2017年10月5日 第40号

 ブリティッシュ・コロンビア州ではローワーメインランドを除くほとんどの地域で10月1日より、高速道路を走行する乗用車に対してウィンタータイヤ装着の義務化が始まった。

 寒冷地の走行に適したウィンタータイヤの側面には、以下のマークのいずれかが刻印されている。 

 3つの頂を持つ山の上に雪の結晶 

 M+S

 ウィンタータイヤには、これらのマークの表示が義務付けられている。山と雪の結晶マークがついたタイヤは、積雪や凍った路面、また寒冷な気象条件の中でベストの性能を出せるよう製造されている。一方、M+S(泥と雪ーmud and snow)マークがついたタイヤの路面のグリップ性能はノーマル(サマー)タイヤよりは良いが、山と雪の結晶マークのタイヤほどの性能は持っていない。

 そのほか、営業用トラックについてはこの期間中、チェーンの携行が義務付けられている。

 BC州交通省はそのウェブサイトで、ウィンタータイヤ装着が義務づけられている高速道路を示した地図を公表している(『BC』『winter』『tire』『highway』で検索)。それによると、義務付けられていない地域は、ローワーメインランドのほか、バンクーバー島のジョージア海峡に面した沿岸部を走る高速道路となっている。

 違反すると、100ドル以上の罰金となる。高速道路のメンテナンスを行っている会社は、ローワーメインランドと内陸部では気象条件が大きく違っていることを常に念頭に置くよう、ドライバーに呼びかけている。また、山間部の天気は変わりやすいので、いつでも100パーセント自動車をコントロールできる、その時々の気象条件にあったスピードで運転するよう、念を押している。

 またこの会社は、この2〜3年の間はドライバーがスノータイヤ装着義務を守るようになってきたと話している。

 この規制は、来年の3月31日まで続けられる。

 

 

2017年10月5日 第40号

 フランスの航空会社エールフランスの大型旅客機が9月30日、大西洋上空を飛行中にエンジントラブルを発生、ニューファンドランド・ラブラドール州のグースベイ空軍基地に緊急着陸した。

 トラブルが発生したのは、フランス・パリから米カリフォルニア州ロサンゼルスへ向かっていた66便で、機材は総二階建ての大型機エアバスA380型機。グリーンランド上空に差し掛かった頃、4機あるエンジンのうち右翼外側のエンジンが突然爆発、エンジンを覆っている外板のうち、前の部分が吹き飛び、エンジンそのものがむき出しになった。

 メディアの電話による取材に対し、乗客の一人は突然起こった爆発音とともに、まるで車にぶつかったかのような衝撃を感じたと話している。その後高度を失いつつあるように感じたが、パイロットがすぐに機体の状態を立て直したという。また別の乗客は、爆発後約10分間は機体が振動していたとも話している。

 その後機長から、エンジンが1機爆発を起こしたため、カナダのグースベイ空港に緊急着陸する旨のアナウンスがあった。パイロットが事態に冷静に対応していたこともあり、乗客らは不安になりながらも大きなパニックは起こらなかったと、別の乗客は客室内の様子を語っていた。

 エンジン爆発から約1時間30分後の現地時間午後1時40分過ぎ、同機は無事にグースベイ空港に着陸、497人の乗客と24人の乗員にけがなどはなかった。しかしエールフランスが用意した代替機2機が同空港に到着した1日朝まで、乗客は機内に閉じ込められたままで、パリでこの便に搭乗してからほぼ丸1日、機内で過ごしたことになった。

 代替機の1機はロサンゼルスへ直行したものの、もう一機はアトランタへ向かい、ここでエールフランスと同じスカイチームに加盟しているデルタ航空に乗り換え、ロサンゼルスなどの目的地に向かった。

 爆発したエンジンは、米ゼネラル・エレクトリック(GE)社と、同じく米プラット・アンド・ホイットニー社の合弁会社「エンジンアライアンス」が開発したもの。なお航空機のエンジンは、機体を購入する航空会社がいくつかのタイプから選択できるのが一般的。エアバスA380型機の場合は2種類あり、全日空が2019年春に就航を予定している同型機には、英ロールスロイス社製のエンジンが採用されている。

 

 

2017年9月28日 第39号

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州新民主党(NDP)政権ジョン・ホーガン州首相が全国州首相人気ランキングで2位と初登場にして上位につけた。アンガス・リード・インスティチュートが3カ月に一度実施している調査結果を26日に発表した。

 BC州NDP政権は今年7月に誕生したばかり。ホーガン州首相は就任わずか2カ月だが、州民からの支持は48パーセント。前任のクリスティ・クラーク州首相の任期中の最高を6ポイント上回った。ただホーガン州首相を支持しないは37パーセント。特に55歳以上で不支持が高かった。

 人気ランキング1位はサスカチワン州ブラッド・ウォール州首相。ホーガン州首相より1ポイント高い49パーセント。今年8月に政界からの引退を発表したにもかかわらず、相変わらず高い支持を誇っている。

 3位以降は30パーセント台が続く。マニトバ州ブライアン・パリスター州首相とニューブランズウィック州ブライアン・ガラント州首相が36パーセント、ノバスコシア州スティーブン・マクニール州首相とケベック州フィリペ・クイヤード州首相は35パーセント。

 2015年に44年続いた進歩保守党政権を倒したアルバータ州NDPレイチェル・ノッテリー州首相は前回調査より1ポイント上昇したものの29パーセントと相変わらず低迷。ニューファンドランド・ラブラドール州ドワイト・バール州首相は27パーセントだった。

