2017年7月27日 第30号

 マレーシアの国営企業ペトロナス社は25日、ブリティッシュ・コロンビア州で計画していた液化天然ガス(LNG)事業パシフィック・ノースウエストLNG計画を撤退することを発表した。

 予想されていたとはいえ、BC州の経済界や事業が計画されていた地域では経済的影響が大きくなると懸念されている。

 ペトロナス社はBC州北西部沿岸で360億ドル規模のLNG開発を計画。すでに連邦政府から条件付きで承認を得ていた。しかし、2014年に起こった突然の原油価格の急落の影響を受け、価格が暴落。加えてBC州前自由党政権の対応の遅さも影響した。

 今回同社は撤退した理由について、市場の動きを考慮しての判断との声明を発表した。

 LNG事業はBC州北西部で事業計画が進行。一時期はBC州政府に15件以上の計画が申請された。自由党クリスティ・クラーク前州首相は2012年LNGをBC州経済の根幹に置き、州の未来を託す事業と位置づけ、大々的に推進。2013年選挙時にはLNG事業が10万以上の雇用を生み出し、その歳入によって将来的には州税(PST)の撤廃もあり得ると語っていた。

 しかし、法整備などの対策は遅々として進まず、ペトロナス社が撤退を示唆する事態にもなった。ようやく対策が始まった頃には価格が急落。自由党政権の後手の対応が今回の事態を招いたとの見方もある。さらに、LNG計画には事業周辺の先住民や環境活動家の反対も強く、事業承認には厳しい環境対策条件が付けられていた。

 今後NDP政権がどう対応するのか。他の同様の事業計画に対しての対応が注目されている。

 

 

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