2017年9月14日 第37号
ブリティッシュ・コロンビア州新民主党(NDP)政権は11日、予算案を発表した。2001年に自由党に政権を渡して以来16年ぶりのNDPによる予算案は、選挙公約にほぼ沿ったものとなった。
歳入については、2018年4月1日より炭素税を1トンにつき5ドル引き上げる。現在は30ドル。これは連邦政府自由党政権が発表した全国的な炭素税導入に呼応するもので、これにより連邦政府が目標としている2022年までに1トンにつき50ドルを達成できる。さらに、炭素税による歳入を税収中立にする必要がなくなるため、炭素税引き上げにより12億ドルの歳入が見込める。NDP政権はこれを州民への支援やクリーンテクノロジーへの投資に回すとしている。
その他では、高額所得者への所得税率を現在の14・7パーセントから16・8パーセントに引き上げる。年間所得15万ドル以上の州民が対象となる。また法人税も現在の11パーセントから12パーセントに引き上げられる。
歳出では、選挙公約だった住宅問題について、賃貸用住宅1700戸の建設に4年で2億800万ドル、ホームレス用住宅2千戸の建設に2年で2億9100万ドルを計上。また住宅オーナーと賃貸契約者の紛争解決を改善するために住宅関連部署へのスタッフ増員のための予算もつけた。
NDPが力を入れて改善を訴えた教育関係については、教師の増員や社会人英語学習プログラムの無料化復活を盛り込んだ。
保険関係では、公約通りBC州健康保険メディカル・サービス・プラン(MSP)の4年後の無料化を目指して、まずは2018年1月1日から保険料を半額にする。自由党も同様の政策を打ち出したが所得制限や申請者のみの条件付きとなっていた。今回のNDPの政策では全州民が対象で自動的に半額となる。
さらに保険関連では、急増する薬物中毒死亡者対策として3億2200万ドルを充てた。昨年はオピオイドを中心とする薬物過剰摂取による死亡者は約千人で、今年はそれを上回る見込み。緊急対策としてNDPは、メンタルヘルス・薬物中毒担当省を設置し、今回予算が充てられた。
経済政策では中小企業対策として、税率は現在の2・5パーセントから2パーセントに引き下げるとしている。
NDPキャロル・ジェームズ財務相は、「今回の予算は州民への投資に焦点を当てた予算となっている」と語った。ただ公約としていた一日10ドル保育料や、賃貸者への400ドル還元については、最善の方法を調査中として今回の予算には組み込まなかったが、来年度予算で検討していると説明した。
NDP政権は今年の経済成長を2・9パーセント、2018年は2・1パーセントと予測。8月時点でBC州の失業率は5・1パーセントとマニトバ州に次いで低い水準となっている。今年度予算は2億4600万ドルの黒字を見込んでいる。