2017年12月7日 第49号
ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンドの漁港で2日、恒例の新鮮なニシンの1日限りのセールが行われた。
漁師らがボランティアで行うこのセールは、ある漁師の17歳の娘ががんで亡くなったことをきっかけに2011年から始まった。彼女の死を悼んだ漁師仲間の、同じような状況にある子供たちのために何かを…という思いが、その出発点だった。
販売されるニシンの単位は20ポンド(約9キログラム)で、15ドル。そのため購入者はバケツなどを持参することになる。
当日は雨模様にもかかわらず、会場となったスティーブストン漁港局裏手の倉庫には、そうしたバケツを持った人が長蛇の列を作った。初年度には30トンだった売上高は、最近では65トン前後を推移してきたが、今年は50トン程度で約8万ドルの売り上げになったと、イベントコーディネーターのフィル・エイスビクさんは取材に語っている。漁師らはすべて手弁当でこのイベントに協力しているため、売り上げ全額がBC州チルドレンズ・ホスピタル基金に寄付される。
今日は一年の中で最高の日だったと、エイスビクさんは笑顔で答えていた。
2017年11月30日 第48号
自由党政権は22日、深刻な住宅不足が続く低所得者層向けの住宅問題解消の10年計画を発表した。
トロントで記者会見したジャスティン・トルドー首相は、史上初の連邦政府主導の大型住宅問題改善計画に40億ドルを費やすと発表した。「住まいを持つ権利は人権と等しい」とトルドー首相。「全国民が安全で手頃な住まいを手に入れる権利がある」と述べた。
今回の計画には、新たに10万戸の低価格住宅の建設、30万戸の低価格住宅の修理を含め、住宅価格が上昇することで住まいを失う可能性がある38万5千世帯の保護、カナダ・ハウジング・ベネフィットを通して30万世帯に金銭的支援の提供、さらにホームレスの50パーセント削減なども盛り込まれている。
しかし多くの項目で実際に国民がこの計画によって恩恵を受けるのは2019年以降。つまり次期総選挙の後に設定されている。そのため、「緊急性を要する事態」と政府が叫んでいるには対応が遅すぎるという批判が出ている。
さらに今回の計画は低所得者を対象にしたものであり、中間所得者層向けのものではないため住宅を購入したくても高すぎて手が出ないという新規住宅購入者、特に若者への配慮が足りないとの声も上がっている。
住宅問題解消は自由党の公約の一つであり、2年が経ってようやく計画が発表されたが、実現するまでの道のりは長い。今回の計画も各州との協力の下で行われる。
各州政府は今回の連邦政府の発表に一定の評価をしている。ただ支援の配分が不明瞭なことや、これでは十分ではないとの声もある。
特に国内で最も住宅事情の厳しいブリティッシュ・コロンビア州では、同日にバンクーバーでジャンイブ・デュクロ家庭・子供・社会開発相がこの計画を発表した。関係者は一定の評価をしながらも不明瞭な点が多いと懸念している。いつからどれくらいの支援が受けられるのか、緊急を要するバンクーバーではすぐにでも支援が必要との声が多い。
BC州政府新民主党(NDP)ジョン・ホーガン州首相は、期待としてはすぐにでも始めてもらって、来年2月の予算案に連邦政府からの支援を組み込みたいと語り、2020年まで先延ばしにされるとなればがっかりだと語った。
BC州NDPは今年5月の選挙で、低中間所得者層向けの住宅問題改善を公約として掲げていた。
2017年11月30日 第48号
ジャスティン・トルドー首相は28日国会で、LGBTQ2コミュニティに謝罪の言葉を述べた。
カナダでは1950年代から、カナダ政府による性的少数派への迫害が続いていた。性的少数派の活動を犯罪化したり、カナダ軍や公的機関から排除したりという政策が1990年代初めまで続いていた。
トルドー首相は、これは遠い過去に起こったことではない、「こうした組織的な行為はカナダで我々が認めたくないと思うほど最近まで行われていた」と述べた。
「これは、我々が行った、恥であり、悲しみであり、深い後悔であり、今日ここでそれを認め、我々が間違っていたことを心から謝罪したい」と述べた。その後、会場で傍聴していた関係者や議員から大きな拍手が巻き起こった。
今回の謝罪と共に、連邦政府は性的指向が理由で有罪となった人々の犯罪記録の抹消を実現する法案を同日に提出、可決される見通しとなっている。
また軍や政府機関を追われた人々に対し、総額で1億1千万ドルの補償をするほか、2千万ドルの裁判費用、さらに1千5百万ドルを記念碑などの建設に充てる。
保守党アンドリュー・シェア党首も首相の謝罪を支持することを表明。「この国で、これまで罪のない人々を不当に扱ってきたことに遺憾の意を表明する」と語った。そして国内だけでなく海外で同様の扱いを受けている人々にも手を差し伸べるべきとも訴えた。しかし保守党の中には今回の謝罪表明に出席しなかった議員もいた。
新民主党(NDP)ガイ・キャロン議員は一歩踏み込んで、現在は禁止されている性的少数派の男性による献血を含むさまざまな差別的法律を見直すべきと語った。
2017年11月30日 第48号
カナダ統計局は28日、ヘイトクライムに対する2016年調査結果を発表。ブリティッシュ・コロンビア州では前年より29パーセント増加、47件増えて211件に上ったと報告した。
そのうち、性的少数派(LGBTQ)への差別が30パーセントを占め、東南アジア人へは27パーセント。件数では性的少数派に対するものが最も多かったが、増加率では東南アジア人に対するものが2倍以上と急増したことが分かった。
全国的には1409件で3パーセント増加。このうち、人種や民族に対する差別が666件、性的少数派に743件となっていた。差別対象としては、イスラム教徒やカトリック教徒を対象とした件数が減少する一方で、東南アジア人やアラブ人を対象とする件数が増加しているとも報告している。
ヘイトクラム件数は警察に届けられた事件を参考に算出されている。
2017年11月30日 第48号
オンタリオ州議会は22日、自由党キャサリーン・ウィン州首相が提出した労働に関する改正法案を賛成多数で可決した。
この法案には時給15ドルへの引き上げのほか、雇用主にパートタイムの従業員などにフルタイム従業員と同じ内容の仕事をしている場合は同じ給与を支払うことなどが盛り込まれている。
時給については、来年1月1日に現在の1時間11・6ドルから21パーセント引き上げ14ドルとする。そして2019年1月1日に15ドルに引き上げる。
これについて野党進歩保守党は、急激な引き上げは中小企業に直接影響し、失業者が増えることになると反対。法案に反対票を投じている。
これに対し自由党は、オンタリオ州には現在時給15ドル以下の労働者が160万人いるとの試算し、時給が引き上げられることで生活に必要な購買力が引き上げられると語っている。
オンタリオ州では2018年に選挙が控えており、時給の引き上げは有権者にも関心の高い項目となっている。
オンタリオ州以外ではアルバータ州で2018年10月に15ドルに引き上げられることが決まっている。