2018年10月11日 第41号

 レギュラーシーズンも残りわずかとなったCFL(カナディアン・フットボール・リーグ)。第17週、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーのBCプレースでBCライオンズがトロント・アーゴノッツと対戦した。

 西地区最下位ながらわずかにプレーオフ進出の可能性を残しているライオンズは、この試合に勝利しなければ今季はほぼ絶望となる。

 この日は前半からライオンズが得点を重ねた。第1クオーターにタッチダウンを決め、その後はフィールドゴールで追加点を挙げていった。

 第4クオーターで一時は26—10と大きくリードしていたものの、試合終了間際にアーゴノッツが猛反撃。結局26—23で辛くも逃げ切った。これで勝ち点を14に伸ばし、プレーオフ戦線になんとか踏みとどまった。

 8日には4位だったエドモントン・エスキモーズがサスカチュワン・ラフライダーズに敗れた。これによりライオンズが4位に浮上、エスキモーズが最下位に転落した。

 ライオンズの残りは4試合。西地区強敵との対戦が残っている。

 

BCライオンズ先発QBジェニングズ。10月6日BCプレース。(Photo by Preston Yip)

 

2018年10月11日 第41号

 アルバータ州エドモントン市郊外の駐車場で先月、南アジア系住民に差別用語を浴びせた女性に、実刑判決が下された。

 事件が起こったのは、同市南東にあるアパートの駐車場。駐車スペースの問題から言い争いになったのは、インドからカナダに移住して7年になるラフール・クマーさんと、アンジェリーク・バーフィールド被告(44歳)。

 車の運転席のバーフィールド被告が、クマーさんと言い争う様子を2分間にわたって記録した動画には、クマーさんの出身国とは違う南アジアの国の蔑称を使ったり、濃い肌の色を軽蔑する言葉を使ったりしている様子が映されている。さらにクマーさんに対し、出身国に帰れと言い放ったのち、彼の車につばを吐きかけて現場から去っていったという。

 人事の専門職についているクマーさんは、この言い争いにとてもいやな思いをしたと、メディアに語っている。一方バーフィールド被告はメディアの取材に対し、自分は差別主義者ではなく、自分の言動には責任を持てると話した上で、自分の行動になんら謝るべきところはないと、付け加えている。

 バーフィールド被告は罵詈雑言を用いた騒動を起こした罪と、クマーさんの車につばを吐きかけた罪で9月15日に逮捕されたのち、保釈された。この件を捜査した警察は、バーフィールド被告の言動は駐車スペースの問題から発生したもので、差別的憎悪から発生したものではないとして、ヘイトクライムとしては扱わなかった。しかしエドモントン市警察ヘイトクライム捜査課のゲリー・ウィリッツ巡査部長は、きっかけは別だったとしても、この件はヘイトクライムと呼べる性質のものだったと、取材に語っている。

 

2018年10月11日 第41号

 ブリティッシュ・コロンビア州内陸部、人口3万人ほどの都市ペンティクトンで、一人の飼い主から合計111匹の猫が動物愛護団体のシェルターに引き渡された。

 9月20日、市内のトレーラーハウスに住む人物が、約20匹の猫をBC州動物保護協会(BCSPCA)に持ち込んだ。この人物は明らかに、猫の数が多すぎて自分だけでは手に負えなくなっていたと、同協会では話している。そしてその翌日、この人物がさらに40匹を超える猫を持ち込んできた。

 ちなみに、猫が飼われていた環境は悲惨なものだったと、同協会は取材に説明している。そしてこの人物は10月5日になって、さらに46匹の猫や子猫を持ち込んできた。この段階で、協会に手渡された猫の数は111匹となった。

 受け入れた猫の数があまりにも多かったため、適切な治療や飼育スペースがペンティクトンの協会支部だけでは足りなくなり、同州内の他の支部の応援を仰ぐことになったが、避妊・去勢手術などを含め何千ドルの支出を余儀なくされる事態に。またペンティクトン支部は当面、新規の動物受け入れを停止すると発表した。

 同協会によると、毎年この時期は持ち込まれる猫の数が増えるとのことだが、同州サーモンアームでも先週、一人の飼い主が29匹の猫を持ち込むなど、今年はその数が群を抜いて多く、州内のほぼ全ての支部で受け入れられる限界に達しているほか、中には待機リストを作成するほどになっているという。

 同協会では予期せぬ多額の出費をまかなうために、一般からの寄付を呼びかけているほか、多くの人が里親となってこれらの猫を引き取ってくれるよう求めている。

(この111匹の猫についての詳細は、『bc』『spca』『emergencyalert』で検索)

