2018年10月4日 第40号

 ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンドの南西角にある漁港町、スティーブストン。第二次大戦前、日系人のコミュニティで賑わっていたこの町に、日系人の強制移動の歴史を記録する記念碑などを設置するプロジェクト『スティーブストン日系メモリアル・パブリックアート』の起工式が9月22日、開催された。

 1942年の強制移動で全てを失いスティーブストンを去った日系人は、戦後再び同地に戻り、ゼロからコミュニティをつくり上げていった。この歴史を目に見える形で残すことを目的とし、スティーブストン日加文化センターの日系メモリアル委員会と、リッチモンド市が共同でプロジェクトを立ち上げた。

 起工式は、スティーブストンの中心にある、かつての路面電車(トラム)を展示する博物館横で行われた。式にはリッチモンド市からマルコム・ブローディ市長ほか市議会議員やプロジェクトに関わる職員が参列。また日系メモリアル委員会からはケルビン・ヒゴ議長が参列したほか、今年創立90周年を迎えたスティーブストン仏教会からも代表が参加、プロジェクトの成功を祈念して読経が行われた。

 このメモリアルプロジェクトでは最初、強制移動の実像に迫るために、強制移動を実際に体験した人から当時の体験や感想を聞くなど地道な作業が行われた。そして集められた資料をもとに、この歴史を象徴するデザインを、バンクーバーにある都市空間デザイン事務所、ハパ・コラボレーティブ(Hapa Collaborative)が手掛けた。同事務所によると、そのデザインコンセプトは、過酷な運命に翻弄されながらも、再び当地に戻ってきた日系人の忍耐力と強靭さ、そして日系人コミュニティとしての精神力だという。スティーブストンを追われた日系人が送り込まれた各収容所を示した記念碑のほか、短冊状の紙を組み合わせてかごを作る、かご編みのパターンからヒントを得たブロック舗装を、トラム博物館前の歩道に施す。またこの一帯の樹木に、LEDを用いたランタンもかけられる。

 プロジェクトの工事は、来年夏に竣工する予定。

 

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