2017年7月20日 第29号
BBQ グリルの清掃にかかせないワイヤーブラシ。しかし使用時にワイヤーが抜け落ちグリルに付着、それが今度はグリル上の食べ物に付着して誤って飲み込む事故が毎年のように報告されている。この事態を受けてカナダ保健省は4月より、そのリスク・アセスメントを開始している。メディアが入手した情報によると、同省には2011 年からこのような事故が9件報告されている。
同省はこのアセスメントを夏の終わりまでに終了させる予定で、その結果によっては、リコールを含む必要な法的措置を取るとしている。
アルバータ州レッドディアのキム・シェレンバーグさんは2014 年、BBQ グリルで焼いたハンバーガーに付着していたワイヤーが喉に刺さり、喉と首に2回の手術を行わなければならなかった。どちらの時も手術後1週間を病院で過ごさなければならなかった。しかし2回の手術でも、ささったワイヤーを取り除くことはできなかった。手術前にはCT スキャンにワイヤーの影が映っていたが、その後確認できなくなり、消化器系内を移動し始めたものとみられた。それ以降もシェレンバーグさんが腸などに痛みを感じなかったことから、ワイヤーは体外に排出されたものと、最終的には判断された。
取材に応じた彼女は、BBQ 用ワイヤーブラシは使用禁止にすべきだと語っている。またシェレンバーグさんと同じような事故にあった子供の治療に当たったことのある小児耳鼻咽喉科医も、保護者はこうしたワイヤーの危険性について十分認識する必要があると指摘している。
喉に刺さったワイヤーは、内視鏡を使っても発見しにくいことがあるという。さらに子供の場合は、痛みを感じていることや、その場所についてうまく説明できないこともあり、ワイヤーの摘出をさらに難しくすることがあると、専門医は話している。
また小売店側も、保健省のアセスメントの動向を見守っている。顧客の安全が第一だと話すDIY 用品チェーン店大手のホームハードウェアは、当局の指示があればそれに従うとコメントしている。アメリカのミズーリ大学が昨年発表した調査結果によると、アメリカでは過去12 年間に約1700 人がこうした事故で救急外来を訪れたという。しかし、これは救急外来を通じて確認できた件数なので、一般の医療機関で治療した人もいることを考えれば、その数ははるかに多いだろうと、調査を指揮した医師は話している。
前出の小児耳鼻咽喉科医は、BBQ ワイヤーブラシの販売禁止が難しい場合でも、商品に目立つように危険性を知らせるラベルを貼るべきだと指摘している。