2018年3月15日 第11号

 バンクーバー市は新たに新築される集合住宅に対して電気自動車の充電ステーションの設置を義務付ける動議を14日に提出した。

 市の気候対策アナリスト、イアン・ネビル氏は今回の法案について、電気自動車充電ステーションは今すぐに必要という訳ではないが、集合住宅は数十年という単位で存在する建物のため将来的に必要となることを見越しての提案と語った。2050年までにはほとんどの自動車がプラグイン付きになっていると予測しているという。

 動議は市議会で可決される見通し。

 

 

2018年3月15日 第11号

 カナダ銀行は国際女性デーの8日、10ドル札紙幣の新デザインを発表した。新しく10ドル札の顔となったのは、カナダの公民権運動の立役者ビオラ・デスモンド氏。

 デスモンド氏は1946年11月8日にノバスコシア州の映画館で警察に逮捕された。理由は白人専用席を利用したからで、当時この映画館では黒人はバルコニーでしか映画を観ることができなかった。

 翌日には、白人専用席とバルコニー席に課せられる州税の差額、1セント税を支払わずに白人席を利用した脱税の罪で有罪判決を受けた。州には黒人に対する施設利用の法律がなかったため、脱税という形を取った。罰金を支払って釈放された後、判決を不服として訴えたが敗訴した。デスモンド氏の罪は2010年4月、ノバスコシア州副総督の恩赦という形で、ようやく無罪となった。ノバスコシア州政府も謝罪した。

 今回の発表は、2016年にカナダ銀行が発表した新デザイン紙幣のお披露目で、会場にはデスモンド氏の妹ワンダ・ロブソンさんが招待され、姉の肖像画が印刷された新10ドル札を、ビル・モルノー財務大臣から受け取った。

 新デザイン紙幣は、今年後半から一般に出回る予定になっている。

 

 

2018年3月15日 第11号

 韓国の平昌で9日に開幕した冬季パラリンピックで、カナダはすでにメダルを大量に獲得している。

 大会5日目で、金メダル5、銀1、銅7の計13。アルペンスキーで金3銅3と活躍が目立つ。またクロスカントリースキーでは、9日の開会式で旗手も務めたブライアン・マッキーバー選手が2つの金メダルを獲得。視覚障害を持ちながら、オリンピックにも出場した経験を持つマッキーバー選手は、今回も期待通りの活躍。これでパラリンピックでの獲得メダル数は、金12、銀2、銅1の15。カナダ人パラリンピック選手最高記録を更新している。

 カナダは今回55選手を送り、全競技に参加している。これまでのところ6競技中、個人種目でメダルがないのはスノーボードのみ。バイアスロンでは銀1、銅2と獲得している。

 その他では団体戦のパラアイスホッケーですでに準決勝進出を決定、ウィルチェアカーリングは韓国とイギリスと立て続けに負けたものの、あとは順当に勝ち星を挙げている。

 パラリンピックは18日に閉幕する。

 

 

2018年3月15日 第11号

 アルバータ州政府レイチェル・ノッテリー州首相は8日、州議会の開会の式辞でブリティッシュ・コロンビア(BC)州への石油供給を停止する可能性があるとことを示唆した。

 アルバータ州とBC州は、トランスマウンテン・パイプライン拡張工事計画を巡って抗争が続いている。工事を進めたいアルバータ州と工事中止を狙うBC州のせめぎ合いは、先月アルバータ州政府がBC州ワインの販売停止を実行し、ついに無関係の一般市民にまで影響を及ぼした。

 その後、BC州が抗争を裁判に持ち込むとしたことで、ワイン販売停止を取り下げたアルバータ州政府だが、今度は石油の供給停止を示唆した。

 背景には、アルバータ州内での野党連合保守党(UCP)との争いがある。石油停止もUCPジェイソン・ケニー党首のアイデア。同党首は先月バンクーバーを訪問し、記者会見を開いてパイプラインの重要性を訴えた。その時に、石油停止の選択肢も語っている。

 アルバータ州は2019年に選挙を控えている。2015年の選挙で思わぬ大勝をした新民主党(NDP)だが、元連邦保守党政権閣僚のケニー氏が野党党首に就任したことで、NDP政権は大きなプレッシャーに直面している。天然資源産業はアルバータ州の主要産業で、石油関連票獲得のための州内抗争がBC州攻撃に繋がっている。

 しかしBC州への石油供給停止については、必ずしもアルバータ州で全面的に支持されているわけではない。石油会社の中には、停止されれば直接利益に影響が出るとして賛成しないとの声も上がっている。

 ノッテリー州首相の意図は他にも連邦政府を動かすことにあるが、ジャスティン・トルドー首相は、パイプラインは国の決定事項であり州政府が停止することはできない「パイプラインは必ず建設する」と語っているが、アルバータ州とBC州の抗争に直接介入はしていない。水面下で両政府と話し合いを行っているという。

 パイプライン拡張工事を巡る両州の抗争の発端は、BC州政府が2月にビチュメンの輸送について環境問題を理由に制限することを検討すると発表した時から始まった。

 工事については2016年11月に連邦自由党政権が建設の承認を発表している。しかし、BC州では反対が根強く、工事計画が発表された時から続いている。10日には大きな反対デモも実施された。

 両州の抗争は今後もしばらく続くとみられている。

 

 

2018年3月15日 第11号

 リゾート地として有名なメキシコのプラヤ・デル・カルメンで先月、フェリーで爆発物が爆発、乗客が負傷する事件が起きたことを受け、アメリカとカナダが同地への危険情報を発出した。しかし春休みを目前に控え、多くのカナダ人は同地へのバケーションを変更しないようだ。

 爆発が起きたのは2月21日。沖合の島コスメルとの間を行き来する観光フェリーがプラヤ・デル・カルメンに到着、観光客が下船している最中に起き、26人が負傷した。また1日には同じ航路の別のフェリー船内で爆発物が発見された。このためカナダ政府は12日、不要不急の旅行を避けるよう勧告する危険情報を出した。

 メキシコ当局は、爆発物はテロや犯罪組織によるものではないとし、プラヤ・デル・カルメンの治安維持に努めるとともに、現地での観光業は通常通りで、ホテルの稼働率も80パーセントほどだと発表している。

 一方、メディアがアルバータ州カルガリー空港で11日、同地に向かう観光客に対しこの件についてインタビューしたところ、滞在中はリゾート内にとどまり、フェリーの利用も控えて安全に注意すると答えていた。

 しかし現地に詳しい専門家は、安全な場所はどこにもないと警告している。メディアの取材に応じたのは、メキシコで13年間、麻薬捜査に従事、今は退役した米国麻薬取締局捜査官のマイク・バージルさん。メキシコのカリブ海沿岸で頻発する事件は、麻薬カルテル同士の抗争が原因で、彼の経験からは、この地域全体が危険地域だという。

 カナダ政府によると、メキシコ全体の犯罪発生率は高いものの、メジャーな観光地では全国平均以下で、年間210万人以上のカナダ人が同国を訪れているが、事件に巻き込まれることはまれだとしている。

 

 

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これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。