2017年9月21日 第38号

 ブリティッシュ・コロンビア州ローワーメインランドの二つの橋が1日から無料になったことで、この地域全体の交通量が変化している。

 ポート・ムーディー市に住むポウリーナ・アンダラガさんの職場は、ニューウェストミンスター市にある。今までだとニューウェストミンスター市のパトゥーロ橋へ向かう道路に差し掛かるところで必ず大渋滞に巻き込まれていた。ところが今まで有料だったポートマン橋とゴールデンイヤーズ橋が無料になると同時に、これらの渋滞がなくなったとメディアに話している。

 こんなに多くの人が、一回3ドルの通行料を節約するために迂回していたとは思いもしなかったと話すアンダラガさん、通勤が楽になったと語っている。さらに渋滞の緩和は、ニューウェストミンスター市まわりだけではなく、ポートムーディー市までのほとんどの区間で感じられると付け加えている。

 ニューウェストミンスター市役所と、橋を管理するトランスリンクの交通量調査もアンダラガさんの感想を裏付けている。1日以降の同市内の交通量は平日で11パーセント、週末には17パーセントの減少となっているという。その一方で無料化になった橋のひとつ、ポートマン橋の交通量は昨年同時期に比べ24パーセントの増加となっている。

 ジョナサン・コテー・ニューウェストミンスター市長も、最終的な数字は集計されていないものの、渋滞が緩和されたとの声が多くのドライバーから寄せられていると、メディアに話している。またパトゥーロ橋を通過する、トラックなどの大型車両の減少率が、自家用車のそれをかなり上回っていることも明らかになった。

 さらにコテー市長はこの交通量の変化から、以前のように二つの橋だけを有料化したのは、無計画で戦略に欠けた場当たり的な政策だったことが明らかになったと、取材に語っていた。

 

 

2017年9月21日 第38号

 アルバータ州の高速道路で今月初め、車にはねられたコヨーテがそのまま車のフロントグリルにはさまり、一命を取りとめた。

 場所は同州カルガリー市の北にある町エイドリー付近。国道2号線をカルガリー市の職場に向かってトヨタ・カローラで走っていたジョージー・ノックスさんは、路上にいたコヨーテをはねた瞬間にバリバリという音を聞き、ひき殺してしまったものと思い運転を続けていた。

 しかし30キロメートルほど走ったあと赤信号で止まったノックスさんに、そばにいた人がコヨーテが生きたまま車のフロントグリルに挟まっていることを知らせた。

 コヨーテは、車のバンパーの下側部分にあるプラスチック製フロントグリルを、背中で突き破る形で挟まっていた。動物を殺してしまったという重い気分でいたノックスさん、この思いがけない展開にひたすらびっくりしたと、メディアの取材に答えている。

 身動きがとれないまま、目をぱちくりさせながら自分を見ているコヨーテを見たノックスさんは、30キロメートルもの間この状態で運転していたことで、この動物をさらに痛めつけてしまったのではと、動揺したという。

 連絡を受けたアルバータ州の魚類及び自然動物管理局の係官が、このコヨーテをフロントグリルから救出した。そしてけがの状態がチェックされたのち、コヨーテは原野に返された。

 

 

2017年9月14日 第37号

 ブリティッシュ・コロンビア州新民主党(NDP)政権は11日、予算案を発表した。2001年に自由党に政権を渡して以来16年ぶりのNDPによる予算案は、選挙公約にほぼ沿ったものとなった。

 歳入については、2018年4月1日より炭素税を1トンにつき5ドル引き上げる。現在は30ドル。これは連邦政府自由党政権が発表した全国的な炭素税導入に呼応するもので、これにより連邦政府が目標としている2022年までに1トンにつき50ドルを達成できる。さらに、炭素税による歳入を税収中立にする必要がなくなるため、炭素税引き上げにより12億ドルの歳入が見込める。NDP政権はこれを州民への支援やクリーンテクノロジーへの投資に回すとしている。

 その他では、高額所得者への所得税率を現在の14・7パーセントから16・8パーセントに引き上げる。年間所得15万ドル以上の州民が対象となる。また法人税も現在の11パーセントから12パーセントに引き上げられる。

 歳出では、選挙公約だった住宅問題について、賃貸用住宅1700戸の建設に4年で2億800万ドル、ホームレス用住宅2千戸の建設に2年で2億9100万ドルを計上。また住宅オーナーと賃貸契約者の紛争解決を改善するために住宅関連部署へのスタッフ増員のための予算もつけた。

 NDPが力を入れて改善を訴えた教育関係については、教師の増員や社会人英語学習プログラムの無料化復活を盛り込んだ。

 保険関係では、公約通りBC州健康保険メディカル・サービス・プラン(MSP)の4年後の無料化を目指して、まずは2018年1月1日から保険料を半額にする。自由党も同様の政策を打ち出したが所得制限や申請者のみの条件付きとなっていた。今回のNDPの政策では全州民が対象で自動的に半額となる。

 さらに保険関連では、急増する薬物中毒死亡者対策として3億2200万ドルを充てた。昨年はオピオイドを中心とする薬物過剰摂取による死亡者は約千人で、今年はそれを上回る見込み。緊急対策としてNDPは、メンタルヘルス・薬物中毒担当省を設置し、今回予算が充てられた。

 経済政策では中小企業対策として、税率は現在の2・5パーセントから2パーセントに引き下げるとしている。

 NDPキャロル・ジェームズ財務相は、「今回の予算は州民への投資に焦点を当てた予算となっている」と語った。ただ公約としていた一日10ドル保育料や、賃貸者への400ドル還元については、最善の方法を調査中として今回の予算には組み込まなかったが、来年度予算で検討していると説明した。

