2017年8月3日 第31号

 ブリティッシュ・コロンビア州ローワーメインランドのバーナビー市で23日朝、警察車両から催涙ガス銃と、そのガス弾を入れたバッグが紛失していることがわかった。

 車両は当時走行中で、キャノピー付き荷台の後方ドアがロックされていないことを、他のドライバーが運転している警察官に知らせた。積荷を確認してみたところ、多弾装の催涙ガス銃とガス弾が入ったグリーンの迷彩柄のバッグと、電子機器類が入った黒いバックパックが紛失していることが確認された。これらはゴールデン・イヤーズ橋あたりで車から落下したものとみられていたが、その日の午後にはニュースを聞いた人がこれを発見し、警察に届けた。

 警察では、なぜこのようなことが起こったかを調査し、再発防止に努めると話していた。

 

 

2017年8月3日 第31号

 カナダを代表するポップスター、ジャスティン・ビーバーさん(23歳)が7月24日、昨年から続けてきた世界ツアーを中止すると、突然発表した。

 ジャスティン・ビーバーさんの公式ウェブサイトでは、中止の理由はただ『予期せぬ状況により』とだけ説明されている。

 この世界ツアーは、彼が2015年11月にリリースしたアルバム『パーパス(Purpose)』のプロモーションツアーで、2016年初頭から始まった。これまでの16カ月間に6大陸の40カ国をめぐり、150以上のコンサートをこなしてきた。昨年の売上は1億6330万USドル、今年もこれまでに9320万USドルに達していたと、業界誌のポールスターは伝えている。

 ツアー終了まであと4カ月となったこの時点での突然の発表により、オンタリオ州トロントのほかアメリカ・ニュージャージー、ホンコン、シンガポールなど14のコンサートが中止となった。また東京でも9月23日と24日に予定されていたコンサートがキャンセルとなり、レコード会社やコンサート運営会社が対応に追われている。

 ウェブサイトはまた、ジャスティン・ビーバーはファンを愛しており、彼らを失望させたくはなかったと前置きし、それでも熟考の末に彼はキャンセルを決定したと説明、チケットの返金に応じると説明してる。さらに彼の長年のマネージャー、スクーター・ブラウンさんは、ツアーのプロモーターやレコード会社に感謝の言葉を述べつつも、ジャスティン・ビーバーさんの精神的・肉体的健康が第一だとして、今回のキャンセルを擁護している。

 トロントのコンサートは9月5日と6日に予定されていたが、地方のファンの中にはチケットだけではなく航空券も購入している人もおり、ジャスティン・ビーバーの体調を心配しつつも、もう少しファンに説明があってもよかったのではと、突然のキャンセルに当惑していた。

 ジャスティン・ビーバーの予期せぬ行動は、今回が初めてではない。このツアーでのヨーロッパ公演中、イギリス・マンチェスターとノルウェー・オスロではコンサートを開演したものの、ファンの対応を理由に途中で退場している。また、中国では彼の行動を理由に、中国国内でのツアーを禁止されている。

 有名人のゴシップ記事を扱うTMZは、キャンセルの理由は彼が傾倒している宗教者によるものではないかと報じていたが、同社のインタビューに応じたジャスティン・ビーバーさんは、その可能性を否定。また約2年間ツアーを続けてきたが、何も問題はなかったと話している。ツアーのキャンセルについて問われると、ただ休んでリラックスしたい、バイクにでも乗って、と答えていた。

 これまでのコンサートの評価はまちまちで、中にはジャスティン・ビーバーさんのステージ上でのやる気のなさを指摘する評論家もいた。

 

 

2017年7月27日 第30号

 ブリティッシュ・コロンビア州ジョン・ホーガン州首相は19日、州中部で発生した山火事が鎮静する気配を見せない事態を受け、7日には、発令された緊急事態宣言をさらに2週間延長すると発表した。

 前日に正式に新民主党(NDP)政権が発足したばかりだが、党を越えて対応にあたると発足前から自由党と協力することを明言していた。

 すでに連邦政府には協力を要請。被災者輸送などに使用するカナダ軍機やヘリコプターの派遣、必要物資の配達をラルフ・グッデイル公安・非常時対応準備相が約束している。

 さらに、ホーガン州首相は避難州民一世帯につき600ドルを2週間単位で申請できるように改善したことを発表。連邦政府も最初は600ドル、次から300ドルを2週間単位で支給すると発表した。通常は避難勧告が出されて2週間で解除、自宅へ戻れるが今回はそれが不可能なための対応と説明した。

