2017年9月14日 第37号

 ブリティッシュ・コロンビア州議会の議長に自由党ダレル・プリカス議員が就任した。8日に再開したBC議会は、新民主党(NDP)が16年ぶりに政権与党となった。

 プリカス議員の議長就任は、野党となった自由党に衝撃をもたらした。リッチ・コールマン暫定党首は、プリカス議員を含め全党員が議長へ立候補はしないと確認していたと語り、もしその後気が変わったとして、そのことを暫定党首の自分に告げないのは、「裏切られたということだ」と述べた。

 プリカス議員は今年に入り、クラーク前州首相に対して党首を辞任するよう迫ったこともある人物。コールマン暫定党首は、そのことについて党ではそれほど影響はなかった、「自由党残留を歓迎すると8月に話し合ったばかりだった」と述べた。

 基本的には議長は与党から選ばれる。議長は通常、賛成反対票が同数という場合以外は議案可決への投票には参加しないため、与党は議長の1票を失うことになる。ただ、ほとんどの場合、与党は多数派政権で議長の1票はそれほど大きな意味を持たない。

 しかし与党が少数派政権となった場合、事情は異なる。 特に今回のBC州議会は3党が微妙なバランスで議席を保っている。そのため議長の1票が大きな意味を持つ。

 BC州は5月9日の選挙で、自由党が少数派ながら最多議席43を獲得した。しかし再開した議会で自由党政権への不信任が可決し、BC州ジュディス・ギチョン副総督の要請によりグリーン党との協力を条件にNDPが政権を担うことになった。

 議席数は、与党NDP41、グリーン党3、合わせて44、野党自由党43。しかし、8月に自由党クラーク前党首が辞職したため、現在自由党は42。さらにプリカス議員が議長に決まったため、補欠選挙で自由党が議席を確保するまでは議案への投票数は41となる。

 与党として政権を担うことにはなったものの、野党よりも議席が少なく、グリーン党との非公式連立で議案を可決していかなくてはならないNDPにとっては、今回のプリカス議員の議長就任は朗報。ジョン・ホーガン州首相は、今回の新政権による議会は党派を超えたBC州民のための政府という認識であり、野党も同じように考えていると期待していると語った。

 グリーン党アンドリュー・ウィーバー党首は、プリカス議員の議長立候補はまさにBC州議員が党派を超えてBC州民のために政治を行うという勇気を持った行動だったと歓迎した。

 同日には議会開会の式辞がギチョン副総督から読み上げられ、16年ぶりのNDP政権の政策が明らかになった。

 概ね選挙公約を繰り返したもので、州民がより生活しやすいよう価格是正に取り組むこと、すでに実施されている橋の通行料廃止や貧困層削減政策の実施、住宅に関する法の抜け道の是正などを強調。ただ、NDPが主張した一日10ドルの保育料や賃貸契約者への還元などは詳しくは盛り込まれなかった。

 他には、教育制度の改正、先住民族との和解と協力、グリーン党との協力体制を意識した献金制限を含む選挙制度改革や環境問題対策などが盛り込まれた。しかし、経済対策については曖昧な表現に止まった。

 

 

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