2017年7月20日 第29号
アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ国際空港で7日夜、同空港の滑走路に着陸するはずだったエアカナダ機が、誤って滑走路と並行して設けられた誘導路に向けて最終降下を続け、着陸寸前になって回避操作を行うというインシデントが起こった。
誘導路上には、滑走路からの離陸の順番を待つ旅客機が4機いて、ひとつ間違えば航空史上最悪の事故になりかねなかった。
この旅客機エアバス320型機は、トロント空港を午後9時25分に離陸、サンフランシスコ空港に向かっていたエアカナダ759便。乗客135人のほか5人の乗員が乗っていた。
あたかも誘導路に着陸するかのようなコースをとっていた同機は、管制塔から着陸許可が下りた後に、滑走路上に飛行機のライトが見えるが、本当に着陸が許可されたのかと無線で管制塔に確認しており、明らかに滑走路と誘導路を勘違いしていた。
誘導路に接近し続けた同機は、ぎりぎりになっても回避行動を取る様子が見られず、誘導路上にいた旅客機のパイロットが、このままでは自分の機体に衝突すると管制官に無線で報告している。その直後にはエアカナダ機は管制塔から着陸を中止するよう指示を受け、機首をあげて上昇に転じたものの、誘導路の一番手前にいたユナイテッド航空の旅客機からはわずか30メートルほど上を、かすめるようにして飛んで行ったという。
管制塔からの指示で再び滑走路の進入コースに戻ったエアカナダ機は、今度は問題なく許可された滑走路に着陸した。しかし同機に乗り合わせていたアメリカ・カリフォルニア州保険庁長官デーブ・ジョーンズ氏は、この間乗客には、空港の航空機の状況から着陸をやり直すとしかアナウンスされなかったとメディアに語っている。また同氏はエアカナダに対し、今後の調査結果を逐次乗客に報告するよう文書で要求している。
滑走路と誘導路は明確に識別させるために、特に夜間は異なった色や明るさの照明が用いられており、このふたつを勘違いすることはありえないと専門家は指摘している。
エアカナダは、このパイロットの飛行経験がどれくらいだったかというメディアからの質問に対して回答を拒否しているが、アメリカ国家運輸安全委員会は今週、エアカナダ機の機長と副操縦士、また管制官から事情聴取を行っている。また来月には当時の状況を捉えた監視カメラの映像も公開するとしている。