2016年9月15日 第38号

 オンタリオ州トロントに住むビッキー・マカラムさんには、27歳になる息子ジュリアンさんがいる。彼は耳が聞こえず、知的障害と遺伝子疾患を患っており、自宅での家族のサポートなしには生活が困難な状態だ。

 そんな息子のため、マカラムさんはオンタリオ州政府に対して長年、援助の申請を続けてきた。しかし当局からは何の返答もないまま。州議会議員にかけあっても、なしのつぶて。

 かつては補助金を支給されていたこともあったが、それも彼がスーパーで週5時間のアルバイトを始めたとたんに打ち切られた。

 「彼の存在が忘れ去られている」と嘆くマカラムさん。しかし、彼女の息子のケースは決して珍しいものではない。最近オンタリオ州の行政監察機関がまとめた報告書によると、成人を迎えた障害を持つ人に対するサポートの不備により、支援が行われなかったり、虐待を受けたり、また適切なケアを受けられないまま刑務所や病院に送り込まれてしまうケースが後を絶たないという。

 そのような状況の中、マカラムさん夫妻は家を売却し、息子のためにタウンハウスを購入することにした。彼が環境に慣れるまでは一緒に暮らし、可能なサポートやルームメイト探しを行うつもりだという。最終的には、彼が自活できるような、自家製グループホームのようなものを目指す。

 そうして、そのような流れが拡大して同じように障害を持った成人たちのコミュニティが形成され、政府からの支援を得られるようになることを、マカラムさんらは望んでいる。政府にはこうした人々やその家族に対する敬意と、さらなる情報と制度の透明性を高めることを求めている。

 

2016年9月15日 第38号

 ニューブランズウィック州の首都フレデリクトンの男性が所有していた人形が、1万ドルでコレクターに売却された。

 この高さ20センチほどの首振りホッケープレーヤー人形を、中古品を扱う店バリュー・ビレッジで7〜8年前に購入したノーマン・マクドナルドさんが払った金額は、わずか2・99ドルだった。

 つい2カ月ほど前までは気にしていなかったが、マクドナルドさんはあらためてこの人形のことを調べてみる気になった。そしてわかったことは、この人形はチョコレート店ローラ・セコールが出したもので、全部で6種類のホッケーチームのコスチュームを着た人形のうちのひとつだったということ。ちなみに、1964年に日本で製造されたものだった。

 さらにこの人形を超レアものにしているのは、カラーリングに大きな間違いがあるところ。この人形はボストン・ブルーインズの選手のはずなのだが、着ているのは同チームの黄色と黒のユニフォームではなく、モントリオール・カナディアンズの赤と青のユニフォームに、ブルーインズを示す『B』のロゴを付けたという、ありえないユニフォーム。コレクターによると、この人形は世界中に13体しか残っていないという。

 この人形の素性を知ったと同時に、その熱心なコレクターがいることも判明した。ニューヨークに住むコレクターは、その日のうちに3000ドルでの買い取りを申し出てきた。マクドナルドさんが回答をしぶっていると、4000ドル、6500ドルと値を上げてきた。最終的にマクドナルドさんが1万ドルを提案、交渉が成立した。他にも買い取りを申し出てきたコレクターもいたが、この6種類の人形を全てそろえるため、最後になったモントリオール・カナディアン風ボストン・ブルーインズの人形を何年間も捜し求めてきたというニューヨークのコレクターの夢をかなえさせたいと思い、彼への売却を決心したという。

 わずか3ドルで購入した人形に1万ドルの価値があったことに満足はしているマクドナルドさんだが、最初にこの人形を買おうと思ったのは、この人形が気に入ったからで、それなりの愛着があった。いざ手放すとなると、後ろ髪を引かれる思いもあったと語っている。

 また、今回の一件には、自分の実力だけではなく運も味方してくれていたと感じたマクドナルドさんは、得たお金の一部をチャリティに寄付すると話している。

 

2016年9月15日 第38号

 メジャーリーグサッカー(MLS)バンクーバー・ホワイトキャップスFCは10日、アウェーでコロンバス・クルーSCと対戦。プレーオフ進出に向け、もう1試合も負けられない一戦で、先制を許しながらも逆転で勝利し、9試合ぶりの白星で、なんとか踏ん張った。

 この日は、前試合で退場処分となったカール・ロビンソン監督が出場停止となったが、選手たちはプレーオフへの望みをつなぐ執念を見せた。

 前半11分に先取点を取られたが、13分に相手のオウンゴールで同点。そして後半に入り、74分、MFジェイコブソンが決めて逆転。最後は今季ゴールが決まらず苦しんだFWハタードがダメ押しゴールを決め、3‐1で勝利した。FW工藤は先発。試合開始早々、シュートを放つもゴールはならなかった。

 チームは7月13日以来の白星で、9試合ぶりに勝ち点3を獲得。9勝13敗7分で勝ち点34となり、西カンファレンス7位に浮上した。

 ただ、プレーオフ進出の境界線となる6位以内に入るには、勝ち点38の6位ポートランド・ティンバーズとの勝ち点差4を縮めなければならない。残りは5試合、まだまだ厳しい状況に置かれていることには変わりはない。

 次の試合は17日、シアトルでサウンダーズFCと対戦。今季は現在9位と低迷しているカスケディアライバルのサウンダーズに、まずはアウェーで勝利し、勢いをつけてホーム2試合を戦い、プレーオフ進出に望みをつなぐ。

 

2016年9月15日 第38号

 カナディアン・フットボール・リーグ(CFL)BCライオンズは9日、BCプレースでモントリオール・アロエッツと対戦。後半追い上げられたものの、前半の大量リードで危なげなく逃げ切り、38‐27で快勝した。

 この日は第1クオーターからライオンズが主導権を握った。開始5分で早々にタッチダウン(TD)を決めると12分に再びTDを決め第1クオーターを終え、15‐3とリード。その後も着実に得点を重ね、合わせて5TDで快勝した。

 これで11試合を終え、8勝3敗、勝ち点16で西地区2位を維持。プレーオフに向け、着実に勝ち点を伸ばしている。1位は9勝1敗1分、勝ち点19のカルガリー・スタンピーダーズ。相変わらず好調で2位ライオンズと勝ち点差3を保ち、安定した強さを維持している。3位はウィニペグ・ブルーバマーズ、4位エドモントン・エスキモーズ、5位サスカチワン・ラフライダーズ。東の首位はオタワ・レッドブラックス、2位ハミルトン・タイガーキャッツ、3位はトロント・アーゴノッツ、4位はモントリオール・アロエッツ。

 CFLはすでに後半戦に入り、各チームともレギュラーシーズン残り7試合とし、プレーオフ進出に向け、ここから激しい戦いが繰り広げられる。プレーオフには各地区上位3チームが進出できる。

 

2016年9月15日 第38号

 オンタリオ州で酒類の販売を管理するLCBO(the Liquor Control Board of Ontario)は、アムステルダム・ブルワリー社の缶ビール、スィートウォーター・ラドラー・ブラッド・オレンジに破裂の危険性があるとして、リコールした。

 対象となるのは、7月22日に製造されたもので、製造ロット番号はG2216。出荷後もビールが発酵を続け、缶内の圧力が異常に高まることが原因。LCBOには2件の破裂が報告されている。ひとつは購入した人の家で、またもう一件はLCBOの小売店の陳列棚で起こった。

 LCBOは同商品を店頭から撤去するとともに、購入者からの返品を受け付けている。また購入した商品がリコール対象かどうかを確認する際には、破裂の可能性を考えて缶の取り扱いには十分注意するよう呼びかけている。

 

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これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。