2017年7月27日 第30号

 ブリティッシュ・コロンビア州ジョン・ホーガン州首相は25日、オタワでジャスティン・トルドー首相と会談した。

 会談後の記者会見では、BC州が現在直面している緊急課題について話し合ったことを明らかにし、協力していくことで合意したと語った。

 最優先課題は、現在もまだ収束する気配を見せないBC州内陸部で発生した山火事の鎮静化と避難州民への支援。ホーガン州首相は緊急事態宣言を2週間延長、州政府、連邦政府ともに、被災住民への金銭的な支援拡大を先週発表している。

 次の課題は、アメリカと続いている製材貿易問題。林業・製材業はBC州の主要産業で、アメリカとの交渉が長引けば雇用や経済に直接影響する。製材貿易問題は北米自由貿易協定(NAFTA)に含まれないため、ホーガン州首相は「早く解決することで、連邦政府も自由貿易についてアメリカと話し合うことができる」と早期解決に意欲を見せた。州首相はオタワの後、アメリカ・ワシントンDCを訪問する予定になっている。トルドー首相も、国全体の案件でもあるため連邦政府として解決に向け全力で努力すると語った。

 そしてもう一つ喫緊の問題として挙げたのがオピオイド問題。強力な鎮痛剤でもある薬物オピオイドの過剰摂取による死亡者が全国で急増している。特にBC州では深刻で、「今年中に1400人に達する」とホーガン州首相。前自由党政権時代から問題解決の緊急性が叫ばれていた、この薬物問題。新民主党(NDP)は選挙公約としても掲げていて、早急な対策を連邦政府とともに講じていくと語った。

 連邦・州政府が協力していく課題を上げる一方で、意見が異なるキンダーモーガン社の74億ドルをかけたトランスマウンテン・パイプライン拡張事業計画については、お互いに明言を避けた。トルドー首相は、今日は共通する問題についての改善策を話し合い、意見が分かれている事案については今後、建設的な話し合いができると語った。

 ホーガン州首相も、現時点でパイプライン拡張工事についての資料を再精査している段階と語り、特に連邦政府に反対を強調することはなかった。ただパイプライン計画については、選挙期間中の公約で「でき得る限りの手段を使って阻止する」と主張。政策協力するグリーン党とも計画中止で合意している。連邦政府は昨年、BC自由党前政権とともに計画を承認。アルバータ州NDP政権からは連邦政府が承認した国家規模の事業を州政府が白紙にすることはできない、と国益にかかわると避難されている。今後の展開が注目される。

 その他には、トルドー首相が山火事の状況を把握するため来週にもBC州を訪れると明らかにした。

 

 

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