2018年3月22日 第12号
ノバスコシア州ハリファックス市に住む韓国武道テコンドーの師範が、生徒に体罰を加えたとして、テコンドー連合から国内外の試合への参加を停止させられた。
この措置に対し、試合に出場予定の教え子やその親からは、勝つためにはコーチが必要だとして、師範を擁護する声が上がっている。
同市でウー・ヤン・テコンドー・アカデミーを主宰するグランドマスター、ウー・ヨンジャンさんは、体罰と称して生徒の一人を竹の杖で殴ったとして、東海岸テコンドー連合の調査を受けた。ことの発端は、今年1月に開かれたクリスマスパーティー。生徒のロドリゴ・ミーアさんが酒に酔った勢いでウーさんに襲いかかったが、この非礼に対してウーさんは道場を去るか、謝罪して体罰を受け入れるかの選択を迫った。
「テコンドーの世界では、体罰も容認される」と語るのは、ロドリゴさんの父親ロルフ・ミーアさん。「息子は破門にならないことに感謝し、喜んで体罰を受け入れた。そのことで特にけがをしたわけではないし、何も問題はない」とミーアさん。彼はメディアや連合が大げさに取り上げ、事態があらぬ方向に進んでいると危惧している。しかし連合は、2月に開催された国内テコンドー選手権でのウーさんの態度にも問題があったとして、この件も調査中だ。
一方ミーアさんは、連合が故意にウーさんをおとしめようと画策していると非難。ミーアさんの16歳の別の息子は来月、チュニジアで開かれる国際大会に出場する予定だが、2カ月も前に起きた体罰を理由に、今さらのように試合参加資格を剥奪するのは、ウーさんがコーチとしての役目を果たせないよう仕組んだとしか思えないと、憤慨している。
2018年3月22日 第12号
インターネット上でチームを組み、敵チームと戦うオンラインゲームの世界選手権が、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市でこの夏に開催される。
世界中で1千万人ものプレーヤーがいるといわれているオンラインゲーム、ドータ・ツー(Dota 2)。このゲームの選手権大会が始まったのは2011年で、ドイツ・ケルン市で毎夏開催されるゲーム・コンベンション、ゲームスコム(Gamescom)でのことだった。
以降、米ワシントン州シアトル市のキーアリーナに場所を移し、毎年開催されてきたこの世界選手権は、同様のイベントの中で最大規模となっている。その賞金資金も増え続け、昨年は2400万ドルに達した。その結果、 優勝したヨーロッパのチーム、リキッド(Liquid)は1080万ドルを、2位の中国チーム、ニュービー(Newbee)は390万ドルの賞金を獲得している。また2015年には、バンクーバー市のプレーヤー、カーティス・リンさんが参加したチーム、邪悪な天才集団(Evil Geniuses)が660万ドルを獲得している。
このような大会が、今年はバンクーバー市のロジャーズ・アリーナで開催されることが決まった。期間は8月20日から25日。ゲーム開発元で、世界選手権を主催するバルブ・コーポレーションは会場変更の理由を明らかにはしていないが、キーアリーナの改修工事スケジュールが影響したものとみられている。
2種類のチケットー予選観戦用の『平日チケット』(125ドル。最初の4日間のみ使用可能)と、決勝を観戦できる『決勝チケット』(250ドル。最後の2日のみ使用可能)は、23日から販売開始となる。
2018年3月22日 第12号
カナダのコメディアンとして、アメリカの深夜トーク・バラエティ番組や数々のショーに出演するほか、俳優としても活躍したコメディの大御所、マイク・マクドナルドさんが亡くなった。享年63歳だった。なお死因は公表されていない。
オンタリオ州オタワ出身のマクドナルドさんは、1970年代後半にトロントに移ってから、コメディアンとしての活動を開始した。次第に名声を得てケベック州モントリオールで毎年7月に開催されるコメディフェスティバル『ジャスト・フォー・ラフ』や、TVのトークバラエティ番組『アーセニオ・ホール・ショー』や『レート・ナイト・ウィズ・デビッド・レターマン』などに出演するようになった。
またマフィアをテーマにした1987年のコメディ映画『ミスター・ナイス・ガイ(Mr. Nice Guy)』では脚本を共同執筆するとともに、主演を演じた。またドラム演奏はプロ級の腕前だった。
しかし近年はさまざまな病気に悩まされていた。2012年には、その前の年に診断されたC型肝炎から生体肝移植が必要であることを公表している。多くの人のサポートの結果、移植を成功裏に終えたマクドナルドさんは、自らを映画『素晴らしきかな、人生! (It's a Wonderful Life)』でジミー・スチュワートさんが演じた主人公になぞらえている。
また過去に薬物を使用していたことや、双極性障害に悩まされていたという私生活も公にしている。
