2017年7月27日 第30号

 ニューブランズウィック州沖で3週間ほど前、漁網が絡まったクジラ(タイセイヨウ・セミクジラ)の救助活動を行っていたボランティアの一人が死亡した事故以来、救助活動が停止させられている。関係者はその間にもセミクジラを取り巻く環境の危険度が日増しに高まっていると、危機を募らせている。

 メンバーが死亡したのは、ニューブランズウィック州に本部を置き、漁師や生物学者などが中心となってクジラの救助活動を行うボランティアグループ、キャンポベロ・クジラ・レスキュー隊(Campobello Whale Rescue Team)。同州東部の港町シッパーゲン沖での作業中の事故だったが、その直後に漁業海洋省が同グループの活動停止を命じた。

 メンバーの死にショックを受けながらも、同グループの創始者でもあるマッキー・グリーンさんは、政府から活動再開の許可が出次第、セミクジラの救助活動を再開すると話している。先週初めには、この海域で8頭目のセミクジラの死体が発見されている。

 今年は、30年ほど前にセミクジラに関する調査が始まって以来の最悪の年だといわれている。わずか6週間の間に8頭の死亡が確認されている一方、調査チームが把握している、今年生まれたクジラは3頭のみ。専門家はこのようなセミクジラの大量死は、生息数に大きな影響を及ぼすと懸念している。

 同州を訪問中だったトルドー首相は21日、クジラ保護の必要性を認識していると述べ、そのための対策が取られていると説明している。漁業海洋省は、セントローレンス湾でのズワイガニ漁禁止といった対策も検討しているという。

 同省は、漁網などが絡まることは、セミクジラにとって危険な状態であることは認識しているが、それでも救助ボランティアの活動再開は許可しないとしている。

 

 

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