2019年6月6日 第23号

 いつだったか以前ウインズコーラスのコーラスを聞きに隣組へ一人で行った。初めて行く隣組なので道を間違え、通りで会った女性に道を聞くと、その人は隣組のボランティアだった。そして、楽しい話をしながら隣組へ到着。「老婆のひとりごと」の読者でもあると言ってくれた。嬉しかったねぇ。ウインズコーラスのコーラスは素晴らしい。彼ら全体の「和」が会場に伝わるのだ。これは噂話だが、ある時、指揮をとる方が80歳を超えて大変だから引退する事になった。皆で引退パーティーをした。ところが、それが再出発パーティーになったのですって。指揮者の○○さんは今もお元気、溌剌それも楽しそうに指揮をなさっていた。

 そして、5月29日、再び老婆は、その頑張る指揮者にエネルギーを貰いたくて、又「ウインズコーラス」のコーラスを聴きに隣組へ行った。ピアノはバンクーバーシンフォニーの付属音楽学校ピアノ教授の方で、ヴィオラを弾く長井せりさんがアルトを歌っていた。歌う方達もそれぞれ何だか素人ではなさそう? 人数が7〜8人だけど、結果はコーラスが始まってぐわーんと身体に響く、心に響く声の集まり、つまり「合唱」だ。「ああ、よかった!」ソプラノの○○さん、どうして、そんな綺麗な声が出るの? 声量もある。彼らが、美空ひばりの「川の流れ」を綺麗なベルを鳴らしながら歌っている時、老婆は急に昔が思い出された。美空ひばりに江利チエミ、そして、雪村いずみの3人娘。懐かしいはずの色々な民謡ではなく、このひばりちゃんの歌に老婆は涙していたのだ。

 毎週、金曜日は大学でゼミのある日だった。東京都立大学からその教授は田舎の私の行く女子大に来てくれた。彼の勧めでランチタイムは合唱することになる。ドイツ語の得意なその先生から教わりながら『ザアインクナープレスラインスタイン…』と「野ばら」を2年間たった1曲を歌った。ただ、2部合唱なので、ソプラノとアルトに分かれた。ある時、仲間の一人が「澄子さん、口だけ動かしてくれない・」と優しく言った。その時、「ああ、私の歌はダメなんだ。」と気が付くが気持ちよく「いいわよ。口だけね」と澄子さんは言って2年間。そして、また数年後、私の結婚式は目白の椿山荘であった。仲間をぞろっと招待、皆来てくれた。披露宴の最中着物を着ている花嫁にその中の一人が近付き「皆で歌うのよ。貴方も来て」と言う。それではと花嫁は皆の中に入った。歌う寸前、隣人が「澄子さん、声だけね」とにっこりしながら囁いた。

 それから、何十年、年月は経っても私の音痴は治らない。でも音楽好きは年と共に増してゆく。友人の紹介で「オペラ名作127」という本を入手。そこには127のオペラが紹介されていた。そして、この20数年間、自分が観て来たオペラを1回ごとに印をつけている。観たオペラはHDもあるし、普通の映画もあるし、テレビもあり、ステージで観るオペラは半分くらいかもしれない。ロンドンのコべントガーデンへロイヤルオペラを観に一人で行く事もニューヨークのメトロポリタンオペラにも、サンフランシスコオペラにも、もちろんバンクーバーオペラ、UBCのオペラと行けるだけ行くのだ。「同じオペラを何回も観て、面白いの?」と聞かれるが「実に面白い」。

 ここに「音楽の会」というのがあって、この老婆も入会させて頂き、そろそろ20年以上たつ。隔月だが、教えて下さることは山ほどだ。しかし、老婆は覚えられない。それでも、彼女の講義を聴くたびに「ああ、そうだ」と心に何か刻んでそのたびにいろいろオペラを観に行く。そして、グーグルでも調べてみる。毎回観るたびに前回との違いもありそれが面白く、老婆は夢中になるのだ。別にクラスで教わった専門的な事で、難聴老婆が楽しんでいる訳でもない。観る目が身障者の目からの楽しみ方になっているんだろう。聞こえない為に観方が変わる。

 そうやって観たオペラの数は何と百数十、まあいってみれば20年間かかってはいる。庭の花も植木もよい、友達との会食も、旅行も良い、でもたまに出かけるコーラスもオペラも更に難聴者に良いみたいです。

 でもオペラは絶対総合芸術だ! これは本当の老婆の独り言…。

許 澄子

 

 

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