2016年11月10日 第46号

 ずいぶん前の話だが、桐島洋子先生がバンクーバーのご自宅で一枚の細長い紙(10㎝×20㎝サイズ)を見せ、九州に『アンデルセン』という面白い店があると言い、体験談をして下さった。

 そこで彼女の持つ紙を見ると、そこには「平成◯年◯月◯日◯時 桐島洋子様ご来店予定」と書かれ、下方に5㎝大の円丸があり、丸の中央に小さい絵が描かれていた。彼女はまた、別にもう一枚同サイズの紙を見せた。その紙にも同じ円丸があり別紙と全く同じ絵が描いてある。この2枚の紙に描かれた絵は全く同じだった。そこで洋子先生が、こう説明した。

 ご自分が紙に絵を描き終わった時、久村さん(アンデルセンのオーナー)が、別に彼女の氏名、訪問年月記載付きで、同じ絵が描かれた紙を見せた。それは洋子先生が書く前に、すでに用意されていたという。つまり、彼、久村さんは彼女の来店日時とその絵を描くことを前もって知っていた。

 いろいろ話を聞くと、不思議で不思議で、もうジッとしていられなかった。

 私はその店へ行くことに決めた。行き方を「ざぁーっと」聞くと、早速日本へ行った。日本に到着後、電話番号を探し、すぐ九州のその店へ予約の電話をする。出たのは多分オーナーの奥さんだろう。「どちらから来るのですか?」、「東京からです」、「ええー、東京からですかぁ。そんな遠くから来ることないですよ。お近くにいらした時にお立ちより下さい」という。私は内心「東京ではない、バンクーバーから来たのだ!」と言いたかったが止めておいた。一生懸命、行き方を聞いたがよく教えてくれない。何だか来てほしくないみたいな感じだった。仕方がない、とにかく、何とか自分で探して行くことにした。

 新幹線で博多まで行き、一晩、駅の近くの宿に泊った。駅名すら「川◯◯?」というだけで、正確に知らない。さらに駅の料金表を見ていると、あった!『川棚』という駅名があった。「川◯◯」で川のつくのはそこだけだった。見つかった。大村線のハウステンボス近くである。

 その小さな駅に着き、駅員さんに『アンデルセン』という喫茶店はどこですか?と聞く。彼は「あれだよ」と指さした。駅からすぐ近くで2階がレストラン、一階は雑貨屋だった。

 その店に来る客に「サイケキックエンターテイメント」と称して、いろいろマジックのようなものを見せる所らしい。食事をするか、飲み物を飲むか何でもよい。入場料は無料。そして食事も安く、味もまあまあということだった。  

 細長い階段をのぼり2階に上がると、まわりにたくさんの雑誌が置いてある。11時と3時の開店の順番待ちのために雑誌が置いてあるようだ。私がそこに着いたのは朝の10時40分くらいだから、当然、11時に間に合うと予測したが、入口には「午前中のショーは始まりました。次は3時です。しばらくお待ちください」と書いてある。「アレー、そんな馬鹿な!」と思った…が、現実は3時まで待たねばならない。うっかりその場を離れて、その間に他の人が来れば、入れなくなるかもしれない。とにかく私は東京ではない、バンクーバーから、飛行機に、列車に乗ってやって来たのだ。わずか数時間のことだ、頑張って階段に座りしっかり中に入らねばならない。

 やがて、私は腹がすいてきた。階下の雑貨屋にはいろいろ食べ物が売られている。こわごわ階段を離れ(その時の待ち人は、まだ私一人だった)食べ物を買い、おばさんと話し、アンデルセン店内ではカウンターのどの席に座れば良いかなど、いろいろ情報をもらう。そして、再び階段に戻り、買い込んだ食べ物を食べ、雑誌を読みながら、じーっと3時まで4時間待つ。その間、一度白衣を着たシェフ風の男性がドアを開けて私を見て「いたね」といった雰囲気で中へ戻っていった。

 やがて、ぼちぼち人が集まり始め、皆、辛抱強く入店を待つ。オー! やっと時間だ。ぞろぞろ人が出てきた。そして、清掃後だろう、階段で待つ人皆が呼ばれて中に入った。私は一番乗りで階下のおばさんが教えてくれた席に座ろうとする。…すると若いアベックがどうしてもその席に座りたいというのだ。彼らも雑貨屋で情報を得てきたのか? 私は一席ずれて座ることになった。最前列はカウンターで5人座れる。私は真ん中になった。

 まず、台所から出てきたオーナーの久村さんは突然、「澄子さん、こんにちはー、私たちお会いするのは初めてですよね」と握手した。私は「ハイ、こんにちは」と言ったが、「ぞー!」とした。なんで私の名前を知っているの!?