 NDP政権は今年の経済成長を2・9パーセント、2018年は2・1パーセントと予測。8月時点でBC州の失業率は5・1パーセントとマニトバ州に次いで低い水準となっている。今年度予算は2億4600万ドルの黒字を見込んでいる。

 

 

2017年9月14日 第37号

 ブリティッシュ・コロンビア州議会の議長に自由党ダレル・プリカス議員が就任した。8日に再開したBC議会は、新民主党(NDP)が16年ぶりに政権与党となった。

 プリカス議員の議長就任は、野党となった自由党に衝撃をもたらした。リッチ・コールマン暫定党首は、プリカス議員を含め全党員が議長へ立候補はしないと確認していたと語り、もしその後気が変わったとして、そのことを暫定党首の自分に告げないのは、「裏切られたということだ」と述べた。

 プリカス議員は今年に入り、クラーク前州首相に対して党首を辞任するよう迫ったこともある人物。コールマン暫定党首は、そのことについて党ではそれほど影響はなかった、「自由党残留を歓迎すると8月に話し合ったばかりだった」と述べた。

 基本的には議長は与党から選ばれる。議長は通常、賛成反対票が同数という場合以外は議案可決への投票には参加しないため、与党は議長の1票を失うことになる。ただ、ほとんどの場合、与党は多数派政権で議長の1票はそれほど大きな意味を持たない。

 しかし与党が少数派政権となった場合、事情は異なる。 特に今回のBC州議会は3党が微妙なバランスで議席を保っている。そのため議長の1票が大きな意味を持つ。

 BC州は5月9日の選挙で、自由党が少数派ながら最多議席43を獲得した。しかし再開した議会で自由党政権への不信任が可決し、BC州ジュディス・ギチョン副総督の要請によりグリーン党との協力を条件にNDPが政権を担うことになった。

 議席数は、与党NDP41、グリーン党3、合わせて44、野党自由党43。しかし、8月に自由党クラーク前党首が辞職したため、現在自由党は42。さらにプリカス議員が議長に決まったため、補欠選挙で自由党が議席を確保するまでは議案への投票数は41となる。

 与党として政権を担うことにはなったものの、野党よりも議席が少なく、グリーン党との非公式連立で議案を可決していかなくてはならないNDPにとっては、今回のプリカス議員の議長就任は朗報。ジョン・ホーガン州首相は、今回の新政権による議会は党派を超えたBC州民のための政府という認識であり、野党も同じように考えていると期待していると語った。

 グリーン党アンドリュー・ウィーバー党首は、プリカス議員の議長立候補はまさにBC州議員が党派を超えてBC州民のために政治を行うという勇気を持った行動だったと歓迎した。

 同日には議会開会の式辞がギチョン副総督から読み上げられ、16年ぶりのNDP政権の政策が明らかになった。

 概ね選挙公約を繰り返したもので、州民がより生活しやすいよう価格是正に取り組むこと、すでに実施されている橋の通行料廃止や貧困層削減政策の実施、住宅に関する法の抜け道の是正などを強調。ただ、NDPが主張した一日10ドルの保育料や賃貸契約者への還元などは詳しくは盛り込まれなかった。

 他には、教育制度の改正、先住民族との和解と協力、グリーン党との協力体制を意識した献金制限を含む選挙制度改革や環境問題対策などが盛り込まれた。しかし、経済対策については曖昧な表現に止まった。

 

 

2017年9月14日 第37号

 オンタリオ州政府は8日、州内のマリファナ販売使用についての規則を発表した。マリファナの販売については、州政府が独占販売すること、販売方法は店舗とオンラインで行う、使用年齢は19歳以上など、州としての一定の輪郭を示した。

 販売方法は、州政府が管轄しているリカー・コントロール・ボード・オブ・オンタリオ(LCBO)のアルコール販売方法をモデルとして、店舗もオンラインもLCBOが監督する。

 店舗数は2018年7月に40店舗として、2020年までに150店舗まで増やす。オンラインでの販売は2018年7月から開始。購入にはIDの提示が必要となる。

 またLCBO以外の販売店は違法とし、現在販売している店舗は今後取り締まりの対象となる。

 公共の場所や車内、職場での使用は禁止、個人宅などプライベートな使用場所のみとする。

 使用年齢はアルコールと同じ19歳以上。19歳未満のマリファナ使用については、警察と連携して厳しく取り締まる。今回のマリファナ合法化は若年層への蔓延を食い止めることも目的の一つ。見つけた場合は警察が没収する。

 今年4月、連邦自由党政権は、2018年7月1日のマリファナ合法化を目指した法案を国会に提出。使用年齢18歳以上など大まかなガイドラインは発表したものの、使用年齢も含め、販売方法などは州政府に一任するとの方針を発表した。

 以降、具体的な規則を発表したのは今回のオンタリオ州が初めて。オンタリオ州政府チャールズ・ソーサ財務相はこの日の記者会見で、課税方法や販売価格などは後日発表すると語った。

 ただ、今年7月にアルバータ州エドモントンで行われた13州・準州州首相会議では、合法化の時期を延ばすよう連邦政府に働きかけることで意見が一致している。道路交通法や課税方法、販売店スタッフの研修や国民への教育など、解決しなければならない事項が多すぎることを、合法化の先延ばしが必要な理由としてあげている。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。