2018年3月15日 第11号
ブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市で10日、拡張工事が予定されているトランスマウンテン・パイプラインに反対するデモが行われた。地元のスレイ・ワトゥース先住民グループが企画したこのデモには、警察発表で5千人が参加。パイプラインと、その工事を行うキンダーモーガン社に反対するプラカードを掲げたり、ドラムをたたいたり、歌を歌ったりして、抗議の意思を表していた。
これに合わせ、既存のパイプラインの積み出しターミナルがあるバーナビー市フォレスト・グローブ公園では、同先住民族の有志が工事の動きを見張る監視小屋を建てている。先住民の伝統的住居であるシーシェルト・ロングハウスのスタイルで建てられるこの小屋は、広さが20フィート四方で一本の米ヒバから切り出された建材で作られると、先住民の代表のウィル・ジョージさんは取材に話している。
また、既存のパイプラインは60年前に先住民族の了承なしに敷設されたが、今回はそうはいかない、タンカーの往来を倍にするパイプラインの拡張には断固反対し、事態が解決するまでこの小屋に居続けるつもりだと語っている。
小屋が建てられたすぐそばにある、キンダーモーガン社が所有する土地を囲うフェンスには、先日BC州最高裁が出した、キンダーモーガン社の工事を妨害する活動を禁止する暫定命令の写しが張られていた。しかし同地区選出の連邦議会議員ケネディ・スチュワートさんは、こうしたデモ活動が、キンダーモーガン社とジャスティン・トルドー首相の考えを変えさせることになるだろうと、取材に語っていた。
「連邦政府はパイプラインに反対している勢力を『パイプライン過激派』と称しているが、今日のデモを見てもわかるように、皆ごく一般の人々。これこそが、われわれが最終的に勝利する理由だ」とスチュワートさん。
監視小屋の建設現場を含め、デモ中は警察官とのトラブルもなく、逮捕者は出なかった。主催者は参加者に対し、抗議活動は平和的に行われるべきだが、今後はパイプライン建設を阻止するためならば逮捕されることもいとわないでほしいと、決意を求めていた。