 最も不人気だったのは前回調査と変わらずオンタリオ州キャサリーン・ウィン州首相で2ポイント上昇して17パーセント。来年6月に選挙を控え、相変わらずの不人気ぶりだが、今年3月の調査で最低を記録した12パーセントよりは回復している。

 

 

2017年9月28日 第39号

 ブリティッシュ・コロンビア州政府は26日、州営企業や州政府が財政援助している機関の財務状況を調査すると発表した。

 州営企業の対象は、BCハイドロ、BCロッタリー(宝くじ)コーポレーション、リカー・ディストリビューション・ブランチ、ICBC、BCハウジング・マネージメント・コミッションなどで、州政府が援助している大学や健康医療機関も対象となる。

 キャロル・ジェームズ財相は、BC州の公共機関の調査実施はすでに発表している通りで、正確な数字を基に2018年の予算案の参考にすると声明を発表している。調査は元財務副大臣クリス・トランピー氏が担当。州を知り尽くしている同氏は適任と説明している。調査結果は来年の予算案完成後に公開することも約束した。

 

 

2017年9月28日 第39号

 ブリティッシュ・コロンビア州自由党の党首選が激戦の様相を呈し始めた。26日までにすでに7人が立候補を表明。今後もさらに増えるとみられている。

 最初に立候補を表明したのは今月21日、前バンクーバー市長サム・サリバン議員。2013年の州選挙で自由党から州議会議員初当選。今年5月の選挙ではバンクーバー‐フォールスクリーク選挙区で当落ギリギリのところにいたが、辛うじて当選を果たした。都市圏と若者からの支持を集めたいと抱負を声明で発表した。

 続いて22日に立候補を表明したのは、BC州中西部テラセ地方のビジネスオーナー、ルーシー・セイガー氏。政治家の経験はなく政界へは今回は初挑戦。自由党敗北の要因は、好調な経済と州民の生活向上を結び付けられなかったことと分析。州北部で天然資源産業にもかかわってきた経験を生かしながら、現在の自由党には新しい風が必要と政界未経験を武器に党首選を戦っていく覚悟を示した。

 24日には前サレー市長ダイアン・ワッツ議員が満を持して立候補を表明した。2015年の連邦総選挙で保守党から立候補し初当選。現在は保守党国会議員として活動している。これまで党首選への立候補が噂されていたがこれで、サレー市で会見を開き、正式立候補となった。国会議員は辞職するという。「100パーセントBC州に集中する必要がある」と述べ、片足をオタワ、もう片足をBCではフェアではないと語った。今回の選挙でBC自由党は、黒字予算と雇用と社会保障をうまく結びつけることができなかったのが敗因と分析。州民の生活に密着した計画が必要と語った。さらに新民主党(NDP)とグリーン党が政策で協力する政権態勢は不健全とも語り、次の選挙で過半数を目指すと意気込んだ。

 25日にはBC州前高等教育相アンドリュー・ウィルキンソン議員がバンクーバー市で立候補を表明した。弁護士であり、医師でもあるウィルキンソン議員は、まずは薬物過剰摂取による死亡者の減少に力を入れるとし、さらにBC州が抱える問題の解決方法にも自身の考えを持っていると語った。ゴードン・キャンベル元BC州首相が2001年に自由党政権を実現した頃の党会長であり、当時の自由党を知る人物として党内でも信頼が厚い。2013年にバンクーバー‐キルチェナ選挙区から初当選。主要大臣を歴任している。

 ウィルキンソン議員の発表と同日、同会場で、時間をずらしてBC州北部ピース・リバー・サウス選挙区、元教育相マイク・バニエ議員も立候補を表明した。バニエ議員は今年の選挙で失敗した最大の要因は「州民の声を聴かなかったこと」と語り、経済的には成功した自由党政権だったがそれを弱い立場の州民へと生かせなかったと語った。好調な経済をどのように社会保障へとつなげていくかを州民に伝えていくことが重要と自由党の課題を語った。

 26日、さらに2議員が立候補を表明した。一人はマイク・デヨン前財務相。1994年の補欠選挙で初当選。党内では2番目に長く党に在籍しているベテラン議員。選挙区はアボッツフォード・ウエスト。クリスティ・クラーク前政権下では財務相として5年連続黒字予算を実現した。会見でもその実績を強調し、カナダをけん引するBC州経済を基盤として党の立て直しを計画することが必要と訴えた。2011年の党首選にも立候補しているが、4位と遠く及ばなかった。

 この日立候補したもう一人はマイケル・リー議員。今年5月の選挙でバンクーバー‐ランガラ選挙区から初当選したばかりの新人議員。当選前はビジネスを専門とする弁護士だった。会見では、住宅問題の解決や公共交通機関の充実を主張し、多様性を生かした経済発展で州を盛り立てることを訴えた。

 すでに大激戦となっているBC自由党党首選だが、トッド・ストーン前運輸相も立候補に興味を示し、まだまだ立候補者は増えるとみられている。

 BC自由党は今年5月の選挙で勝ち、少数派政権となった。しかし、7月に再開した議会で不信任決議され、16年続いた政権の座を明け渡した。同月、新民主党(NDP)政権が誕生。自由党クリスティ・クラーク党首が辞職を表明し8月に政界を引退したため、自由党党首の座とケローナ‐ウエスト選挙区が空席となった。

 次期党首は来年2月3日に決定する。党首選への立候補は今年12月29日まで可能だが、実質的には10月15日の第1回党首討論会までとみられている。討論会は全6回が予定されている。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。