新に改定する必要があることでも両者の意見が一致したと語っている。
2017年7月20日 第29号
ビル・モルノー財務相は18日、富裕層にとって有利に働く「法の抜け穴」となっている課税制度を見直し、課税を強化することを発表した。
富裕層への課税強化は自由党の選挙公約の一つ。そのきっかけとなったのが、非課税地域に銀行口座を持つ世界の富裕層のリスト「パナマ文書」の公表。その中にカナダ人の名前も多く掲載され、富裕層が脱税行為をしていることが問題視された。
抜け穴と認識されている行為のひとつは、「スプリンクリング」と呼ばれているもので、民間企業のオーナーが自身の所得を家族に給与として支払うことによって分割する方法。他には所得を配当とキャピタルゲインに転換するやり方。どちらも違法行為ではない。
財務省によると、現在スプリンクリングを利用している家族企業は約5万社で、制度見直しで年間約2億5千万ドルの歳入になると試算している。
2017年7月20日 第29号
全国の6月の住宅販売数が減少したことが17日明らかになった。カナダ不動産協会が発表した。6月の住宅販売数は前月比で6・7パーセント減。月間減少数では2010年以来の大幅減となった。前年同月比では11・4パーセント減とさらに落ち込んだ。
全国的に減少したが、特にトロント近郊で大幅に減少したことが要因と説明した。トロントで大幅減となった理由として、4月にオンタリオ州が実施した不動産政策が影響していると分析している。
オンタリオ州政府は4月、急騰を続けるトロント近郊の不動産価格が1980年代に同州を襲った不動産バブルがはじける直前の状況と似ていたことから、引き締め策を導入。その一つがブリティッシュ・コロンビア州で昨年8月に導入された海外購入者税15パーセントと同様の課税制度で、こうした影響が直近のデータに反映されたものとみられている。
グレーター・トロントでは前年同月比で37・7パーセント減少。その近郊都市でも20パーセント以上の減少となった。グレーター・バンクーバーでは12・2パーセント減。トロント同様、その周辺都市でも10パーセント前後の減少となった。
一方、全国平均価格は50万4458ドルで前年同月比では0・4パーセント上昇。ただ前月比では3・4パーセント(季節調整済み)下落した。前月比で平均価格が上昇したのはアルバータ州、マニトバ州、ニューブランズウィック州、プリンス・エドワード島州。ブリティッシュ・コロンビア州も含め、その他の州では下落した。グレーター・トロントでは5・8パーセント、グレーター・バンクーバーは3・2パーセント下落した。