 次に、これからお手持ちの時計に皆様の希望時間を合わせるから、「誰か時計を貸してください」と言った。私が自分の時計を取り出そうとすると、「言っておきますが、高級時計は壊すと弁償できませんから、ロレックスなんかは遠慮します」と言った。私はオーバーの袖に隠れた自分のロレックスの時計を出そうとしていたのだが、彼に見えるはずはない。ここでまた「ハッ!」とさせられた。彼は来客の一人から借りた時計を念力だけで、時間を変えていった。

 「誰か計算して下さい」と言い、2台の小型計算機を出してきた。隣のアベックが1台ずつ計算機を受け取り、彼が次々と数字を言う。それをどんどん足していったのか、引いたのか分からないが「ハイそこで、合計を出して下さい」。2人が出した合計は同じで「19391116」と出た。オーナーが「この数字に関係ある人はいませんか?」と皆に聞く。「オー!」なんとそれは、私の生年月日だった。鳥肌が立った。

 また、500円玉を私から借りて、あっという間に10㎝大に大きくしたと思ったら、元のサイズに戻した。その500円玉は私が貰い受けて今も大切にとってある「久村」と黒くサイン入りだ。

 そして、「誰か絵を描きたい人はいませんか?」と皆に聞いた。私が元気に手をあげると彼が一つの紙財布をくれ、それをカウンター上に置くよう指示して10㎝×20㎝大の紙をくれた。彼には見えないように5㎝大の円内に絵を描くようにと言う。私はカウンターの下に紙を隠しながら、太鼓の絵を描いた。何となく太鼓に見えないのでバチを2本描いてみた。そして、「書き終わった」と報告すると彼はさっき自分のあげた紙財布を開けろと指示。財布を開けてみる。そこには同じ10㎝×20㎝の白い紙に「許 澄子様 御来店予定 平成◯年◯月〇日午前7時30分」と書かれているではないか!そして、私が描いた太鼓もバチも全く同じに描かれている。どうしてだろう? 私の名前や来店日まで、どうしてわかったか? スプーンを曲げたり、フォークを曲げて溶かしたり、ポラロイドで脳内写真の撮影をしたり。

 テーブル上にある紙ナプキンをくれ、と言うので渡すと、手の平に乗せグーッとエネルギーを送る。まくり上げた袖の先、彼の腕に青すじがたち、フーッと息をついて一瞬休み、さらにエネルギーを入れていく。すると何とさっき私があげた紙ナプキンが突然「ボゴ」という感じで生卵の薄皮だけのものができた。さらにエネルギーを加えていくと見事にそれが一個の卵になった。自宅に持ち帰りそれは本当に食べられたのだ。

 全く不思議の連続だった。結局、この人は一体何の目的でこんなことを毎日やっているのだろうか?

 私がその店を出る時、「澄子さん、貴方の姓は何と読むのですか?」と聞いてきた。私の姓は「許」と書いて広東語読みで「フォイ」である。それで分かったのは、彼は透視ができる人だったのだ。聞いたところ、彼は人間の可能性や素晴らしさ、その全部を人が信じられられるように実証しているのだという。彼だけに、それができるのではなく、全ての人に彼と同じ力があるのだいう。彼の微々たる力でも、毎日そこを訪ねる人々に教え伝え、考えさせているのだという。テレビにも絶対出演しないし、マスコミにも絶対踊らされない人。

 不思議大好き人間の私はずっと以前、桐島洋子先生の家庭画報の取材に同行し、いろいろ不思議世界を覗き見した体験がある。しかし、アンデルセンでの体験はいくつもある「不思議体験」中でも、大きな『びっくり ポン!』であった。久村さん、すごーい!

 その後、桐島邸でのパーティーで洋子先生の(亡夫)勝見氏が行ったスプーン曲げ、一緒にいる数人の人達まで、彼の助けでどんどんスプーンを曲げていた。台所の使えるスプーンの数が減ってしまったと家の人がこぼしたので、翌日、我が家のスプーンを届けたのを覚えている。  ああーすごい! 人って何でもできるんだぁ。

許 澄子

 

 

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