 

2018年10月4日 第40号

 ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンドの南西角にある漁港町、スティーブストン。第二次大戦前、日系人のコミュニティで賑わっていたこの町に、日系人の強制移動の歴史を記録する記念碑などを設置するプロジェクト『スティーブストン日系メモリアル・パブリックアート』の起工式が9月22日、開催された。

 1942年の強制移動で全てを失いスティーブストンを去った日系人は、戦後再び同地に戻り、ゼロからコミュニティをつくり上げていった。この歴史を目に見える形で残すことを目的とし、スティーブストン日加文化センターの日系メモリアル委員会と、リッチモンド市が共同でプロジェクトを立ち上げた。

 起工式は、スティーブストンの中心にある、かつての路面電車(トラム)を展示する博物館横で行われた。式にはリッチモンド市からマルコム・ブローディ市長ほか市議会議員やプロジェクトに関わる職員が参列。また日系メモリアル委員会からはケルビン・ヒゴ議長が参列したほか、今年創立90周年を迎えたスティーブストン仏教会からも代表が参加、プロジェクトの成功を祈念して読経が行われた。

 このメモリアルプロジェクトでは最初、強制移動の実像に迫るために、強制移動を実際に体験した人から当時の体験や感想を聞くなど地道な作業が行われた。そして集められた資料をもとに、この歴史を象徴するデザインを、バンクーバーにある都市空間デザイン事務所、ハパ・コラボレーティブ(Hapa Collaborative)が手掛けた。同事務所によると、そのデザインコンセプトは、過酷な運命に翻弄されながらも、再び当地に戻ってきた日系人の忍耐力と強靭さ、そして日系人コミュニティとしての精神力だという。スティーブストンを追われた日系人が送り込まれた各収容所を示した記念碑のほか、短冊状の紙を組み合わせてかごを作る、かご編みのパターンからヒントを得たブロック舗装を、トラム博物館前の歩道に施す。またこの一帯の樹木に、LEDを用いたランタンもかけられる。

 プロジェクトの工事は、来年夏に竣工する予定。

 

2018年10月4日 第40号

 ケベック州で10月1日に実施された州議会議員選挙は、同日の投開票の結果フランソワ・レガルト党首率いるCAQ (Coalition Avenir Quebec)が圧勝した。

 レガルト次期州首相は1日の勝利宣言で、CAQに投票した州民だけでなく「すべてのケベック州民のためにこれから政権を担っていく」と英語で語り、モントリオール地区に多い英語圏の州民を意識した。

 前日までは、これまで政権を担ってきた自由党との接戦になると予想されていた。しかし、結果はCAQが過半数を超える多数派政権を実現した。投票結果は125選挙区中、CAQが74議席、自由党が32、ケベック・ソリデア(QS)10、ケベック党(PQ)9。得票率はCAQが37・41パーセント、自由党が24・82パーセント、QSが16・09パーセント、PQが17・05パーセントだった。

 CAQが政権を取るのは今回が初めて。これまで過去約50年間、自由党かケベック党以外の党が政権を取ったことはなかった。これまで自由党が過去15年で13年間政権の座についていた。その他の2年間の政権を担っていたPQも今回は惨敗。議席数が足りず公式政党としての資格も失った。飛躍したのはQS。これまでの3議席から3倍以上に伸ばした。

 今回の選挙では、いつものようなケベック州独立が選挙争点とはならなかった。4党とも政権を担った場合に独立を住民に問う住民投票を行わないと宣言していた。争点となったのは経済、移民問題、教育制度、医療保険など、州民の生活に密着しているものが多く、各党それほど大きな違いはなかった。そのため、今回CAQが大勝した背景には、州民が変化を望んだ結果と分析している専門家が多かった。

 CAQレガルト次期州首相は2日に早速記者会見を行い、次期政権政党として、教育、医療へ力をいれることを約束するとともに、移民問題については年間4万人を上限として受け入れること、公務員が宗教的なシンボルを使用することを禁止することを求めるとも記者団に語った。大敗した自由党フィリペ・クイヤード党首は1日、選挙結果を受け党員に感謝の言葉を述べた。クイヤード党首は当選したが、党首を辞任すると発表した。躍進したQSマノン・マッセ代表は、環境問題への取り組みとケベック州独立を訴えていくと語った。

 ケベック州独立を党の主要方針に掲げるPQが惨敗したことは象徴的だった。ジョンーフランソワ・リゼ党首はQS候補者に敗れ落選。党首を辞任することを発表した。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。