 山火事は最近の雨や気温の低下でやや落ち着いたものの、依然として広範囲にわたって燃え続けている。避難勧告が出ている町もいまだに多く、一時の4万5千人からは減少したものの、約2万人が避難したまま。帰宅を許された地区でも、まだ予断は許さないため、いつまた勧告が発動されるか分からず、政府は対応できるよう呼びかけている。

 来週にはジャスティン・トルドー首相がBC州を訪問し、山火事の状況を把握したいと25日にオタワで行われたホーガン州首相との会談後の共同記者会見で明らかにした。

 

 

2017年7月27日 第30号

 ブリティッシュ・コロンビア州ジョン・ホーガン州首相は25日、オタワでジャスティン・トルドー首相と会談した。

 会談後の記者会見では、BC州が現在直面している緊急課題について話し合ったことを明らかにし、協力していくことで合意したと語った。

 最優先課題は、現在もまだ収束する気配を見せないBC州内陸部で発生した山火事の鎮静化と避難州民への支援。ホーガン州首相は緊急事態宣言を2週間延長、州政府、連邦政府ともに、被災住民への金銭的な支援拡大を先週発表している。

 次の課題は、アメリカと続いている製材貿易問題。林業・製材業はBC州の主要産業で、アメリカとの交渉が長引けば雇用や経済に直接影響する。製材貿易問題は北米自由貿易協定(NAFTA)に含まれないため、ホーガン州首相は「早く解決することで、連邦政府も自由貿易についてアメリカと話し合うことができる」と早期解決に意欲を見せた。州首相はオタワの後、アメリカ・ワシントンDCを訪問する予定になっている。トルドー首相も、国全体の案件でもあるため連邦政府として解決に向け全力で努力すると語った。

 そしてもう一つ喫緊の問題として挙げたのがオピオイド問題。強力な鎮痛剤でもある薬物オピオイドの過剰摂取による死亡者が全国で急増している。特にBC州では深刻で、「今年中に1400人に達する」とホーガン州首相。前自由党政権時代から問題解決の緊急性が叫ばれていた、この薬物問題。新民主党(NDP)は選挙公約としても掲げていて、早急な対策を連邦政府とともに講じていくと語った。

 連邦・州政府が協力していく課題を上げる一方で、意見が異なるキンダーモーガン社の74億ドルをかけたトランスマウンテン・パイプライン拡張事業計画については、お互いに明言を避けた。トルドー首相は、今日は共通する問題についての改善策を話し合い、意見が分かれている事案については今後、建設的な話し合いができると語った。

 ホーガン州首相も、現時点でパイプライン拡張工事についての資料を再精査している段階と語り、特に連邦政府に反対を強調することはなかった。ただパイプライン計画については、選挙期間中の公約で「でき得る限りの手段を使って阻止する」と主張。政策協力するグリーン党とも計画中止で合意している。連邦政府は昨年、BC自由党前政権とともに計画を承認。アルバータ州NDP政権からは連邦政府が承認した国家規模の事業を州政府が白紙にすることはできない、と国益にかかわると避難されている。今後の展開が注目される。

 その他には、トルドー首相が山火事の状況を把握するため来週にもBC州を訪れると明らかにした。

 

 

2017年7月27日 第30号

 アルバータ州の保守党2党、進歩保守党とワイルド・ローズ党の各党は、2党統合に賛成か反対かの党員投票を21日実施。賛成多数で2党が統合することが決定した。

 同州は現在新民主党(NDP)が政権を担当している。アルバータ州といえば、国内でも最も保守系が強い州で、連邦保守党の基盤もアルバータ州にある。同州では40年以上進歩保守党が政権を担当していたが、2015年選挙でNDPに大敗。2党に分かれた保守系の再構築が次期選挙に向けての緊急課題となっていた。

 野党第一党となった進歩保守党は昨年、連邦政府で移民相などの閣僚を歴任したジェイソン・ケニー議員を党首に決定。ケニー党首はワイルド・ローズ党に呼びかけ、党を統合した1党体制で次期選挙に臨むことがNDPから政権を奪回する手段だと持ちかけていた。

 そして今年2党の党首が合同記者会見を行い、統合することで意見が一致したと発表。まずは各党が党員投票で統合の是非を決定することになっていた。

 その党員投票が21日に実施され賛成95パーセントで統合が決定した。次は党首選び。この日、ワイルド・ローズ党ブライアン・ジーン党首は立候補を表明したが、進歩保守党ケニー党首は明言を避けた。党首は今年10月28日に決定する。それまでは暫定党首が統合進歩保守党を率いる。

 

 

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これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。