2017年12月7日 第49号

 ブリティッシュ・コロンビア州の人口14万人ほどの都市アボッツフォードで12月2日、登校中にバスにひかれ死亡した少女の葬式が行われた。

 同市のイスラム教センターによると、この少女ハラ・アルバホウムちゃん(9歳)の家族は、政府のシリア難民受け入れプログラムによって、昨年アボッツフォードに迎え入れられた30家族のうちのひとつだった。

 事故が起こったのは1日午前8時過ぎ。彼女が通うテン=ブローク小学校まで400メートルほどのところにある横断歩道を渡っていたところを、バスにはねられた。すぐさま病院に搬送されたものの、そこで死亡が確認された。

 教育委員会によると、普段はこの場所で児童の安全を確認している監視員は、この時に限って現場に居合わせていなかった。現在アボッツフォード市警察と、バスを運行しているBCトランジットが事故原因を調査している。

 BCトランジット社長マニュエル・アカディナーさんは、この事故に深い悲しみを感じているとコメントを発表している。一方アボッツフォード市警察は、まだ捜査の初期段階であり確実なことは言えないと前置きした上で、事故当時は暗かった上に激しい雨が降っており、その視界の悪さと事故との関連性を示唆していた。

 家族を知る男性は、シリア内戦の空爆の恐怖から逃れ、ようやく安全な場所に落ち着けたと思ったのもつかの間、ハラちゃんの突然の悲報に打ちのめされている父親には、かける言葉も見つからないと、その悲しみをメディアに語っていた。

 この男性らが、ハラちゃんの葬式代や家族への車の購入のためにと立ち上げたオンライン上の募金活動サイトでは、先週末までで2万ドルを超える寄付が集まった。

 

 

2017年12月7日 第49号

 ケベック州議会は11月30日、店員が来店客に対して使う挨拶をフランス語だけにするという動議を、111対0の全会一致で可決した。

 同州モントリオールなどでは、仏英混在の挨拶『ボンジュール・ハイ』がよく使われていた。以前から英語を混在させて話すケベック州民が多すぎることを憂慮していたケベック党は、州内でフランス語を話す人口が減少していることが、最新の国勢調査からも明かになったことから、この動議の提出に及んだ。

 また『ボンジュール』は多くの人に認識されているフランス語のひとつであり、この動議でフランス語がケベック州の公用語であることが再確認でき、意味のある動議だったとピエール・カール・ペラドー同党党首は語っている。

 フィリップ・クイヤール同州首相は、条例まで使って挨拶をフランス語のみにするというのはばかげているとコメントしながらも、個人的にはフランス語だけの挨拶が好ましいとメディアに語っていた。 ケベック党の州議会代表を務めるパスカル・ベルベ議員は「挨拶をフランス語のみにするということは、英語圏コミュニティとともにあるフランス語圏都市の、本来の自分たちの姿になるということだ。最初の挨拶は『ボンジュール』であるべきで、それがフランス語圏への敬意を表すことになる」と取材に語っていた。

 同党が提出したオリジナルの動議では、仏英混在の『ボンジュール・ハイ』を『不快な表現』とまで非難していたが、これは州内のフランス語話者と英語話者の間に不必要な対立を引き起こすとして、削除された。最終的に採択された動議は、以下のような文言となっていた。

 「地元ならびに世界からの顧客に接する小売店およびその従業員に対し、その挨拶を『ボンジュール』としてもてなすよう、求める」

 

 

2017年12月7日 第49号

 ニューブランズウィック州の南端、米メイン州との国境に近いグランド・マナン島沖で、まるで爪の部分にペプシ缶のタトゥーをしたかのようなロブスターが見つかった。

 このロブスターは、漁船の上で爪にゴムバンドをかける作業をしていたカリッサ・リンスランドさんが見つけた。1日にペプシコーラを12缶も飲むほどのペプシファンの彼女は、このタトゥーがとても気になった。

 ロブスターの爪に『描かれて』いたのは、ペプシ缶の一部。一部だけとはいえ、お馴染みの赤と青の配色、そして表面に結露した状態まで緻密に描かれた缶の様子から、これは間違いなくペプシコーラの缶だとわかる。

