2018年10月4日 第40号
ケベック州で10月1日に実施された州議会議員選挙は、同日の投開票の結果フランソワ・レガルト党首率いるCAQ (Coalition Avenir Quebec)が圧勝した。
レガルト次期州首相は1日の勝利宣言で、CAQに投票した州民だけでなく「すべてのケベック州民のためにこれから政権を担っていく」と英語で語り、モントリオール地区に多い英語圏の州民を意識した。
前日までは、これまで政権を担ってきた自由党との接戦になると予想されていた。しかし、結果はCAQが過半数を超える多数派政権を実現した。投票結果は125選挙区中、CAQが74議席、自由党が32、ケベック・ソリデア(QS)10、ケベック党(PQ)9。得票率はCAQが37・41パーセント、自由党が24・82パーセント、QSが16・09パーセント、PQが17・05パーセントだった。
CAQが政権を取るのは今回が初めて。これまで過去約50年間、自由党かケベック党以外の党が政権を取ったことはなかった。これまで自由党が過去15年で13年間政権の座についていた。その他の2年間の政権を担っていたPQも今回は惨敗。議席数が足りず公式政党としての資格も失った。飛躍したのはQS。これまでの3議席から3倍以上に伸ばした。
今回の選挙では、いつものようなケベック州独立が選挙争点とはならなかった。4党とも政権を担った場合に独立を住民に問う住民投票を行わないと宣言していた。争点となったのは経済、移民問題、教育制度、医療保険など、州民の生活に密着しているものが多く、各党それほど大きな違いはなかった。そのため、今回CAQが大勝した背景には、州民が変化を望んだ結果と分析している専門家が多かった。
CAQレガルト次期州首相は2日に早速記者会見を行い、次期政権政党として、教育、医療へ力をいれることを約束するとともに、移民問題については年間4万人を上限として受け入れること、公務員が宗教的なシンボルを使用することを禁止することを求めるとも記者団に語った。大敗した自由党フィリペ・クイヤード党首は1日、選挙結果を受け党員に感謝の言葉を述べた。クイヤード党首は当選したが、党首を辞任すると発表した。躍進したQSマノン・マッセ代表は、環境問題への取り組みとケベック州独立を訴えていくと語った。
ケベック州独立を党の主要方針に掲げるPQが惨敗したことは象徴的だった。ジョンーフランソワ・リゼ党首はQS候補者に敗れ落選。党首を辞任することを発表した。