2017年6月22日 第25号

 ユーコン準州南西部の人口約500人の町ヘインズ・ジャンクションから南下し、アメリカ・アラスカ州ヘインズ(同州の州都ジュノーの北西約100キロメートルの町)までの約250キロメートルを結ぶ、ヘインズ高速道路。

 この道路を自転車で競うクルーネ・チルカット国際自転車リレー(Kluane Chi lkat International Bike Relay)が、季節外れの雪のため直前にキャンセルとなった。今年25周年の節目を迎える同大会は、17日に開催される予定だった。

 しかし前日から降り始めた雪が、標高約2千メートルのスタート地点、ヘインズ・ジャンクションでも積もり、途中3千メートルを超す標高を走るコースは安全性に問題があるとして、大会本部が中止を決定した。

 標高約2千メートルのスタート地点から雄大なロッキー山脈の山あいや、3千メートル級の峠をいくつも抜けるアップダウンの激しいルートは、後半では長い下りにかわり、ジュノーにつながる深い入り江に面した港町、標高ほぼゼロメートルのヘインズへと向かう。

 約240キロメートルの、このコースを1日で走り抜ける大会は、これを8つのセクションに分けており、2人や4人、また最大8人のチームで挑む。また全コースを一人で走る単独参加者も、今年は93人参加していた。

 

 

2017年6月22日 第25号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市議会は15日、アルコール類販売ライセンスに関する条例の変更を可決した。これによりアルコール類販売に関する規制が緩和され、地元ビジネスとコミュニティの活性化につながると市では説明している。

 主な変更点は以下のとおり。

・食糧販売店の中に設けられた酒類販売店(store-in-store)でのワイン、ビール、リカー類の販売を認可
・美術館や博物館といった、文化芸術関係の施設でのアルコール類の販売を認可
・レストランなどの、アルコール類を販売できるパティオの座席数の拡大
・ビールなど醸造所に付属したアルコール類販売ラウンジの営業時間を、深夜零時まで延長
・レストランが午後10 時以降にアルコール類を提供する場合、調理場を開けておかなければならないという規制を撤廃、レストランがバーとして午後10 時以降に営業することを支援
・公共の安全と健康の観点から、利用客に適切な情報を与えるため、アルコール類のメニューには、容量と度数とを明記する
・公共の啓もうと違反摘発強化のために、BC 州酒類管理局(BC LCLB - BC Liquor Control & Licensing Branch)とバンクーバー・コースタル保健局の協力を促進
・深夜のグランビル通りのバーやクラブの外にできる人だかり緩和のため、閉店の1時間前からは新たな客や、いったん外に出た客の再入店を認めない、など

 

 

2017年6月15日 第24号

 カナダ銀行は8日、金融システム報告書を発表、国民の負債が増額していること、国内2大都市の不動産価格が相変わらず上昇し続けていることが、国の経済と国民の家計を非常に不安定にしていると警鐘を鳴らした。

 トロントとバンクーバーの不動産事情が相変わらず過剰評価され高騰を続けている実情に、もし価格の適正化が起こればカナダ経済と家計を直撃すると報告。特に、無保険の住宅ローンの割合が増え、住宅ローンによっては危険を伴うものもあると警告している。

 国民の可処分所得に対する返済負担率は170パーセントに近づく勢いで、過去最高となっているとも報告。負債の約90パーセントが、住宅ローンやHELOC(持ち家の純粋価値を担保にして開く借金の口座)で、不動産関連となっている。

 報告書では、負債の増額率が所得の上昇率を上回る状況が続き、返済負担率が上昇し続ける傾向は、景気後退や住宅価格の下落、金利上昇などの要因で家計を圧迫する危険が高まることを表しており、国全体の経済や金融システムに影響を与えると報告している。

 ただアメリカで起きたような住宅価格の崩壊は、金融制度が健全なカナダでは起こらないだろうとしている。

 7日にはファイナンシャル・コンシューマー・エージェンシー・オブ・カナダが、住宅ローンに関する報告書を発表。住宅ローンを抱えた上にHELOCを持つ世帯が2011年から40パーセントも増加していると報告。持ち家のある国民がHELOCをATM代わりに使っている傾向があり、返済能力以上の負債を簡単に抱える事態になっていると警鐘を鳴らしている。

