2020年3月12日 第11号
カナダ統計局は6日に2月の雇用統計を発表、雇用者数は3万3百人増加したが、失業率は0・1パーセント悪化して5・6パーセントだったと報告した。雇用が大幅に増加したにもかかわらず、失業率がやや悪化したのは、労働市場に参加した人が多かったためと分析している。フルタイムは3万7600人増、パートタイムは7300人減となった。業種別では製造業が1万6千人増、小売業が2万3千人増、専門・科学・技術サービスは1万5千人減、宿泊飲食業は1万3千人減となった。
今回の統計に新型コロナウイルスの影響が反映されているかは不明だが、専門家によると今回の数字は市場や中央銀行にとっては、政策に反映するほど重要なものにはならないだろうと分析している。カナダ銀行は4日に政策金利を0・5パーセント引き下げ、スティーブン・ポロズ総裁は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響に対応するために、5年前に原油価格が下落した時に取ったようにカナダ経済への緩衝剤としての役割を果たしていくと語っている。
地域別の失業率はケベック州が0・6パーセント改善して4・5パーセントと最も低く、ブリティッシュ・コロンビア州は0・5パーセント悪化して5・0パーセントだった。原油価格下落の影響が心配されるアルバータ州は、0・1パーセント改善して7・2パーセントとなったが、来月には今月起こった原油価格暴落の影響が出ると思われる。オンタリオ州は0・3パーセント悪化して5・5パーセントだった。主要都市では、バンクーバーが最も低く4・4パーセント、トロントが5・4パーセント、モントリオールが5・5パーセント、カルガリーは7・4パーセントだった。
2020年3月12日 第11号
BC州衛生管理局長ボニー・ヘンリー博士が7日の会見で、クルーズ船ツアーへの参加回避を要請したのに続き、9日には連邦政府保健省カナダ公衆衛生局長テレサ・タム博士が、クルーズ船のツアー参加を回避するよう要請する異例の声明を発表した。
この日パティ・ハイデュ保健相、フランソワーフィリぺ・シャンパーニュ外相とともに記者会見したタム博士は、横浜に停泊していたダイヤモンドプリンセスの例や、最近アメリカ・カリフォルニア州沖で航行しているグランドプリンセスで感染者が確認されていることなどから、現状を考慮してクルーズ船ツアーへの参加を回避するよう国民にアドバイスした。
カナダでは、現在はイランから帰国した感染者が最も多いが、徐々にアメリカから帰国、入国した感染者が増えている。なかでも2月にグランドプリンセスのツアーに参加した帰国者が相次いで感染が確認されている。10日のBC州での会見で、ヘンリー博士は4月から始まるバンクーバー、ビクトリアでのクルーズシーズンを控え、クルーズ船の寄港は連邦政府の管轄だが、BC州保健省として「クルーズシーズンの開始は延期することが望ましい」との見解を示した。
2020年3月12日 第11号
カナダ国内でデイライトセイビングタイム(DST)一般的にいわれるサマータイムが3月8日から始まった。これまで3月第2週日曜日午前2時に1時間早め、11月第1日曜日午前3時に時間を元に戻すという時間変更について、さまざまな身体的、精神的な弊害が議論されている。こうした流れを受けてか最近はサマータイム制度そのものを廃止する動きが加速している。
アルバータ州では昨年DSTについての調査を実施。今月6日にその結果を発表した。調査には14万1千人が参加し、91パーセントの州民が1年中DST実施に賛成したと報告した。同州ジェイソン・ケニー州首相は、州民の意見には個人的に賛成としながらも、他の州や専門家などの意見も聞いて最終決定すると語った。
カナダ、アメリカではサマータイム制度の廃止には、2つの動きがある。一つはDSTを廃止するというもの、もう一つは1年中DSTにするというものだ。
アルバータ州で支持を受けた「1年中DST」が現在の一般的な動きで、ユーコン準州では今月4日に準州政府が1年中DST導入を公式に発表した。昨年の調査で70パーセントが賛成していると理由を説明している。カナダでは初めてとなる。
