2016年9月15日 第38号

 保守党党首選に立候補しているケリー・リーチ議員が先週「反カナダ人価値観」審査を移民希望者に対して導入することの必要性を訴えた件で、保守党内からは反対の意見が多く出ている。

 ローナ・アンブローズ暫定党首はテレビインタビューでリーチ議員の提案に賛成しないことを表明、他の候補者、マイケル・チョン議員やマキシム・ベニエ議員、トニー・クレメント議員も、不必要、もしくは審査方法が不透明として反対する意見を述べている。また進歩保守党のブライアン・マルロニー元首相やジェイソン・ケニー元移民相も反対する意見を述べている。

 そうした党内での逆風に11日、リーチ議員は「残念だ」とテレビインタビューで語り、議論する価値があると改めて強調した。ただ、どのように審査するのかといった具体的な方法などについては言及を避けた。

 一方で世論調査の結果ではリーチ議員の提案に賛成が半数を超えている。世論調査会社フォーラム・リサーチが10日発表した結果によると、回答した67パーセントの国民が「反カナダ人価値観」を移民希望者を対象に審査すべきとし、中でも保守党支持者は87パーセントと高く、自由党支持者でも57パーセント、新民主党(NDP)は59パーセントと、いずれも半数を超えていた。男女別では男性が70パーセント、女性が64パーセント、地域別ではケベック州71パーセント、オンタリオ州70パーセント、低い所では東海岸州で56パーセントだった。

 リーチ議員はこうした国民の意識に自身の主張を訴えかけ、党首選を戦うのではとみられている。

 

2016年9月15日 第38号

 ブリティッシュ・コロンビア州政府は9月15日付けで、最低賃金を1時間につき10・85ドルに引き上げる。これまでカナダ国内最下額であったBC州の賃金は、40セントの増加により最下位をまぬがれることになる。2017年9月15日には11ドル25セントまで引き上げることに行政区も同意している。

 

2016年9月15日 第38号

 カナダエネルギー委員会(NEB)は、3委員が今回のエナジー・イースト・パイプライン建設計画公聴会の委員から外れると9日発表した。交代する新委員は後日決定する。

 エナジー・イースト・パイプライン建設計画は、トランスカナダ社が建設を予定しているアルバータ州のオイルサンドをカナダ東海岸ニューブランズウィック州セント・ジョンまで運ぶ4500キロメートル、総事業費157億ドルのパイプライン建設計画で、完成すれば一日110万バレルのオイルサンドを運ぶことになる。

 しかし、環境活動家や先住民族など反対派も多く、特にケベック州では新たにパイプラインが建設されるとあって、モントリオール市デニス・コデーレ市長をはじめ住民の反対も根強い。そこで現在、NEBはパイプライン建設計画についての公聴会を関係各都市で開催。住民への説明や意見交換を行っている。

 その公聴会が8月29日にモントリオールで行われることになっていたが、反対派運動家が抗議行動で暴れたため、この日の公聴会は中止。延期することが決まった。NEBは、ケベック州ジャン・シャレー元州首相がトランスカナダで働いていた時にNEB委員と接点があったことが明らかになったとして、この委員を今回の公聴会の担当から外すか決定するまで、モントリオールでの公聴会を延期すると説明した。

 NEBが9日発表した報告書では、ピーター・ワトソン議長とリン・メルシー副議長、ジャック・ガーサー委員の3人が今回公聴会でのパネルメンバーから外れ、さらに、ワトソン議長とメルシー副議長は新委員選びに関わらないことも発表した。この3人は2015年1月に、当時トランスカナダ社でコンサルタントをしていたシャレー元州首相と非公式に会談したと報じられている。ただ、NEBは会談内容はパイプライン建設ではなく、当時元州首相がトランスカナダ社と関係があるとは知らなかったと説明している。

 モントリオールでの公聴会は新委員が決まったあと再開するとしている。

 

2016年9月15日 第38号

 カナダ統計局は9日、8月の就業者数が2万6200人増となったと発表、前月の3万1200人減から大きく増加した。ただ、労働市場へ参入した就業希望者も増加したため、失業率は前月の6・9パーセントから7・0パーセントに悪化した。

 フルタイムが増加し5万2200人増、パートタイムは2万6000人減だった。要因は公的機関での雇用が増えたことで5万7000人、民間で8300人、自営業は3万9100人減少した。

 地域別ではケベック州が2万2000人増、ただ失業率は7パーセントから7・1パーセントに悪化、ニューファンドランド・ラブラドールが4000人増で12・8パーセントから12・3パーセントに改善、ニューブランズウィックは3000人減だったものの9・7パーセントから9・4パーセントに改善した。失業率が最も低いのはブリティッシュ・コロンビア州で5・5パーセント、前月よりも0・1パーセント改善している。

 カナダ銀行は7日、金利を0・5パーセントのまま据え置くと発表。今後の経済見通しについては、今年後半は大きく成長するだろうと予測。今年5月にアルバータ州で起きた大規模山火事からの回復と自由党政権の経済刺激策の効果が表れてくるとみている。

 

2016年9月15日 第38号

 1970年代にアルバータ州で犯罪を起こして以来、数々の性犯罪を繰り返してきたラリー・タカハシ受刑者(63歳)に対し、昼間の外出許可が認められた。

 同受刑者は、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市内にある社会復帰のための施設ハーフウェイ・ハウスに収容されている。1984年には当時29歳だった女性への暴行の罪で刑務所に収監されたほか、複数の強姦、変装、加重性的暴行罪のほか、監禁、武器を使用した性的暴行の罪などで終身刑に服している。

 また、最近出された仮釈放委員会の報告書によると、タカハシ受刑者が再び犯行に及ぶ可能性はかなり高いとされており、特に10代の女性に危害を与える危険性が高いという。

 そのようなタカハシ受刑者に対して先月、門限を厳守する条件付で外出が認められたというニュースが報道されると、コミュニティの安全に対する不安の声があがり、先週末にはバスや街角でタカハシ受刑者を見かけたという目撃者談を、メディアがとりあげたりした。

 しかし警察は、同容疑者は今のところ施設から出ないことにしていると、目撃情報は人違いであるとのコメントを発表している。また、警察はタカハシ容疑者の行動を監視しているとした上で、いずれは同容疑者が街角で目撃されるようになるだろうが、もし彼が外出中に科せられた義務ーアルコールの摂取、購入や所持の禁止などーに違反しているのを目撃した場合は、速やかに警察に通報するよう呼びかけている。

 タカハシ容疑者は身長180センチ、体重70キログラムで、短い白髪で目は茶色。普段は度入りの眼鏡をかけている。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。