2017年6月15日 第24号
ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー島の、ビクトリア国際空港に近い海岸の町シドニーで、ハクトウワシが別の猛禽類のひなを育てているのが確認された。
この猛禽類は、北米では一般的なタカの仲間のアカオノスリ(Red-tailed hawk)。同町内の木に作られたハクトウワシの巣をモニターしていた、ハンコック野生動物基金のメンバーが発見した。同基金のデビッド・バード博士は、このアカオノスリの雛はもともと、ハクトウワシがエサにする目的で、どこかのアカオノスリの巣から連れ去ってきたものだろうと推測する。
本来ならばハクトウワシの雛のエサになってしまうはずだったが、巣に連れ帰ったハクトウワシの親は逆に、この雛もハクトウワシの雛と同じように給餌し、巣の中で一緒に育て始めた。多分、巣に連れ帰ってもエサをねだって鳴き止まなかったアカオノスリの雛の鳴き声が、ハクトウワシの親の母性本能を刺激したのではないかと、バード博士は推測する。
今のところこのアカオノスリの雛は、3羽のハクトウワシの雛と一緒に巣の中で育っている。猛禽類の別種の雛が一緒に育てられる例は非常に珍しく、バード博士が知る限り歴史的に見ても2〜3例しか記録が残されていないという。
アカオノスリの雛の大きさは、ハクトウワシのそれの半分ほどしかない。エサがふんだんに与えられている間は大丈夫だが、もしエサ不足が起こったら、体格の大きい雛が小さい雛を食い殺してしまうことはよくあることだ。アカオノスリの雛が飛べるようになるまでの間、そうした危機が訪れないように願うだけだと、バード博士は取材に答えている。
ハンコック野生動物基金は引き続き、巣の様子をモニターし続けていく。