2016年9月15日 第38号

 カナダエネルギー委員会(NEB)は、3委員が今回のエナジー・イースト・パイプライン建設計画公聴会の委員から外れると9日発表した。交代する新委員は後日決定する。

 エナジー・イースト・パイプライン建設計画は、トランスカナダ社が建設を予定しているアルバータ州のオイルサンドをカナダ東海岸ニューブランズウィック州セント・ジョンまで運ぶ4500キロメートル、総事業費157億ドルのパイプライン建設計画で、完成すれば一日110万バレルのオイルサンドを運ぶことになる。

 しかし、環境活動家や先住民族など反対派も多く、特にケベック州では新たにパイプラインが建設されるとあって、モントリオール市デニス・コデーレ市長をはじめ住民の反対も根強い。そこで現在、NEBはパイプライン建設計画についての公聴会を関係各都市で開催。住民への説明や意見交換を行っている。

 その公聴会が8月29日にモントリオールで行われることになっていたが、反対派運動家が抗議行動で暴れたため、この日の公聴会は中止。延期することが決まった。NEBは、ケベック州ジャン・シャレー元州首相がトランスカナダで働いていた時にNEB委員と接点があったことが明らかになったとして、この委員を今回の公聴会の担当から外すか決定するまで、モントリオールでの公聴会を延期すると説明した。

 NEBが9日発表した報告書では、ピーター・ワトソン議長とリン・メルシー副議長、ジャック・ガーサー委員の3人が今回公聴会でのパネルメンバーから外れ、さらに、ワトソン議長とメルシー副議長は新委員選びに関わらないことも発表した。この3人は2015年1月に、当時トランスカナダ社でコンサルタントをしていたシャレー元州首相と非公式に会談したと報じられている。ただ、NEBは会談内容はパイプライン建設ではなく、当時元州首相がトランスカナダ社と関係があるとは知らなかったと説明している。

 モントリオールでの公聴会は新委員が決まったあと再開するとしている。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。