そんなマクドナルドさんの悲報に、各方面から追悼の声が寄せられた。コメディアンのトム・グリーンさんはインスタグラムで、17日の公演をマクドナルドさんに捧げたことを明らかにしている。また彼は10代の頃に見た、マクドナルドさんのショーに触発されてこの道に入ったと述べている。
2018年3月15日 第11号
オンタリオ州野党進歩保守党(PC)の党首選開票結果が10日に発表され、新党首にダグ・フォード氏が決定した。
フォード氏は元トロント市議で、弟のロブ・フォード氏は前トロント市長。オンタリオ州PC党員としての実績はないが、保守派としてのトロント市での経済政策などでの実績を訴え党首に選ばれた。
PC党首選は、ここまで紆余曲折だった。発端はパトリック・ブラウン前党首の辞任。1月24日に女性2人がブラウン氏からの性的不適切行為を全国ネット放送局CTVで告白し、党から辞任を迫られた。
党はすぐに暫定党首を決定、党首選の準備を始めた。クリスティン・エリオット氏、キャロライン・マルルーニー氏の名前が立候補の可能性が高い人物として上がったが、最初に党首選に名乗りを挙げたのはフォード氏だった。その後、2人も正式に立候補。さらに、タニア・グラニック・アレン氏が立候補し4人での争いとなった。
しかし、そこに前党首ブラウン氏が立候補を表明した。性的不適切行為の事実関係すら明らかになっていないにもかかわらず、PCからも除名されながらの立候補に、党首選を自身の汚名返上の場にしようとしているとの批判が上がった。
それから約1週間後にブラウン氏が立候補を取り下げ4人での党首選に戻った。その後も、オンライン投票での不備や選挙期間の延長申請などさまざまな問題を発生させながらも、当初の予定通り10日の開票にこぎつけた。
結果は3回目の決選投票で、フォード氏とエリオット氏が争い、得票数差は150票以下という接戦だった。当初からこの2人の争いとみられていたが、少数差で負けたエリオット氏が結果に不備があった可能性があるとして調査する意向を示した。
10日の開票は3時には結果が出るはずだったが、7時間遅れで発表された。会場にいた党員はすでに帰宅するよう促され、メディアしか残っていない会場での結果発表となった。
フォード氏は、「党をまた元の軌道に乗せる」と語り、自由党政権を倒すために党が一丸となってこれから選挙に向かって戦うとの姿勢を示した。
オンタリオ州議会選挙は6月7日に予定されている。
2018年3月15日 第11号
ジャスティン・トルドー首相が2月にインドを訪問した時に、ムンバイで開かれたカナダ政府主催の食事会に出席していたジャスパル・アトワル氏が8日、バンクーバーで弁護士同席のもと説明会見を開いた。
アトワル氏は、インドでの食事会出席がこれほど大きな問題になるとは思っていなかったと語り、「結果的に、カナダ、インド、私のコミュニティ、家族に迷惑をかけたなら申し訳ない」と語った。
今回の件は、メディアからカナダ政府に、なぜアトワル氏が食事会に出席していたのかとの質問があったことがきっかけとなった。
アトワル氏は1986年にカナダを訪問中だったインドの閣僚への殺人未遂で起訴された。不起訴となったが、テロ行為としてこの事件は扱われた。アトワル氏は当時シーク教独立主義者として活動していた。
記者会見では「あの時の行為については後悔以外にない」と述べ、改心してコミュニティのためにインドとカナダの架け橋となるよう尽力してきたと語った。
食事会への出席の経緯については、インド訪問に同行した連邦自由党ランディープ・サライ議員にインド訪問前に連絡を取り、食事会に正式に招待を受けることができないかたずねたと説明した。
アトワル氏の食事会出席については、インドのメディアが指摘して以降、カナダ政府の高官(のちに国家安全保障問題担当顧問だったと野党が発表)が、わざわざメディアに対してインド政府が招待した可能性があることを知らせるなど、さらなる混乱を招いた。しかし、これについては疑問視する声が強かった。カナダ政府主催の食事会にインド政府が介入することはまずないという意見が多かった。インド政府も完全否定している。
それ以外にも、テロリスト扱いされたアトワル氏がインドに入国できるのかなど、さまざまな憶測が飛んでいた。
これらに対して、すでにインド政府からビザが発行され、2017年には2回インドを訪問しているし、政治家との接点についても、自由党とも以前から交流があるし、自由党以外の党とも接している、インド政府から連絡を受けたことは一切ないと説明した。
アトワル氏の弁護士は、食事会出席の要請について、偽名を使ったり、裏工作をしたりということは一切行っていない、実名で自由党議員にコンタクトを取るという常識的な手段を使ったと説明し、アトワル氏側に非がないことを強調した。
この件についてCTVに出演したクリスティア・フリーランド外相から、国家安全保障問題担当顧問がメディアにインド政府の関与の可能性を流したことの説明は特になく、彼らの働きを称えることに終始した。