2020年3月26日 第13号

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバー市は19日、非常事態を宣言した。この日の市議会にはケネディ・スチュワート市長だけが出席し、残りの市議はオンラインで参加。全会一致で非常事態宣言発令を可決し、これにより市が新型コロナウイルス感染拡大防止に向けて厳戒態勢に入った。

 BC州政府はすでに18日に非常事態宣言を出しているが、バンクーバー市が発令したことで市独自の対策が取れるようになった。ケネディ・スチュワート市長は、「今は非常時であり、必要な時に、迅速に、大胆な実行力が求められる」と語った。期限は決めず、必要になった時に宣言解除を市議会で決定すると説明した。

 市長は会見で3月17日にレストランやバーで、人々が集まってセントパトリックデーを祝っていたという報告を受けていると、懸念を示した。BC州では16日に衛生管理局長ボニー・ヘンリー博士が、50人以上が集まることを禁止。レストランは2メートルの間隔をあけていれば店内飲食は問題ないとしたが、バーやクラブはそれが不可能として閉店を命令した。それにもかかわらず、翌日に人々が集まっていたという事実を踏まえ、認識の甘さが明確になったとして、20日にはすべてのレストランも閉店とすると決定。営業はテイクアウトとデリバリーのみと発表した。

 同日には、親子が多く集まるとして子どもの遊び場プレイグランドの使用を禁止。「不便さを感じるかもしれないがすべては市民の安全のため」と説明した。21日には、美容院やサロンなど生活に必要不可欠ではないサービスの閉鎖を決定。同日、市の対策本部も設置した。「多くの中小企業が影響を受けて解雇される人もたくさん出ることも承知している」と市長。しかし感染拡大を止めるには、いまこれをするしかないと自主的なビジネスの縮小を呼び掛けた。

 しかし、翌週にはさらに厳しい規制をかけた。23日には市議会で市の決定が守れない場合には、罰金を科すことを可決した。市の決定とはソーシャルディスタンスの徹底で、個人やビジネスで2メートルの間隔を守って行動するというもの。レストランやバーの閉鎖、公園の使用禁止も、人が密集することで感染が拡大する恐れがあるという衛生局の指導の下に取られている政策で、これが守れないのであれば、個人で1千ドル、ビジネスで5千ドルを科すと決定した。個人については、すでにバンクーバー市が使用を禁止した施設での行動が対象で、公園やビーチ、市役所の前の広場、学校の校庭、施設の屋内が含まれる。違反と認められた場合には、駐車違反と同じような違反切符が渡されるという。ただ歩道や道路は対象外。ビジネスでは、閉店対象となっているビジネスが対象とみられるが、市による明確な定義はされていない。市内の見回りはバンクーバー市警ではなく、市の巡回職員によって実施される。

 バンクーバー市はすでに、市内のほぼすべての施設を閉鎖。バンデューセン植物園や図書館、コミュニティセンターのほか、バレーボールコートやバスケットボールコートなどの屋外施設、キツラノビーチやイングリッシュベイに隣接する駐車場も使用禁止となっている。バンクーバー市のサービスについても、基本的にはオンラインで対応、対面サービスの場合は事前連絡が必要となっている。

 

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