BC州でも同様の調査が昨夏に実施された。昨年9月10日にBC州政府が公表した調査結果によると、州民の93パーセントが通年サマータイム制に賛成。そして10月31日にはNDP政権が通年サマータイム制導入に向けた法案を提出。準備を進めている。しかし今月4日の会見でBC州ジョン・ホーガン州首相は、この3月の時間変更が最後になるかどうかは微妙と語った。アメリカ西海岸の3州と足並みを揃えることが重要との考えを示し、「BC州はアメリカの法律に縛られているわけではないが」と言いながらも、アメリカの動向を注視すると語った。
アメリカのワシントン州、オレゴン州ではすでに通年DST法案が議会で通過しているが、アメリカでは連邦議会の承認が必要となる。カナダの場合は州独自で決定できるため、導入しようと思えばいつでもできる状態ではある。
アメリカがどう動くかはどうやら今秋のアメリカ大統領選次第。その前にBC州民からDST導入の声が大きくなれば独自で動く可能性もあると語った。BC州の一部の地域やサスカチワン州ではDST制度は導入されていない。
2020年3月12日 第11号
連邦自由党アンソニー・ハウスファーザー議員がケベック州モントリオールの自宅で自己隔離していることが9日に分かった。ハウスファーザー議員は3月1日から3日までアメリカ・ワシントンDCで開催されたアメリカンイスラエル・パグリックアフェアコミッティ(AIPAC)に出席したが、後日この会議の参加者の中に新型コロナウイルス(COVID-19)に感染している人がいることが分かったと報告されたためと説明した。ハウスファーザー議員は、感染者と接触した事実はないが、予防策とし実施していると語っている。
2月26日から29日までアメリカ・メリーランド州で開催されたコンサバティブ・ポリティカルアクション・コンファレンス(CPAC)にはカナダの連邦保守党議員2人、ケリー・ディオッテ議員とマイケル・クーパー議員が出席している。この会議にも、感染が確認された参加者がいたことが分かっている。ただ2人の保守党議員は自己隔離を実施していない。保守党の広報は、2人とも感染者との接触はなく、カナダ公衆衛生局のアドバイスに従って行動していると発表している。
現在アメリカでの新型コロナウイルス感染が拡大していることを受け、国境を接するカナダとしても注視していると連邦保健省は発表している。パティ・ハイデュ保健相は、すべてのカナダ国民は海外から帰国した場合は、カナダ公衆衛生局の定める基準に従って自身の健康状態を14日間観察する必要があると声明を発表している。
2020年3月12日 第11号
天然資源産業が主要産業であるアルバータ州が、原油価格の急落で州経済へのさらなる悪影響が懸念されている。同州ジェイソン・ケニー州首相は、原油価格急落によるアルバータ州経済の停滞は、カナダ経済の停滞を意味するとして、連邦政府に救済策を迫っている。ケニー州首相は「できる限りの全ての選択肢を考慮している」と語り、「アルバータ州の雇用と州民を守るために我々ができる全てのことを考える」と強調した。
新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、原油の需要が下がっていることに加えて、サウジアラビアとロシアの間で勃発した価格競争がさらなる悪影響を及ぼし、9日のウエストテキサス・インターミディエートは1バレル30米ドルまで値を下げた。アルバータ州は2014年に起こった原油価格崩壊の影響からいまだに立ち直っていないが、それ以上の影響が出る可能性がある。アルバータ州政府は先月に予算案を提出したが、原油による歳入は1バレル58米ドルを想定して試算されている。
野党新民主党(NDP)レイチェル・ノッテリー党首は、予算案を新しく練り直す必要性を訴えた。昨秋に法人税を引き下げたことも税収減少を招いていると批判。連合保守党の予算案は楽観的すぎると語った。しかしケニー州首相も、ノッテリー党首も、税収増加のために州税(PST)を導入することには反対している。カナダでは唯一アルバータ州だけが州税を導入していない。専門家は州税の導入でかなりの税収が見込めると分析している。