2020年3月26日 第13号

 ジャスティン・トルドー首相は、20日の会見で、雇用保険申請者が急増している事実を明らかにした。ソフィ夫人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されて以降、自身も自宅隔離となっているトルドー首相は、毎日自宅の玄関前で会見に臨んでいる。

 毎日午前11時(東部標準時)に会見するトルドー首相は、この日は国民が早急な支援を望んでいることは承知していると語り、この週だけでも50万件の雇用保険申請があったと語った。例年ならこの時期の申請は、1週間で約2万7千件という。トルドー首相はこの事実に「国民の不安な気持ちは政府に届いている」と語った。

 カナダ政府は18日に国民への支援策を発表。雇用保険に加入している場合、自宅隔離となっている人は、病欠による雇用保険申請で通常の1週間よりも早くに対応されるとし、医師による証明も必要ないとしている。また、雇用保険対象外の人で自身が病気、病人のための介護、休校で子どもの世話のため仕事に行けない人を対象に、2週間ごとに9百ドルを最長で15週間支給すると発表した。トルドー首相は、国民と中小企業などへの支援もこれから順番に発表されると語り、「政府はコロナウイルスによって国民を路頭に迷わせるようなことはしない」と語った。

 

2020年3月26日 第13号

 3月24日午前9時頃から約45分間、安倍晋三内閣総理大臣は、ジャスティン・トルドー・カナダ首相と電話会談を行った。概要は以下のとおり。

 冒頭、安倍総理大臣が、新型コロナウイルスに感染したトルドー夫人の早期の快復を祈念するとともに、「ダイヤモンド・プリンセス号」のカナダ人乗客の逝去に心からの哀悼の意を表明した。これに対し、トルドー首相より謝意が示された。

 両首脳は、新型コロナウイルス感染症対策について意見交換し、現在の事態を収束させるために治療薬等の開発で協力していくことや、世界経済への悪影響を防止するための経済財政政策の実施、途上国支援などにおいて、G7及びG20等が緊密に連携することが重要である点で一致。また、コロナウイルスが世界的に拡大している困難な状況の中でも、日加両国が、ルールに基づく国際秩序や自由貿易などの普遍的価値を引き続き推進していくことでも一致した。

 

2020年3月26日 第13号

 ブリティッシュ・コロンビア州政府マイク・ファーンウォース公安相は18日、非常事態宣言を発令した。BC州は17日には、公衆衛生非常事態宣言も出しており、これで公衆衛生だけでなく、州政府としてさまざまな対応ができるようになると、ファーンウォース公安相は会見で語った。サプライチェーンの確保や市民の不安からくる衝動買いへの規制など、新型コロナウイルスに関係する事象で公衆衛生以外の緊急事態に備えることができるという。

 ファーンウォース公安相は、現在のところBC州が商品の品薄状態に陥る危険性はなく、サプライチェーンも問題ないとし、州民一人ひとりができることを心がけるよう訴え、パニックになる必要はないと語った。

 また、現在スーパーマーケットやリカーストアなどに規制をかける予定はないとした。一部大手のスーパーでは、高齢者用時間帯などを設置して、爆買いの被害にあわないような対策や、ソーシャルディスタンスなどの観点から営業時間を短縮する対応がされている。メトロバンクーバーのリカーストアでは閉店の噂が流れて、長蛇の列となったところがあったと報道されたが、基本的には閉店はなく、営業時間縮小の対応が取られている。

 BC州政府が過去に非常事態宣言を出したのは、山火事の被害が広がった1996年、2003年、2017年、2018年となっている。

 

2020年3月26日 第13号

 ブリティッシュ・コロンビア州メトロバンクーバーの公共交通機関トランスリンクは、3月20日から、前方ドアからの乗降を禁止する対応を発表した。バス運転手の安全を守るためで、後方ドアでの乗降のみとしている。

 この対応のため、現金での利用者が前方にある料金箱を利用できないことから、当面はバスの利用に限り、料金を取らないと合わせて発表した。スカイトレイン、シーバスはこれまで通り。

 また、23日からは通常よりも減便して運行しているとも発表した。減便はスカイトレイン、シーバス、バスとすべてが対象で、新型コロナウイルス感染拡大予防のため自宅勤務が増えるなどの事象から、利用者が減少しているためと説明。また公共交通機関を利用する場合も、2メートルの間隔をあけるソーシャルディスタンスに対応していると発表している。

 

2020年3月26日 第13号

 日本とカナダを結ぶ各航空会社が相次いで減便、運休を発表した。カナダ政府がすべての国への海外渡航中止要請を発表し、海外からの旅行者の入国を禁止としたことにより、各社が対応した。

 日本とカナダに直行便を最も多く持っているエアカナダは、バンクーバー・成田線は週3便に減便、トロント・羽田線、モントリオール・成田線は4月30日まで運休、カルガリー・成田線は夏期運航開始日を延期した。日本の航空会社も減便、運休を発表。日本航空はバンクーバー・成田線を3月28日まで運休、全日空は4月24日まで週4便に減便すると発表している。

 各社とも世界的な新型コロナウイルス感染拡大の状況次第で、運航便数は今後も変更する可能性があると発表している。

 

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これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。