 2016年のHELOC負債残高は2100億ドルに達し、口座数は国内で300万口座あり、平均負債残高は7万ドルになると報告している。

 カナダ銀行は12日、現在0・5パーセントの低金利を維持するか見直すことを示唆した。キャロライン・ウィルキンズ副総裁がマニトバ州ウィニペグでの講演で、今年第1四半期の経済成長が思った以上に好調で、経済成長が拡大している兆しが見えるとして、金融政策を見直すことになるだろうと語った。今回の副総裁の発言が、2018年以降と予測されていた金利引き上げ時期が今年中に早まるのではとの予測から、この日カナダドルが上昇した。カナダ銀行は7月12日に金利を発表する。

 

 

2017年6月15日 第24号

 連邦新民主党(NDP)は10日、ニューファンドランド・ラブラドール州セント・ジョーンズで党首選候補者による討論会を行った。

 2015年10月の総選挙で議席数を大きく減らしたNDPは、昨年の党大会でトーマス・マルケア党首の交代を投票により決定。今春、ようやく本格的な党首選に突入した。

 現在立候補しているのは、マニトバ州選出ニッキー・アシュトン議員、オンタリオ州チャーリー・アンガス議員、ケベック州ガイ・キャロン議員、ブリティッシュ・コロンビア州ピーター・ジュリアン議員の連邦議員4人とオンタリオ州議会ジャグミート・シン議員。

 討論会では、気候変動対策や税制改革、所得格差の是正、自由党政権が最近発表した防衛費増額や国際貢献などの外交政策への批判で、意見の応酬があった。

 さらに、現在最も注目されているキンダー・モーガン社のトランスマウンテン・パイプライン拡張計画でも激論が交わされた。

 同パイプライン拡張計画は、アルバータ州エドモントン近郊からBC州バーナビー市までのパイプラインを拡張し、現在の3倍のオイルサンドを輸送してアジア市場へと輸出するための計画。輸送量が3倍に増加すれば、BC州沿岸のタンカー数は7倍に激増すると試算されている。

 この計画は連邦自由党政権、BC州自由党政権がすでに承認したが、今年5月のBC州議会議員選挙で、拡張工事停止を公約としたBC州NDP(BCNDP)とグリーン党が合わせて44議席を獲得。約60パーセントが反対を表明した党を支持したことで、もともと同計画には地元の根強い反対があったが、反対派が多いことがより鮮明になった。

 この選挙では、自由党が43議席と最多議席を獲得したが、過半数に届かず少数派政権が誕生することになった。しかしBCNDPとグリーン党が政策で協力することに合意したため、BCNDP政権が誕生する可能性が高くなっている。

 討論会では、シン議員が、同計画を推進しているアルバータ州のNDP政権と新政権となるだろう反対派のBCNDP党首と話し合いを持った後に自身の気候変動政策を発表すると語った。BC州選出のジュリアン議員は、BC州ではキンダー・モーガンは大きな選挙争点だったと語り、「60パーセントの州民がキンダー・モーガン反対を掲げる党に投票している。もし仮に海岸沖で一つでも事故があれば、美しい海岸は何世代にもわたって汚染されてしまう」と反対を主張。パイプライン政策でNDP両党首と話し合いを持つという他人事のようなシン議員の発言に反論した。

 トランスマウンテン計画については、連邦NDPは厳しい立場に立たされている。連邦NDPとしては反対の立場を取っている。しかしアルバータ州NDP政権は、原油価格急落以降、経済が不安定となった州の事情があり、アメリカ以外の市場へのオイルサンド輸出は州経済復活の絶対条件として強行に推し進めている。一方、BCNDPは計画を承認した自由党政権の対抗馬として反対を前面に押し出して選挙戦を戦い、大きく議席を伸ばした。さらに同じく反対派のグリーン党と協力して少数派政権を実現しようとしている。

 討論会は今後、サスカチワン州サスカトゥーン、BC州ビクトリア、ケベック州モントリオール、BC州バンクーバーで行われる予定。NDP党首は今秋に決定される。

 

 

2017年6月15日 第24号

 ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンド市で、ガソリンスタンドで給油ついでに、ガソリンで車のバンパーを洗っているドライバーが目撃され、その様子を撮影した画像がインターネット上で広まり物議をかもしている。

 場所は同市中心部の大型スーパーマーケット、スーパーストアに併設されたガソリンスタンド。現場に居合わせたナタリー・シャンツさんによると、この女性ドライバーは給油ノズルからガソリンをバンパーにかけ始め、何かを洗い落とすようにしていたという。すぐに周りにいた他のドライバーや従業員がこれに気付き、騒ぎとなった。最終的には従業員が、このドライバーに危険行為を止めさせた。

 またリッチモンド市の条例によれば、全てのガソリンスタンドで給油は従業員が行う決まりになっており、この女性はそれに違反していることにもなる。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。