2016年9月15日 第38号

 ニューブランズウィック州の首都フレデリクトンの男性が所有していた人形が、1万ドルでコレクターに売却された。

 この高さ20センチほどの首振りホッケープレーヤー人形を、中古品を扱う店バリュー・ビレッジで7〜8年前に購入したノーマン・マクドナルドさんが払った金額は、わずか2・99ドルだった。

 つい2カ月ほど前までは気にしていなかったが、マクドナルドさんはあらためてこの人形のことを調べてみる気になった。そしてわかったことは、この人形はチョコレート店ローラ・セコールが出したもので、全部で6種類のホッケーチームのコスチュームを着た人形のうちのひとつだったということ。ちなみに、1964年に日本で製造されたものだった。

 さらにこの人形を超レアものにしているのは、カラーリングに大きな間違いがあるところ。この人形はボストン・ブルーインズの選手のはずなのだが、着ているのは同チームの黄色と黒のユニフォームではなく、モントリオール・カナディアンズの赤と青のユニフォームに、ブルーインズを示す『B』のロゴを付けたという、ありえないユニフォーム。コレクターによると、この人形は世界中に13体しか残っていないという。

 この人形の素性を知ったと同時に、その熱心なコレクターがいることも判明した。ニューヨークに住むコレクターは、その日のうちに3000ドルでの買い取りを申し出てきた。マクドナルドさんが回答をしぶっていると、4000ドル、6500ドルと値を上げてきた。最終的にマクドナルドさんが1万ドルを提案、交渉が成立した。他にも買い取りを申し出てきたコレクターもいたが、この6種類の人形を全てそろえるため、最後になったモントリオール・カナディアン風ボストン・ブルーインズの人形を何年間も捜し求めてきたというニューヨークのコレクターの夢をかなえさせたいと思い、彼への売却を決心したという。

 わずか3ドルで購入した人形に1万ドルの価値があったことに満足はしているマクドナルドさんだが、最初にこの人形を買おうと思ったのは、この人形が気に入ったからで、それなりの愛着があった。いざ手放すとなると、後ろ髪を引かれる思いもあったと語っている。

 また、今回の一件には、自分の実力だけではなく運も味方してくれていたと感じたマクドナルドさんは、得たお金の一部をチャリティに寄付すると話している。

 

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