 一体どうしたら、野生のロブスターにこのようなことが起こりうるのか。リンスランドさんは漁師仲間のほかペプシ配送トラックのドライバーなどにも聞いてみたが、すべて推測の域を出なかった。いわく海底にあったペプシ缶を印刷したパッケージが成長過程のロブスターの爪の部分に張り付き、そのまま成長したのではないか…などなど。

 いずれにせよ確実にわかったことは、ロブスターの生育環境がゴミで汚染されているということ。ニューブランズウィック州の自然保護評議会のメンバーで、海洋保護プログラムのコーディネーターを務めるマシュー・アボットさんも、いまやゴミは至る所に蔓延し生態系を脅かしていると指摘している。特にプラスチック製品は次第に細かくなっていくが、消失することなく海中を漂い、それをエサと勘違いした魚や他の海洋生物が摂食してしまい、最悪の場合死に至ることもあると取材に答えていた。

 

 

2017年12月7日 第49号

 ニューブランズウィック州のファンディ湾で漁をしていたロビンソン・ラッセルさんは11月21日、極めて珍しいロブスターを捕まえた。

 5人の仲間とともに漁をしていたラッセルさんは、ロブスター漁歴20年というベテランだ。

 彼は今までに、青いものや黄色いもの、重さ9キログラム(20ポンド)の大物など、様々なロブスターを見てきた。しかし、この日海中から引き上げられた、青みがかった白色の半透明のロブスターを見たのは、これが初めてだった。

 米メイン州のロブスター研究所によると、これは殻に色素がないアルビノ個体で、おそらくは1億分の1程度の確率でしか出現しないだろうと取材に答えていた。しかし、こうした個体はあまりにもまれ過ぎるため、確率はあくまで推測に過ぎなく、確実に言えることは宝くじに当たる方がよっぽど確率が高いということだと付け加えていた。

 メイン州沿岸漁業協会では、このロブスターはいわゆる先天性色素欠如症だろうとみている。その場合、色素はある程度残っており、このロブスターの殻が真っ白ではなく青みを帯びていることや、目が黒いことと合致する。いずれにしても、極めてまれなことには変わりないが、食用に関しては特に問題ないとのこと。

 ラッセルさんらは、このロブスターに『ラッキー』と名前を付け、地元グランド・マナン島にあるレストラン、ハーバーグリルの水槽で飼うことにした。多くの人が、この珍しいロブスターを一目見ようとレストランを訪れている。またラッセルさんは、同州セント・アンドリュースにある非営利教育団体ハンツマン海洋科学センターの水族館が、このロブスターの飼育を引き受けてくれないかと考えている。同水族館は様々なロブスターを飼育していることで知られている。

 

 

2017年12月7日 第49号

 ノバスコシア州のクリスマスツリー栽培農家によると、今年はクリスマスツリーの注文が好調だという。

 同州ルーネンバーグ地区の農家フレッド・エイドさんの農場では、すでに卸売り用のクリスマスツリーは完売している。特に大口注文は、昨年比約60パーセントの伸びだという。先週は米ニュージャージー州にトラック便を1本出荷したほか、シーズン早々にカリブ海の顧客から8便分の注文が舞い込むなど、出だしから好調だった。

 地元の農家10軒は、大口商談に対応するためにルーネンバーグ・バルサムモミ協同組合を作っている。同組合が2年前に出荷したクリスマスツリーは8千本だったが、今年は12月に入るまでに1万3千本を売り、文字通り完売してしまった。

 注文が増加した分は、ほとんどがアメリカからのものだった。「2〜3年前にアメリカのクリスマスツリー業界は過剰供給に陥り、激しい安売りが行われた。その反動で現在は品薄状態となり、顧客は国境の北側にまでクリスマスツリーを探しにくるようになった」とエイドさん。

 クリスマスツリー用の生木の需要は、この5年間で順調に伸びていると、カナダ・クリスマスツリー農家協会でも説明している。特に今年は伸びが大きく、夏から大口注文が相次いでいたという。またプラスチック製ツリーによる環境への影響を考える人が増えていることも、このトレンドを後押ししているとのこと。

 卸売り用のクリスマスツリーは完売してしまったものの、多くの農家では地元への販売用の生木を別枠で確保しているため、近所の店からクリスマスツリーが姿を消すことはないとエイドさん。しかし、できるだけ早めに購入しておいた方が無難だと、取材に話していた。

 

 

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