2017年9月21日 第38号

 ブリティッシュ・コロンビア州前自由党政権が、州独自の環境対策計画案に天然資源産業の意向を反映させていたことが19日明らかになった。

 カナディアン・センター・フォ・ポリシー・オルタナティブ(CCPA)が情報公開法に基づいて入手した書類には、BC州政府がカナディアン・アソシエーション・オブ・ペトロリアム・プロデューサーズ(CAPP)のアルバータ州カルガリー事務所で、BC州政府によって編成されたクライメイト・リーダーシップ・チームが作成した草案の文章を石油関連企業や団体に「洗練」するよう要請したという。

 草案を作成したBC州の環境チームには、環境活動家や経済専門家、先住民族代表、さらには森林業や天然資源産業からも参加していた。そのチームの草案は2015年秋に発表され、それを基にしたとされるBC州政府の環境対策計画案は2016年夏に発表された。環境チームの草案には、炭素税の引き上げ、温室効果ガス排出量削減予定の前倒しなどの提案が含まれていたが、政府案ではそれらは提案通りに適用されていなかった。

 BC州政府がカルガリー市でCAPP関係者と会合したのは、2016年1月と2月。環境チームが提案を発表した後、BC州政府天然資源省が会合を設定したこともわかっている。

 CCPAのBC事務所共同代表シャノン・ドーブ氏は、何度も情報公開請求してようやく開示されたと語った。

 今回の情報開示によって明らかになった事実に対し、当時BC州天然資源大臣だった自由党リッチ・コールマン暫定党首は、州政府は関係各産業に意見を聞いている、天然資源産業は事務所がカルガリーに集中しているので、そこで行われただけと説明し、天然資源産業との会合が環境計画案に直接変更をもたらしたことはないと釈明した。

 CAPPも同産業が直接環境計画案を変更したということはないと説明。BC州政府は、天然資源産業からの意見を求めていたようなので意見しただけ、こういうことは特にBC州に限ったことではないと語った。

 炭素税は2008年元自由党ゴードン・キャンベル政権時代に導入されたが、クリスティ・クラーク政権になって以降は、それまで引き上げられていた税率が凍結されている。

 ドーブ氏は今回書類で明らかになった会合に参加した企業には、BC自由党に献金している企業も多いとも語っている。

 BC州NDP新政権ジョージ・ヘイマン環境相は、数週間のうちに環境チームの提案を精査する新チームを発表すると語り、透明性を持って提案を精査すること、環境対策計画を前進させることが重要と記者団に語った。NDP新政権は炭素税の引き上げを政策に盛り込んでいる。

 

 

2017年9月21日 第38号

 ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンドのバンクーバー国際空港に隣接するアイオナ・ビーチで16日、海岸の一斉清掃が行われた。

 これは、アメリカの非営利団体オーシャン・コンサーバシーが1986年から年1回開催している、世界海岸清掃デーに協力する形で行われたもの。

 一日がかりで集めたゴミの量は215キログラム。その中にはペットボトルやタバコの吸殻のほかにタイヤ、消火器、大きな発泡スチロールなどもあった。また集められたゴミは国際的なデータベースに登録され、海岸線のゴミの動きの調査研究に利用される。海岸線のゴミは海洋生物に対する大きな脅威になっていると、環境保護団体は指摘している。

 今回のイベントを運営した団体、グレート・カナディアン・ショアライン・クリーンアップのプログラム・マネジャー、レイチェル・ショーラーさんは、海岸の清掃に携わることで自然との関わりが持てるとともに、海洋生物が直面する問題に直接取り組むことができると、取材に話している。また毎年、このイベントに多くの人が参加するその情熱に感動しており、これに呼応してより多くの人が参加してくれることを望んでいると語っていた。

 カナダ全体では約5万人のボランティアがこのイベントに参加、1091箇所の海岸で合計36トンのゴミを拾ったという。

 

 

2017年9月21日 第38号

 昨年行方不明になり、コミュニティの人たちの無事を願う祈りも空しく悲しい結果となった古川夏好さんの一周忌が9月8日、バンクーバー仏教会で行われた。同日は、お母さんの古川恵美子さんと遺族の他、生前夏好さんと親交のあった人たちが参列し、しめやかに法要が営まれた。集まった人たちは、在りし日の夏好さんとの思い出を語り合っていた。

 

 

2017年9月21日 第38号

 連邦新民主党(NDP)党首選は17日、候補者による選挙活動を終え、18日から投票に入った。

 NDPは2015年10月の総選挙で議席を大きく減らし、それまでの野党第一党から転落。2016年4月の党大会でトム・マルケア党首交代を投票により決定し、今年に入りようやく本格的に党首選が開始した。

 同じく総選挙で大敗し、野党となった保守党もスティーブン・ハーパー前首相が党首を辞任し党首選を行っていたため、重なるのを避けるように遅れて党首選に入った。保守党は今年5月アンドリュー・シェア新党首が誕生した。

 NDP党首選に立候補しているのは4人。国会議員のオンタリオ州チャーリー・アンガス議員、マニトバ州ニッキー・アニストン議員、ケベック州ガイ・キャロン議員、それにオンタリオ州議会議員のジャグミート・シン議員。

 17日にはオンタリオ州ハミルトン市で最後の党首討論会を開催し、各候補は自分の主張を改めて主張した。

 アンガス議員は2004年に当選したベテランNDP国会議員。NDPの強みである草の根活動の結束を強調し、国会で自由党ジャスティン・トルドー党首と渡り合えるリーダーが必要と訴えた。

 唯一の女性候補アシュトン議員は、35歳という若さを武器に、これからはこの世代が最も選挙権を持つ世代であり、この世代に訴えかけていく政策が必要とチャイルドケア、高等教育無償化、環境問題への取り組みなどを重要視した。

 キャロン議員はケベック州で大敗したNDPに必要なのはケベック州での票を取り戻せるリーダーで、ケベック出身の自分ならできるとケベック州の重要性を主張した。

 唯一国会議員でないシン候補は、自身がシーク信者であるためにNDP内からも党首として不適切との声が特にケベック州で上がっているが、こういう時こそ進歩的な社会民主党として広く多様性を認める価値を共有すべきと語り、党首に選ばれたらまずはすぐに国会議員とはならずに全国を回って国民の声を聴きたいと語った。

 党員は郵送かオンラインで投票し、51パーセント以上を獲得した候補が党首に決定する。第1回投票の結果は10月1日トロントで発表される。過半数を超える候補がいない場合は、第2回投票へと続いていく。

 

 

2017年9月21日 第38号

 国会が18日再開した。質疑応答で最も時間が割かれたのは、自由党の中小企業を対象にした税制改革案。野党保守党は、さまざまな角度から今回の税制改革案が中間層の自営業者を直撃すると迫った。

 しかし自由党ジャスティン・トルドー首相やビル・モルノー財務相は、今回の税制改革は富裕層の企業による免税対策という抜け道を是正するものであって、より公平な税制度となるとの主張を繰り返した。

 自由党は中小企業を対象とした税制改革を今年7月に発表。本来は中小企業オーナーへの税金対策として設けられていた低税率と家族分配免税制度だったが、富裕層による不適切な利用が横行していることから、税の抜け道を塞ぐ目的として提案された。

 これに対して中小企業オーナーからは不安の声が出ているが、首相も財務相も対象は富裕層として、必要ならば提案の修正も検討すると柔軟な姿勢を見せている。

 今回の提案は現在75日間の協議期間中で各方面から意見を聞いている。10月2日に協議機関を終え、その後、これを基に国会に議案を提出する予定になっている。

 

 

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